ちこと
2019-09-04 22:56:28
668文字
Public poke小説・SS
 

リングのつかいかた

短くていろいろ半端なところでおわるフパサトです。

 サトシの指にはリングがある。きゅっと細く、金ぴかで、ときおり太陽の光を反射してきらめく。
……へへっ」
 手のひらごと空にかざして、サトシは笑んだ。アクセサリーとは縁遠いものだったが、こうして貰うと嬉しいものだとはじめて知った。むろん、くれた相手が、サトシにとって特別だからだろう。

 サトシのリングは、フーパがくれたものだ。ある日唐突に、「これやる!」と満面の笑みで差し出した。フーパのリングにそっくりの、そのミニチュア版のような指輪。
 かれらしからぬ贈り物にサトシは戸惑いもしたが、フーパがミトンのような手でそのちいさなリングをがんばってつまみ、サトシに手ずからつけようとしてくれるので、微笑まずにはいられなくなった。されるがまま、フーパにリングをつけてもらう。
 フーパがリングをはめたのは、サトシの左の薬指だった。最初からそこにつけると決めていたらしい。
 左手の薬指。そこに指輪があることには、たしか特別な意味がなかったか。そうだ、ククイの指輪。サトシがリングボーイをつとめた結婚式で、ククイとバーネットが交換した指輪は、左の薬指につけるものだったはずだ。
 そのことをフーパに話すと、
「ししし、そう! フーパ、サートンにぷろ……ぷ? ぽー、」
「プロポーズ?」
「そう! プーズ!」
 新たなフーパ語が生まれてしまった。
「サートン、フーパとずっといっしょ! だから、それやる!」
 フーパは満面の笑みを向ける。それでもう、サトシはたまらなくうれしくなってしまった。
「ありがとな、フーパ。大事にするよ」