うとうとと、サトシの首が揺れる。おれも起きてるよ、とは言ったものの、それなりに溜まっていた疲れのおかげで、睡魔がゆっくりと襲ってきていた。
やがて、がくん、と大きく首がおちた。うしろに反り返り、はずみで落っこちて、そして、輪っかが光る。
「あ」
最初に気づいたのはどちらだったか、サトシがぎくりと反応したときには、もうふたりの間には、見えないはずの鎖がぴぃんと張られていた。
「おわぁっ!!」
ぎゅうん、ごちん。もう今日何度見たかも知れない光景に、ひとり難をのがれたピカチュウはため息をつく。
「いっ……てぇ~」
『お前、夜くらい静かにできねぇのか……』
「うるさいなぁ、おれだって好きでやってるわけじゃないさ」
腰だけでなく頭までぶつけて、全身がひりひりするのをこらえながら、サトシはボルケニオンに口をとがらせた。
ふぅ、と息をついて、もといた位置に戻ろうとする。起きあがろうとして、ふいに上げた目線のさきが、ふと夜空をかすめた。
「……ははっ」
そのまま体重を、うしろに預ける。
『おい、なんだよ、おっかかるんじゃねえ』
「いいじゃんか。ほら、見ろって」
指さして、ボルケニオンの視線を空へと導く。
「きょう、星がきれいだぜ」
『…………』
ボルケニオンのからだは硬くて、だけどなんだかあたたかい。だからサトシは背中を預けて、そのまま、後頭部までぽす、とかれに乗せた。
「だろ?」
『…………まぁ、悪くねえな』
素直じゃないなあ、と苦笑して、サトシはピカチュウに手を伸ばす。待ちわびたように飛びこむ相棒を、サトシはいつものように抱きしめた。
「いっしょに見ようぜ、ボルケニオン」
「ぴっか!」
その言葉に応えることはせず、ボルケニオンはただ、目の先できらめく星々と、脚につたわる熱とを、じんじんと感じていた。
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