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しちろ
2024-07-25 19:20:42
1382文字
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聖剣3
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てのひら
リクエスト作品。ケヴィシャル。
シャルロットが熱を出した。
デュランの指示でまずは近くの町に宿を取り、休ませる。医師の診断では、風邪と長旅の疲れによるものだろうとのことだった。
「大丈夫かな、シャルロット」
「薬も飲ませたし、あとはゆっくり寝ていれば大丈夫だ。ケヴィン、すこしは休めよ。お前が早く異常に気付いてくれたから、軽く済んだんだ」
「うん、ありがとう。デュラン」
こんな時デュランは一層頼もしい。ケヴィンたちより少し年上で面倒見がいいし、妹がいる、というのもあるのかもしれない。
ケヴィンは、落ち着かなかった。医者やデュランが大丈夫というのだから大丈夫なのだろうけど、やはり心配になってしまう。体力に恵まれた獣人と比べて、シャルロットはあまりに小さいから。
「うーん」
「あ、起きた」
つい顔をのぞき込んでしまったタイミングで、シャルロットの目が開いた。ぼんやりしているのか、目つきはとろんとしている。
「ごめん、起こしちゃったか。具合、どうだ?」
「なんだか、ぼーっとするでち」
試しに濡らしていたタオルをのけ、小さな額に手を当ててみる。まだ熱い。
と、ふいに布団の中からシャルロットの手が伸びてきて、ケヴィンの手をぎゅっとつかんだ。ケヴィンが目を丸くする。ちょっと、いや、だいぶ驚いた。
「どうした?」
「おっきいでちねえ」
「え?」
「ケヴィンのて」
言われて、ひっこめた手をまじまじと見つめてしまう。そんなだろうか。すかさずシャルロットが催促してきた。
「もっかい、てぇだすでちよ。ほら。シャルロットとこんなにちがうでち」
乞われて手を合わせると、ケヴィンの手はシャルロットより二回りも三回りも大きかった。それはそうか。
「ん~」
「シャルロット?」
ケヴィンが首を傾げる。シャルロットが、合わせていた手を握ってきたから。
「えへへ。シャルロットがねつだすとね、おじいちゃんやヒースが、こうやっててをつないでくれたでち。なつかしいでち」
シャルロットは熱に浮かされた顔で、とろとろと笑っている。きっと、彼女の小さなころの思い出なのだろう。幼い日の優しい記憶。大事にされてきたんだなと思った。
「でも、ケヴィンのてだと
……
」
「ん?」
「
……
あ」
ふにゃふにゃと夢見顔で語っていたシャルロットは、そこまで言って急に布団をぱっとかぶってしまった。
「シャルロット? どうかした?」
「な、なんでもないでち! おやすみでち!」
「え、え? うん。おやすみ。シャルロット」
なんだろう。なぜだかそこだけ、やたらはっきりした声だったような。
静かになったところでケヴィンがそっと布団をめくってみると、シャルロットは本当にすやすやと眠っている。今の会話、熱のせいか寝ぼけていただけか。
「な、なんだったんだろう」
なぜだか妙にドキドキする。
ところで、一つ困った。
「どうしよう、手離れない」
おやすみと自分から言っておきながら、シャルロットの手はケヴィンの手を握ったままだ。強引にほどくことはできるけどまた起こすのも悪い気がするし、かといってあんまり部屋に戻らずにいると、またデュランに言われてしまいそうだし。
小さな手の熱を感じながら、ケヴィンはシャルロットの言葉を思い返す。シャルロット。オイラの手だと、司祭様やヒースさんとどう違ったんだろう。
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