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ちこと
2024-10-29 21:30:21
1370文字
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poke小説・SS
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おいわい
2023年のともだち記念日に書いたサト+ピカ短文です。
記念日にはお祝いをする。ごちそうやケーキやクラッカー、「おめでとう」の言葉と笑顔。
それは、サトシのなかに自然とあることだった。振り返れば、サトシの母親であるハナコは、サトシの誕生日にも、ハナコ自身の誕生日にも、毎年、腕によりをかけてごちそうをつくるひとだ。幼い頃からそうであったから、サトシもまた、記念日にはお祝いをするもので、記念日とは大事な日なのだと、自然と感じるようになったのかもしれなかった。
そんなサトシであったから、自分がピカチュウと出会った日付に気づいたとき、「お祝いをしなきゃ」と思うのも、また自然なことだった。
なにより、サトシ自身がお祝いをしたかったのだ。ピカチュウと出会うことができたあの日は、まぎれもなく、サトシにとってかけがえのないものだ。
それに、だれかの誕生日のような記念日は、なんだか胸がそわそわと躍る。ごちそうのおいしさも手伝って、幸せな心地になる。「この日を迎えられてよかった」と、心から思う。そんな気持ちを、ピカチュウのも感じてもらえたらうれしいと思った。
だから、その日には、サトシはかならずお祝いをする。サトシはもちろん笑顔で、となりを見ればピカチュウも、ごちそうを食べながら、にこにこと笑顔になっている。
いまも、ケチャップたっぷりのオムライスをほおばりながら、ピカチュウは「ちゃあ~」と、とろけるような声を漏らしていた。
「ピカチュウ」
「ぴ?」
相棒がサトシの声に振りむく。口もとには、ケチャップがたくさんついていた。サトシは頬をゆるめながら、指先でそれをぬぐってやる。ピカチュウはおとなしく待っていて、ぬぐわれ終わると、サトシの指についたケチャップを、ちいさな舌でぺろりとなめた。
そんな仕草のひとつひとつ、舌からつたわるサトシより熱い体温も、サトシにとってはすべてが大切で、かけがえがない。
「ともだち記念日、だな」
サトシがかみしめるようにつぶやくと、ピカチュウはまんまるの目をぱちくりと瞬かせ、
「ぴかぴ、ぴかちゅ!」
と、にっこり笑った。
▼
サトシが「ともだち記念日」と呼んで大事にする日があることを、ピカチュウは知っている。
その日が近づくと、サトシはどこかそわそわとしはじめる。当日にはごちそうを用意して、ピカチュウとともに楽しい時間を過ごす。
たくさんのごちそうに囲まれて、ピカチュウは幸せだ。好物であるケチャップの味がするものもある。なにより、サトシがとても嬉しそうだから、ピカチュウもつられて楽しくなってしまう。
「ともだち記念日、だな」
と、サトシがつぶやいた。指先でピカチュウの頬に触れ、くすぐったそうに微笑みながら。
サトシに触れているのがうれしいから、ピカチュウはその指先に、すり、と頬を寄せる。サトシのにおい。サトシの体温。ほかにかけがえのない、大切なもの。
サトシと触れあい、ともにいる、その一瞬一瞬が、ピカチュウにとっての幸せだ。それは、毎日変わることがない。何度くりかえしたかわからない触れあいを、何度でもくりかえしたいと思う。
だからピカチュウは、昨日も、明日も、そして今日もまた、かわることなくサトシに触れ、それから、サトシにこう言うのだった。
「ぴかぴ、ぴかちゅ!」
大好き、と。
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