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ちこと
2024-10-29 21:04:32
1160文字
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poke小説・SS
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とっておき
新無印82話(マホイップ回)の放送後に書いたマホ+サトでした。短文です。
やわらかくとろけるクリームを、口いっぱいにほおばる。
「う~ん、やっぱりおいしい~!」
「ぴーかちゅう~!」
サトシがあげた歓声に、ピカチュウの満足げな声が重なった。それを耳にしてますます嬉しくなり、サトシは目の前のケーキをじっと見つめる。
ケーキを自分でつくりあげることができたのは、たぶん、初めてのことだ。そもそもサトシは、元来、こういうことが得意ではなかった。最近になってコロッケサンドという得意料理はできたものの、ケーキとなるとやはり難易度が高くなる。
だが今回、サトシは初めからやる気に満ちていた。はりきって、うきうきと手を動かした。サトシの気持ちが伝わったのか、ピカチュウも飾りつけのきのみをたくさん選んでくれた。
クリームを扱う高揚感が、まだ胸に残っている。あんなにわくわくできた理由を、サトシは自分でわかっていた。
「なぁ、マホイップ」
テーブルに向かって呼びかける。ケーキの後ろから、キャラメル色のちいさな影が顔を出した。青いベリーの瞳がサトシを見つける。
「まほ?」と、マホイップは微笑んで首をかしげた。
「おれ、このクリームがすっごく好きなんだ」
香りも、味も、触れた瞬間に思ったのだ。心がとろけるように、幸せになれる。
「こんなにおいしいケーキができたのは、おまえのおかげだよ。ほんとにありがとな、マホイップ」
ちいさな体に向けて屈みこみ、目を合わせる。マホイップはにっこりと笑い、「まほ!」と、ころころと軽やかな声をあげた。
「へへへ」
マホイップが楽しそうに笑っているので、サトシはもうひとつ、たずねてみることにした。
「マホイップ、おまえはどうだ?」
「まほ?」
きょとん。あめざいくのようにきらめく瞳が、サトシを見つめる。
「おれのケーキ。気に入ってくれたかな」
絶対、おいしいケーキにしようと思ったのだ。
マホイップはひとつ、ぱちくりとまばたきをして、それからにっこりと微笑んだ。
「まほ!」
クリームの足でぴょんと飛び上がる。サトシが両手を差し出すと、マホイップは手のひらにちょこんとおさまった。
「まほ、まほ!」
ちいさな両手をいっぱいにひろげて、マホイップはたくさん笑う。笑って、ころころと声をあげる。
「まーほ!」
甘い甘い声が、サトシの耳に届く。サトシは、自分の頬が自然とゆるむのがわかった。
「
……
そっかぁ」
ほろりと漏れた声は、肩口の相棒が長い耳でぴくりと拾う。
マホイップも、おなじなのかな。
――
おいしいクリームがつくれたのは、おれのおかげだって。
そう思ってくれてたら、嬉しいな。
口の中も、鼻腔も、胸のなかも、全部全部甘くなる。
「
……
へへっ」
「
……
まほ!」
ふたり目を合わせて、とろけるような笑みを浮かべた。
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