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しちろ
2024-02-14 16:23:04
1561文字
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聖剣3
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ハッピービターバレンタイン
アンジェラ主人公。バレンタイン、デュラアン。甘くはないです。
ここを出たら気合い入れようと思ってたの。
おいしく作って可愛くラッピングして、ふたりきりのときに渡したかったの。
ホントの気持ちは今日まで隠してた。だから、なんて言おうかなって悩んでいたの。それなのに!
「なんなのよう、このダンジョンは!」
何日も何日も、同じところをぐるぐるぐるぐる! 踏破の予定を大幅に過ぎて、かれこれ一週間は彷徨っている。本当なら今頃は、街の宿に泊まってのんびり羽を伸ばしている予定だったのに。
『間に合わなかったね〜』
わめくアンジェラの頭の中で、フェアリーの声がわんわん響いている。残念そうな、そのくせアンジェラに共感しているようで、ちょっぴり笑っているような。
「フェアリー、アンタさ。ちょっと面白がってない?」
『そんなことないよ~。私は女神さまの聖域から来た可愛い妖精さん♡ 人間には憑りついても、ヒトのプライベートは詮索しない主義♡』
ウソよウソ、絶対ウソ!
『今よ、アンジェラ! 彼の唇を奪うチャンスよ!』だの、『そこで退いてどうするの! もう一押しよ!』だの、妖精のくせに人間の恋愛に興味津っ々なのわかってるんだから!
イライラしながらアンジェラは、残り少ないぱっくんチョコをガリガリかじった。このチョコもおいしいけれど、今日のはこういうんじゃ、なくってさあ。
「おい、回復できたか?」
「ひゃあ!」
アンジェラが飛び上がった。離れた場所にいたはずのデュランが、こちらをのぞき込んでいる。
「もうちょっと、時間ちょうだいよね。女の子は早食いのアンタと違って一口にってわけにはいかないの!」
「何をカリカリしてん
……
わっ」
アンジェラは有無を言わさず、残りの板チョコをデュランの口に押し込んだ。
ホントに、こんな日にするつもりじゃなかったのに。
「あのね、それは仮だからね! ここを出てからのが、本当のだから!」
もうちょい可愛い言い方すればいいのに。アンジェラだけに、フェアリーの呆れ声が聞こえた。
■
「まいったね、こんなに手こずるはずじゃなかったんだけど」
すっかり軽くなった道具袋を確認しながら、ホークアイは息をついた。思ったよりはるかに手ごわい洞窟だ。回復アイテムも心許なくなってきたし、一度出直すしかないかな
……
そう思っているところへ、デュランが戻ってきた。その後方で、岩に腰かけたアンジェラがこちらに背を向け、ぷりぷり怒っているのが見えている。
「どうしたんだい? なんだって、彼女」
「よくわからんけど、いきなり怒られて口にチョコ押し込まれた」
なにを怒ってんだ、アイツ。ひとかけらというには、ずいぶん大きな塊を押し込まれたらしい。デュランは噛みにくそうに口をもごもごさせている。
それを見たホークアイが「あー」と声を出した。
「なるほどねえ、キミのにぶさも大概だな」
「なんだよ」
「デュラン。キミ、ここに入ってから、ちゃんと日数数えているかい?」
「そんなん数えてねえよ。こんな洞窟ン中で、昼も夜も分かんねーくらい真っ暗だし、そういうことはどーせ、お前とアンジェラがちゃんとやってくれてるだろ」
ホークアイはやれやれと言って、「今日は二月十四日だぜ」と教えてやった。
「あ? それがどうか
……
」
二月十四日。
『お兄ちゃん、ハッピーバレンタイン!』
『デュラン、クッキー焼いたよ。今日はもちろん、チョコレートのね。持っていきな』
ウェンディやステラおばさんがチョコレートをくれる日。
……
アンジェラが言った、『本当のチョコ』。
理解したデュランの顔が、カンテラの明かりでもわかるくらい、みるみる真っ赤になった。
「にぶいねえ、ホント」
ホークアイが苦笑いしながら、道具袋から魔法のロープを取り出した。
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