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ちこと
2024-10-29 21:19:13
1590文字
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poke小説・SS
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いちばんぼし
新無印109話(VSキバナ)後に書いたゲン+サトです。本編とはあまり関係ない内容ですが、ゲンガーの活躍が嬉しかったので書きました。
真っ暗だ。
ぱちりと目を開けて、サトシは途方に暮れた。前後左右、上と下、どこを見ても暗闇で、自分の手足すら満足に見えない。
ここはどこだろう。どこへ行ったらいいのだろう。
おぼつかない足元を、一歩進めてみる。その場で足踏みをしただけかのように、なにも変わった気がしない。
ぽつん。サトシはひとりぼっちだ。ピカチュウがいてくれたなら、こんな暗闇、あっというまに明るく照らしてくれただろうに。
だけど頼れる相棒は、サトシのそばにいない。いつも触れあっている体温がないからか、肌寒いような心地になってくる。
ぶるり。すこし震えて、二の腕を抱えこむ。
――
なんだか、さっきより寒くないか?
サトシは裸足だった。目を開ける前の最後の記憶は、ベッドに入ったときのものだ。あのときの格好のまま、なのだろうか。暗いから、それすらもわからない。
肌寒くて、それから、足元が冷たい。ふと気づいて片足を上げると、小さく、ぴちゃん、という音がした。
足元は、水に浸かっていた。
――
さっきまで、こんなのなかったのに。
背筋が寒くなる。ここはどこだろう。
――
このままここにいたら、おれ、どうなるんだろう。
背中に、腕に、冷たい汗がつたう。
そのとき、暗闇の奥がちかりと光った。
「
……
あれ?」
気のせいだろうか。そう思い、目を凝らす。
ちかり、ぴかり。
気のせいではない。暗闇の向こうで、なにかが光っている。
黄色であったり、緑であったり、桃色であったり。ときおり、光が大きくなった。大きな光は、星のかたちのように見えた。
どこかで見たような光だ。あれは
……
そう。
「ゲンガー
……
?」
サトシがゲンガーと練習した、“ダイフェアリー”。
あれは、ゲンガーの光だ。
そう思った瞬間、星形の光が、サトシの真上から降ってきた。
ぱちり。
目を開けると、ピカチュウがいた。
「ぴかぴ!」
「ピカチュウ?」
「ぴかちゅ!」
おはよう、と言われたので、「おはよう」と返す。なんだ、朝かぁ。
ピカチュウが頭をどけると、その向こうに見慣れた景色が見えた。二段ベッドの、一段目の底。サトシはベッドの二段目で、仰向けになっていた。
――
夢かぁ。
目が覚めれば、どうということもなかった。あのおかしな空間は、サトシの夢でしかなかったのだ。
ほぉ、と息をつく。ただの夢であっても、あまり心地のよいものではなかった。
そうして、何気なく首を横に向けると、今度はゴウと目が合った。
「ゴウ?」
目と目の距離が近い。ベッドの二段目を覗きこむようにして、ゴウはサトシを見ていたらしかった。
「よかった、起きたな」
「え?」
「何しても起きないから、なんかあったのかなって
……
ピカチュウも心配してたぞ」
そう話すゴウの表情にも、安堵のようなものが浮かんで見える。そう言われて、もう一度相棒へ視線を向けると、「ぴかぴ」と囁いて頬を寄せてきた。
「心配かけちゃったのか?」
「ぴーか」
「ごめんな。なんか、変な夢見てたんだ」
「悪夢ってこと?」
「うーん、なんていうか、説明は難しいんだけど」
以前、ゴウと一緒に見たような、へんてこな悪夢とはすこし違う。
「不思議な場所で
……
寒くって、ちょっと怖かった。でも、」
「でも?」
「ゲンガーが来てくれた、と思う」
サトシは首を巡らせた。いまこの場には、姿を見せていないようだ。だが、あの空間には、確かにゲンガーがいたと思う。
「ゲンガーのおかげで、起きられたんだ」
あのまぶしい輝きが、暗闇で、サトシを導いた。
「
……
げんげろげ~!」
「あ、ゲンガー!」
ぱっと姿を現して、ゲンガーはけたけたと笑う。
「ありがとな」
「げんが!」
満足そうに、満面の笑みを浮かべて、ゲンガーはサトシにうなずいた。
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