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ミリメートル
2024-10-30 21:36:34
1393文字
Public
スケ荼
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スケ荼SS🌂
捨てる神あれば拾う神ありってね。スケプティック(無神論者)なのに!?
深昏睡
を聴きながら書きました
ボロボロの傘が道端に落ちているのを見かけた荼毘は、それが、まるで自分みたいだと思った。
劣化したから捨てられたのか、置き忘れられて劣化したのかは分からない。いずれにせよ、他人事とは思えなかった。
開きっぱなしの天紙はところどころ破けていて、骨組みも折れて滅茶苦茶になっている。手入れをしていれば立派な傘だったのかもしれない。
荼毘はどうしても放っておけなくて、雨も雪も降っていない日に傘を拾った。もっとも、その傘に雨風を凌ぐ機能はもう備わっていない。荼毘もいつか、拾い上げた傘を無責任に処分するのだろう。
「貴様にはがらくたをコレクションする趣味があったのか?」
拠点に戻ると、荼毘はスケプティックにネチネチと嫌味を言われた。自分に腕を引かれたおかげでここに居る男がそういう言い方をすると、スケプティック自身もがらくたのコレクションの一部ということになる気がしてなんだか可笑しい。
「俺みたいだろう」
「まるで共感出来ない」
「使い物にならないところが似てる」
「無機物などに自分を重ねてセンチメンタルになるキャラだったとはな」
スケプティックは軽蔑しているのか、軽口なのか、どちらか分からないことをネチネチ言いながら、荼毘の傘をぱしっと叩く。そういえばスケプティックの個性は人形だった。傘がみるみる内に変形して、彼がいつも連れ歩いているかたちになる。
傘くらいのサイズ感のものでも同じ様相の人形が出来るものなのか、と、感心している荼毘の頬に、スケプティックの大きな手のひらが触れる。ぺたり、みたいな間抜けな音がしたと思う。
「
……
これはなんのつもりだ?」
「人形にならんな」
「そりゃそうだ、俺はこう見えて人間なんだぜ」
「じゃあ貴様はボロっちい傘などではないし、使い道だってあるのだろう」
荼毘はここでようやく、スケプティックは自分を慰めているのかもしれないと思い当たった。
荼毘は決して落ち込んでいたわけではないが、スケプティックなりに思い遣って言葉をかけてくれていたのだとしたら、その不器用さが少しだけ愛しいと思える。
「俺の使い道、なんだと思うんだ?」
「世直しだろう、くだらんものを全て燃やしてまわれ」
「燃やし尽くす頃にはきっと俺もボロボロになってるぜ。その時は、スケプティックが拾ってくれるのか?」
「善処する」
日本人のNOの常套句だ。
でもスケプティックは面倒見がいいから、憎まれ口を叩きながらも荼毘の骨を探してくれる気がした。それなら自分も、全力で命を燃やせるというものだ。
なんだか安心して、スケプティックから見えない角度で笑おうとする。
振り返ったところでは、さっきの人形がスケプティックの作業を補助するようきびきび動いていた。あの傘も居場所を得たということなのだろうか。
「貴様が大暴れしたあとだって大変なのだからな。療養期間はくれてやるが、今以上に働けよ」
これには荼毘も目を丸くして驚いた。
ボロボロになったとて、手抜きやサボりは許してもらえないらしい。あまり働き者ではない荼毘は、これ以上お仕事の話をされる前にその場を退散する。
全て燃やそう。その時とても歩けなくても、スケプティックが見つけて腕を引いてくれるだろう。そんな灰の山の上でなら、スケプティックとも、少しくらい踊ってあげてもいいと思った。少しだけだよ。
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