【Δドラロナ】full of corpse

Δドラロナ過去作。
性癖爪コンドルさんが描かれていらっしゃった悪魔Δド×キョンシーΔロ君のお話です!!爆萌設定。



 悪魔というのは制限が多い。基本的には魂や生気を元手として契約を交わすが、そもそもその契約自体が場合によっては自分の首を締めかねない。相手をだまくらかして悪魔側に優位な契約を結ぶにも、それなりの手練手管が必要だったりする。
 その点においてドラルクは非常に優秀な悪魔だったし、血統においても秀でていた。将来祖父の座る席につくことについて、異を唱えるものは少ないだろう。それほどの悪辣さと狡猾さを有していた。傲慢で、享楽的な性質と、相手を篭絡する頭の回転の速さは悪魔たちの中でも随一と言える。
 それがある日、ひょんなことからドラルクは一体の生きる死体を拾ってしまった。人界でふらふらしていた、所謂キョンシーと呼ばれるアジア種の不死者。名前はロナルドと言うが、一目見てその体内に宿された生気の貯蔵量が尋常ではないのがわかった。
 ただの食料として確保するつもりで連れ帰って、世話をしてやっているうちに随分と懐かれてしまった。今やドラルクは、そのリビングデッドの生気以外、殆ど口にしなくなっていた。
 
「ドラ公、また腕取れちゃった」
「取れちゃったじゃない。君が滅多矢鱈に振り回さないとそうはならんだろうが」
 バカ力なのが生前からなのか死後からなのかは不明だが、ただでさえ脆い死体の身体に有り余る生気は、ロナルド自身の肉体を容易に損壊させてしまう。首まで取れた時は流石に肝が冷えたが、どうやら心臓さえあるべき場所へ仕舞われていれば平気らしい。
 悪魔であることが幸い、などと皮肉にも程があるが、しかし、もし天使なぞという取ってつけたような倫理観に縛られる立場にいたら、こんなに脆い肉体を弄くり回すことは出来なかっただろう。実際ロナルドの身体は継ぎ接ぎだらけとは言え美しい形をしていた。内心で残念だったな、とドラルクはどこの誰ともしれない天上の者たちに舌を出す。悪魔だろうがそうでなかろうが、美しいものを愛でる感性は、全ての精神において共通なのだから。
 魔力で構成した針と糸を手元に現して、ロナルドにおいでと手招きをする。血の気もないのにぱっと華やぐような笑顔で、ロナルドはドラルクの足の間に座った。
「なぁ、あんまきつくしないでほしい」
「でもちゃんと縫わないと、すぐ取れてしまうから」
 ドラルクの言葉にロナルドはむぅ、と口を閉ざす。何が不満なのかは分からないが、とにかく縫合を始めるため、それなりに重さのある片腕を受け取りながら上着を脱がせていく。色味こそ艶やかとは言い難いが、整った肢体が目の前に晒された。断面から血が滴ることはなく、時間経過による腐乱はドラルクが常に停めている。前に縫った時、ロナルドが幾らか暴れても取れないようにときつく縫い合わせた記憶があった。証拠に、二の腕の中程には縫い合わせた痕が今も残っている。それはそれは、綺麗すぎるほどに。
……ロナルドくん」
「ん?」
「ワザとだろ」
「へぁっ」
 暴れて取れたのであれば多少断面が傷付いていなければおかしい。簡単な指摘にロナルドはびくりと身体を強ばらせ、そうっと不自然に顔を逸らした。
 何故そんなことをするのか検討もつかない。ドラルクははぁと一つ溜息を吐くと、それ以上は何も言わずにロナルドの腕を元通りに縫い合わせていく。ロナルドは珍しくじっと身動きせず、黙って座り続けた。
……はい、終わったよ」
 ぷちん、と牙で糸を切ると、ロナルドが「え、もう?」と驚いた顔をして、縫い合わせた腕をブンブンと振った。
「前よりは緩めたけど、もう自分で取るんじゃないぞ」
「う、うん」
 口元をふにゃふにゃとさせながら頷くロナルドに、ドラルクは目を細める。今度は何処を損壊させてくるのか。頼むから、この美しい形が崩れるようなことだけはやめて欲しい。
「ど、ドラ公?」
「?」
「し、しねぇの?」
……ああ」
 ロナルドが妙な顔をして提案してきたのは、縫い合わせる際に使った魔力の補填のことだった。大した消費量ではないが、貰えるものは病気以外貰っておく主義のドラルクは、ロナルドの顎を指で掬うと無造作に唇を重ねた。
「んっ、」
 冷たい肢体を震わせて、赤い目にどこから溢れるのか涙と呼ばれる体液を滲ませるロナルドを見ながら、尖った牙を舌先で撫ぜ、拙い舌を根元から搾り取っていく。
「ふぅっ、ふ……、んっ」
 鼻がかった吐息がドラルクの顔をくすぐる。ロナルドが縋るところを探すように、繋ぎ直した腕でドラルクの胸元を皺になるほど握りしめた。
 溢れるロナルドの唾液を啜って、更に口内を刺激して溢れたものをまた掬いとる。しばらくそれを繰り返していくと、ロナルドが身を引こうとするので、腰に手を回して引き寄せた。
「ふっ、はっ、んむっ、……ん、んーっ」
 ぶる、とロナルドが一際大きく震える。ちゅぽ、と音を立てて吸っていた舌を解放すると、だらしなく緩んだ唇は濡れそぼっていた。それを指の腹で拭おうと手を伸ばし触れる。
「ひぅっ」
 まるで電流でも流れたかのようにロナルドが身体を跳ねさせる。何故か触れたドラルクの指先にも痺れが走ったような気がした。
……た、足りたか?」
……もう少し貰おうかな」
「う、うん」
 つんと唇を尖らせ目を閉じるロナルドを見ながら、何を考えているんだ、というドラルクの問いが、果たしてどちらに向けられたものかはドラルク自身も判別が付かなかった。






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