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しちろ
2024-09-29 12:12:55
5896文字
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コラボLOM小説(ごちゃLOM)
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ジュンくんとシオン 3
火悠さん、yoshidaさんとのコラボLOM小説第三弾。
瑠璃くんもがんばっていますの回。
何でも許せる人向け、というより何でも許せる人しか読んではいけない。
登場人物紹介
●ジュン(火悠さん宅の男主人公)
強くて優しい世界の英雄。
無意識に人目を気にしていて、他人から嫌われるのを極度に恐れている面も。
瑠璃とは親友&悪友。一緒に遊んだり冒険にいったりする間柄。
●シオン(しちろんちの男主人公)
無愛想で職人肌の居候。相変わらずおうちに帰れない。
今さら言うことでもないが、わりと奇行もやらかす変な人。
人とは距離を取りがちで、他人から慕われたり好意を持たれるのは苦手。
※※※
「この村か
……
」
山脈の山間に存在する、小さな集落である。
遠路遥々訪れた英雄たちを、集落の長は丁重に出迎えた。
「遠くより、よくいらっしゃいました。英雄殿。そのお仲間の剣士殿」
遇されたのはマナの英雄ジュンと、ラピスの珠魅・瑠璃である。
「そんな遠くでもなかったですよ」と笑うジュンに、長は「まさかこんなに早く来て下さるとは」と心からの礼を述べた。
「手紙、拝見しました。ずいぶんお困りみたいですね」
ジュンが手紙を取り出した。マイホームのポストに届いた依頼である。村の近くに強力な魔物が住み着いてしまい、手に負えないとの内容だった。
その依頼主が、この長というわけだ。
「はい、何を好き好んでこんなところに住み着いてしまったやら
……
御覧の通り、辺境の小さな集落です。駄目で元々
……
藁にも縋る思いでお手紙を出しましたが、こうしてお越しくださって感謝の言葉もありません。弱きを助け強きを挫く、正義の英雄殿の名声に嘘偽りはありませんでしたな」
「あはは、そんな大したものではないですよ~。僕にできることなら協力したいですし、村の人々はもちろん、通りかかる旅人が襲われても大変ですしね」
愛想よく答えるジュンの隣で、しかめ面の瑠璃がフンと鼻を慣らした。
「長話はいい。さっさと案内しろ」
「
……
ちょっとぉ、瑠璃ぃ」
態度の悪い瑠璃を、ジュンが肘でつつく。だが、「人間の好きな無駄話なんてのは、魔物を倒した後でゆっくりしろよ」と瑠璃が続けて言ったので、それはそうだと微笑んだ。
二人を先導する長は、とある洞窟に案内する。
「魔物がいるのはこの先です
……
どうか、どうかお願いいたします」
◆
ジュンが瑠璃と魔物退治に出かけてから、数日後。
双子とともにマイホームの留守を預かっていたシオンは、コロナに頼まれものをした。
「あ、ちょうどよかった。シオンさん、この大きな箱、裏手の物置に運んでもらえます? さっき、旅先のジュンさんから届いたんですけど」
「物置?」
「作成小屋の真ん中にある部屋です。なんかの研究室らしいんですけど、ジュンさん全然興味なくて。それにしても、そろそろ帰ってきてもいい頃なのに、どこで油売ってるんだか
……
。ほんとしょうがないんだから」
シオンが、土産をいきなり物置に運んでいいのかと訊くと、コロナは「どーせ、中身はがらくたです!」と中を見もせずに言いきった。この家ではよくあることのようだ。
素直に従うことにしたシオンは、やたらでかい土産を抱え上げて、作成小屋まで運び入れた。本当に、何が入ってるんだ、これ。
「えーと、真ん中の部屋
……
」
この部屋、本来はゴーレム研究室のはずである。
……
が、中はほぼ物置になっていた。どこで手に入れたのやら、珍妙な置物や用途不明の謎の物品が雑多に置かれている。コロナがキレるのも、納得である。
一体どこの土産物なんだか、謎のトーテムポールの隣に荷物を置いたシオンは、エントランスに戻って左右を見渡した。シオンの家にある小屋と構造が同じなら、右の部屋は楽器室、左は鍛冶部屋のはずだ。
ちょっとだけ、中が気になった。
シオンは、モノ作りは嫌いではなく、ジュンがどんなものを作るのかなとは少し思っていた。
ところで、ジュンとシオンは、二人とも大剣使いである。
同じ武器種でも、シオンのそれが比較的取り回しやすい重量と長さであるのに対し、ジュンの大剣は非常に大きい片刃の剣で、彼の背丈ほどもあった。当然腰に差すことはできず、ジュンはその巨大な武器を剥き身で背中に背負っていた。
鍛冶部屋には、その剣の予備なのか、同じ形状の大剣が二本並べて立てかけられている。あまりじっくり見たこともなかったシオンは、のんきに観察してみた。
(バスターソードってやつかなぁ)
男の浪漫武器というか
……
金髪のツンツン頭の人とかが使ってそうなやつだ。部屋の隅には鉄隕石が積んでおかれてあり、剣にも同じ素材が使われていそうだった。
「素材にこだわりでも、あるのかな?」
大きさのわりに異常に重たい隕鉄を手に取り、宙に放ってみる。
そのとき、部屋のドアが開いた。
「あ」
「あ」
投げた石を受け止めそこねたシオンは、そのまま床に落としてしまった。
ものすごく気まずい空気が流れた。家主のジュンが戻ってきたのである。
「あ、えっと、シオン君
……
ここに、いたんだ」
「えーと
……
コロナに頼まれて、荷物運びいれてて」
勝手に入ってごめんとシオンが謝ると、すこし間をおいて、別に大丈夫だとジュンが笑った。
「見ての通り、大したもの置いてないし。僕、あんまり作成やらないしね。あ、荷物って、僕が山奥の村で買った実物大メガクロウラーぬいかなぁ。もちもちでかわいくてつい買っちゃってさぁ。もう届いたんだ~、アマレットちゃんさすがだねぇ」
ジュンは早口で言いながら、シオンの目から遠ざけるように、何やら後ろ手にさっと隠した。それには気づかないふりをして、シオンが訊いた。
「仕事は済んだのか? 帰りが遅いってコロナが心配していたけど」
「あぁ、うん。思ったより手強いモンスターでねぇ。時間かかっちゃったけど、瑠璃と二人がかりでなんとか」
剣の腕前は言うまでもなく、とにかく人柄の良いジュンである。英雄の力と実績を頼られて、各地の住民たちから依頼をされることはよくあるらしい。なお、この世界の瑠璃とシオンについては、初対面の印象が互いに悪すぎて、現状あまり関係はよろしくない。
仕事の話をふられたジュンは、よほど苦労したのか詳細を語りはじめた。
「山奥の洞窟に生息していた魔物。そいつは、二つの頭を持つ巨大な植物だった
……
天井から蔓が伸びてきて、切り落とそうとする僕と瑠璃を激しく翻弄した」
なるほど、シオンには脳内再生余裕だった。誰もが一度や二度は痛い目を見る、LOMおなじみの強ボスである。
「そのうち瑠璃が触手に捕まって」
「うん」
『瑠璃、大丈夫!?』
『くそ、離しやがれ! うねうねと気色悪い!』
だが、植物の触手にしつこく絡みつかれるうち、瑠璃は剣を取り落としてしまった。
すかさず蔓は、丸腰の瑠璃に襲いかかった。
『あっ
……
♡ だめぇ、そこ(核)はぁ
……
♡』
違う意味で。
シオンは速やかに脳内再生を停止した。あんまり言いたかないけど、ドミナの強火女とか薄い本書いてる人たちが喜びそうなやつらしい。
ジュンは目を閉じ、しみじみと言う。
「そもそもが、このボスをのさばらせておくとランド全体が18禁になっちゃうんでどうにかしてくださいって依頼でね~。さすが歴戦のエ〇触手
……
瑠璃の弱点(核)を攻めるのがうまかったらしいんだよねぇ。だんだん瑠璃の語尾に♡がついてきたなぁとか思ってたんだけど」 (作者注:体の表面を優しくマッサージするだけの、紳士的な触手です)
あ、瑠璃は珠魅っていう宝石の種族でね、とジュンが注釈を入れてくれるのを聞き流しつつ、シオンは「なんなのこのファ・ディール」というツッコミをするのはもうやめた。考えても無駄だから。
「で、瑠璃を助けようにも、僕は僕で目の前の敵で精いっぱいでさぁ。そんな余裕ぜんぜんなくって、何とか自分と戦ってた分は倒したんだけど」
ラ・バンだかグレイドゥだか、はたまたその変種だか知らないが、あの系統のボスは強敵である。だからそれはやむを得ない、とシオンも思う。
問題はここからである。
『いいよ~、いいよ~、その顔いいよ~! ほら瑠璃! こっち向いて! いいね、もう一枚!』
『てめえ♡ この、クソジュン
……
♡ あとでぜってぇ、ぶっ殺す
……
!♡♡』
「瑠璃があんまりおもしろいから、写真撮るのに夢中になっちゃって。その時のカメラこれ。現像してレディパールに送ってあげようと思って」
「
……
」
どういう鬼畜だ、このゴリラ。確実に瑠璃の涙石が消費されそうな事案である。
あと、珠魅の核ってそういう意味でも弱点だったとか、そんな情報、知りたくなかった。
「
……
で、その剣は、その魔物相手に破損したってことか」
シオンが言うと、ジュンがビクッとなった。ジュンが背中に隠しているもの、それは折れた大剣である。
「あ、うん。これね。戦闘中に真っ二つに折れちゃって」
それで、代わりの剣をここに取りに来たらしい。
「僕、鍛冶、あんまり得意じゃないから。ちょっと鍛え方がいまいちだったかなぁ。えへへ」
ジュンは折れた剣をガラクタ入れに放り込むと、慌てた様子で立てかけてある予備の剣を取った。
「あ、そうそう! 帰ってきたら、また新しい依頼が来てたんだ! 魔物退治! 瑠璃、外に待たせてるんだ。今回のは近所だし、さっそく今から二人で行ってくるね!」
ジュンはまくしたてるように言って、鍛冶部屋からそそくさと出て行った。話を打ちきりたかったのが見え見えだ。
「鍛冶が苦手か
……
。そうかな」
シオンがガラクタ入れをちらっと見ると、同じように折れたり砕けた隕鉄製の剣がどっさり入っていた。
◆
シオンが母屋に戻ると、ジュンと瑠璃はすでに出かけた後だった。
「あ、ありがとうシオンさん。すぐ帰ってくるなら、マスターに頼めばよかったですね。重たかったでしょ」
「大丈夫、あのくらいなら」
「師匠と瑠璃の兄ちゃんもせわしないよなぁ。帰ってきたと思ったらすぐ行っちゃったし」
まあ、いつものことだよね、と慣れた様子でバドが言っている。だが、コロナは少し弱り顔だ。
「でもマスターったら、よっぽど慌ててたのか依頼書忘れてっちゃって。ほら、これ。あの人、ちょっと忘れっぽいとこあるから
……
ちゃんと場所と内容覚えてるかしら?」
「近くの村って言ってたし、平気じゃない? おれたちで追いかけて、届けてやってもいいしさ。なんなら、大魔法使いバド様が、雑魚モンスターなんかやっつけちゃうぜ?」
シオン、どう? と言われたシオンは、封の切られた依頼書を受け取って読んでみた。
『ジュン様。
いつもお世話になっております。魔物退治のお願いです。
実は、村の泉に巨大なスライムが住み着いて困っております。
タンパク質ではなく、服をとかすタイプのスライムです。
幸いけが人は出ていないのですが、スライムの正確かつ巧みなテクニックによって新しい自分に覚醒めてしまい、クセになる者が続出して困っております。
今では自ら衣類を脱ぎ、泉に飛び込む者が後を絶ちません。
お忙しいことと思いますが、村の秩序とモラルのために、どうか一度、話を聞いてはいただけないでしょうか。
お返事お待ちしております。
●×村 村長』
「シオンさん、どうしましたか。そんなに難しい顔して
……
危険な依頼なんですか?」
いいのか、これ
……
。
そして、純粋な気持ちで師を案じる子どもらに、何と答えればいいのか。
「どう、シオンさん? やっぱり今からでも、ジュンさんに届けてあげたほうがいいかしら。私たちも手伝った方がいいですか?」
「いや、行かなくていい
……
というか、行ってはいけない。今回の依頼は、18歳以上でないと受けられないらしいから」
「そんな依頼あんの? 今こそバド様の出番じゃない?」
とりあえずあの二人なら大丈夫と答えつつ、シオンは手紙を封筒にしまった。
ジュンと瑠璃の二人。命は大丈夫だろうが、違う意味で大丈夫かな
……
とは思った。
◆
一方そのころ。
ジュンと瑠璃は、問題の泉の前にいた。
「これか。多くの罪なき民を虜にし、犠牲者自ら飛び込みに来てしまうという禁断の泉
……
」
何がどうしてこうなったのか不明だが、件の泉
……
スライムプールには、自ら望んでつかり、とろけた表情になった犠牲者たちの姿がある。
「ジュン様へのお手紙に書きました通りで
……
私どもも困り果てております」
「そうですね。村長さん。さぞお困りでしょうね
……
」
「もう、いっそこのままでいいんじゃないかと、オレは思うけどな」
「ダメだよ、瑠璃! 困ってる人がいるんだから!」
依頼を一つ片づけたばかりで、大したお人よし&体力バカである。このお人よしに付き合い続けてすっかり慣れっこの瑠璃は、速やかに剣を抜いた。
「じゃあ、とっとと片付けるか。そろそろ都市に戻って、パールと真珠に会いたいし」
「気をつけてよね、瑠璃。うっかり中に落ちたら、服溶かされたり、こないだの瑠璃みたいになっちゃうかもしれないし」
だが、この発言が、瑠璃の逆鱗に触れた。えらいことになってる瑠璃を放置し、挙句の果てに記念写真まで撮ってくれたのはどこの誰だ。
「この、英雄の皮かぶったクソ野郎! オレの恨み、思い知れ!」
ブチ切れた瑠璃に思いっきり背中を蹴られて、
「ああああああ~!!!!」
ジュンは、あっさりスライムプールへ落ちた。
だが、ただでは落ちなかった。突き落されながらも、ジュンはとっさに瑠璃の足をつかんだ。死なばもろとも。
「ああああああああ~!!!!」
「クソーーーー!!! このクソ野郎がああああ!!!!」
男たちは泉に落ち、巨大な水柱
……
スライム柱が二本立った。
「マナの英雄ジュン様、瑠璃様
……
どうかご武運を
……
」
なお今回、泉に落ちた二人を助け、魔物を退治して村の救世主となったのは、二人を追いかけてきたレディパールとユノだった。
「くっ♡ クソっ♡♡ ち、チクショウっ♡ どいつもこいつもぁ♡ オレの核はぁ♡ パールだけのォ♡ ものだからぁン♡♡」
「いやぁん♡ だめぇ♡ そこだめえ♡ 足の指やめてぇ♡ 指の間ぁん♡ 丁寧にまさぐらないでぇ♡ ユノちゃぁ~ん♡♡」
(作者注:体の表面を絶妙なタッチでマッサージするだけの、紳士的なスライムです)
どうやら、こんなになってるところを、助けられたらしい。
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