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ちこと
2024-10-29 21:56:28
1075文字
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poke小説・SS
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反省会
2019年のともだち記念日に書いたサト+ピカです。SM115話(グズマ登場回)の夜のお話。
「ごめんな、無理させて」
ほかほかと湯気のたつ黄色い毛並みを、サトシは真新しいタオルで包みこむ。
簡単に水気を切ってやると、あとは自分でとばかりに、ピカチュウは体をふるわせて水を飛ばした。
「気持ちよかったか?」
「ぴーか!」
「そっか。よかった」
昼間受けた毒の症状はすでになく、ピカチュウは元気満たんだ。夕食のポケモンフーズも残さず食べたし、風呂上がりの毛並みはつやめいている。
湿り気の残る毛並みを撫で、サトシはもう一度言った。
「今日は、無理させちゃってごめんな」
言葉じりと一緒に、自分の顔が曇るのがわかった。昼間のバトルの佳境。サトシよりも一足先に、相手のほうがピカチュウの状態を察していた。
「
……
ぴーか?」
耳に届く声に、はっと視点が合う。ピカチュウがまっすぐな目でサトシを見つめていた。
「ぴかちゅ」
サトシを見る瞳に、サトシを責める色は欠片もない。こくんとうなずいて、にっこり笑った。
それだけでもう全部わかったので、サトシはピカチュウを抱きしめた。
ちゃあ、とピカチュウから声が漏れる。笑っている。
「
……
うん。サンキュー、ピカチュウ」
今日のバトル、サトシは引くことができなかった。スカル団のボスという男と、そのパートナーのグソクムシャ。
ククイを、リーグを壊すという言葉をきいて、サトシの心に炎が灯った。みんなと挑むポケモンリーグを、あの最高の場所を、破壊などに譲ってやるものか。
だからサトシは、諦めきれなかった。ピカチュウの体力が限界に近くとも、諦めなければチャンスはまだあった。
そう思ったから、結果、ピカチュウに無理をさせてしまった。
しかしこの、サトシの腕のなかでやわらかい声をあげる相棒は、どうやらサトシとまったく同じ気持ちでいたらしい。だからピカチュウとしては、無理をさせられたという思いはなかったのだ。
ピカチュウだって、諦めていなかった。
立ち上がるかぎり、チャンスはあった。
サトシの相棒は、心ごと、どこまでもサトシと共にあってくれる。
それが嬉しくて、ありがたくて、いとおしくて。
ピカチュウを両腕に抱きしめたまま、サトシは言った。自分の心にも染み渡らせるように。
「おれも、もっと強くなるよ。おまえと一緒に」
そして、おまえが頑張ってくれるのに負けないように、おれはおまえを守るよ。
サトシの言葉をきいて、ピカチュウは力強く鳴いた。
「ぴか! ぴかぴ、ぴかっちゅう!」
サトシの言葉を、そっくりそのまま返すような勢いで。
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