「くっ」
「丹恒!」
伸ばした手は、触れる寸前で。だけどと届かず、彼の体は窓を突き破り宙に投げ出され。
「クッソー!」
「穹!」
窓枠に足をかけ、同じ方向へ跳ぶ。
なのの悲鳴が聞こえたが、丹恒優先だ。
着地のことは考えていない。ただただ、俺の指をすり抜けていった彼に追いつくことだけ。
何とか着地して、受け身も取れず転がっていった丹恒の元へ走り寄る。
「丹恒! 大丈夫か?!」
あまり激しく揺らさないように気をつけつつ、肩を叩く。
「う
……」
うめき声の後、体を丸めようとしたのでホッと息をつく。でも、周囲を囲まれたのでバットを構え睨みつける。
「ああもう!」
そんな声が聞こえ、敵の足元が凍り付く。
なの、ナイスアシストだ。
「ふっ」
「丹恒!?」
俺の脇を撃雲が飛んでいく。
振り返ったら俺がやられるため、気配でしか感じ取れない。
「手間をかけさせた」
「大丈夫か?」
「ああ。まだ少しふらつくが、戦える」
「無理するなよ」
「もちろん」
戻ってきた撃雲を避け、バットを強化する。
一歩二歩と、背中に寄ってきた気配。
背中合わせに、対峙する。
「はあ。つっかれた~」
全部を動けなくさせてから、大きく伸びをする。
「穹、背中借りるぞ」
「え?」
声と共に、重みが。どうやら、丹恒が背中に寄りかかってきたらしい。
「おんぶするから、乗って」
「ああ」
甘えたい気分なのか、それともさっきのが響いてるのか。
わからないが、なのと合流するまでは俺の背中で休んでくれたらいい。
「二人とも、大丈夫!?」
弓を手にしたまま、こちらに走り寄ってくる。
「丹恒、怪我したの?」
「わからないけど、辛そうだからおんぶしてる」
「そうなんだ。丹恒、重かったりしない?」
「軽い軽い」
「じゃあ、ウチは?」
「どうだろ~」
「穹~?」
丹恒が軽いのは事実だ。まあ、なのも軽いだろう。
なるべく揺らさないよう歩き、依頼人に完了したことを伝えて依頼料を受け取って列車に戻り。
「ただいまー」
「おかえりなさい。丹恒、どうしたの?」
「結構な高さから吹き飛ばされて受け身が取れなかったから、疲れてるんで背負ってきた」
「そう。怪我は?」
「わからないから、診て貰った方がいいかなって思うんだけど
……」
「寝てるわね」
姫子は、俺の背中で眠ってしまった丹恒を見て苦笑する。
「起きたら診るって伝えておいて」
「うん。資料室より俺の部屋の方がいいよね?」
「そうね。穹、あんたもゆっくり休むのよ」
「ありがとう、姫子」
姫子と別れて、俺の部屋へ。
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