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しちろ
2024-07-25 19:14:51
1426文字
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LOM
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愛のありか
ワンライ。瑠璃主っぽい。
一言で言えば、変わったヤツだった。
出会いはドミナの町。迷子の真珠姫を探してたオレは、すっかり冷静さを失っていた。街中話を聞いて回ったり、酒場のウエイトレスに詰め寄ったりして
……
今思えば完全にオレが悪かったのだが、それを止めに入ったのがヤツだった。
「ちょっと、そこのキミ。女の子を脅してなにをやっているんだ」
「ウルサイ、取込み中だ!」
カッとなって振り返った。
……
ヘンなヤツだと思った。女だ。頭に棒が刺さっている。
「なになに、人探し? 女の子? へえ、なら私も一緒に探そう」
オレの事情を知った女は、迷うでもなく簡単に言ってのけた。親切心にも見えたし、ちょっと面白がっているようにも見えた。
助力を感謝しつつも、内心オレは警戒していた。真珠姫を助けたところで、この女には何の得もない話だ。
……
珠魅狩りかも、しれない。
女は、古風な形状の槍を肩に担いでケラケラ笑っている。
「私はね、今、見るモノやることなんでも新鮮で楽しいんだ。愛
……
うーん、愛ってなんだろうね? 探せば、いずれは見つかるものかな? まあ、できることいろいろやってみるといいさって、ドゥエルも言っていたからね」
……
見た目もヘンだが、中身はもっとヘンだ。
とにもかくにも、みょうちきりんな頭の棒が良くないと思った。
なんの因果か縁なのか、女との付き合いは真珠姫を見つけてからも続いた。
オレの、珠魅狩りかもという疑念はそのうち晴れたが、ヤツがヘンな女であることに変わりはなかった。
「はいはい、鬼サン、こっちだヨ~! おしりぺんぺーんだ!」
……
なあ、アンタ、聞かせてくれ。人間の女って
……
しかもそれなりに年頃の女が、こういうことするもんか?
たまたまアイツと酒を飲んだとき、ヤツはこんな愚痴をこぼしてきた。
「瑠璃、どう思う? 恋愛に興味がないわけじゃないんだが、私はどうもモテなくてね
……
。愛の詩人ギルバートは私『だけ』を完全にスルーするし、海賊船に乗れば船長に海の男と連呼されるし。これでも私は、『愛』を探して旅をしているんだが
……
」
……
ものすごくわかる気がする。
どうでもいいが、ヤツが頭にさしている棒。本人は至極真面目におしゃれのつもりだということが最近分かった。
「瑠璃。もし私が涙を流したら、愛というモノがわかるだろうか?」
「は?」
それは、古の珠魅の伝説。珠魅のために涙する者、すべて石と化す。
本当かどうかは、誰も知らない。
「わかるかどうかはしらん。だが、もし分かったとしてもアンタ、その瞬間に石になっちまうぜ。そうしたらなんも分からなくなっちまう。それじゃアンタ困るだろう」
「ああ、そうか。じゃあ、意味ないかなァ。私は今も世界中探している。でもどうしても見つからないんだ。高い空まで昇ってみても、地底の果てまで潜ってみても」
だから一度くらい、石になってみてもいいかなと思ったんだがねえ。
酒の注がれたグラスと頭の棒を揺らしながら、ヤツはケタケタ笑った。
……
そういう冗談はやめてほしいと、オレは思った。
ヘンな女だ、相変わらず。
でも、オレはヤツのことが嫌いじゃなかった。一緒にいる時間が、好きだった。
この女のことが、好きだった。
だから、オレは今、聞きたいと思っている。
なあ、アンタ。
オレの目の前で、石になっちまったアンタ。
涙を流したアンタに、愛は見つかったのだろうか。
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