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しちろ
2023-05-03 23:01:15
2348文字
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聖剣2
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ただ、それだけで
聖剣2。ランディ→プリム(ディラプリ)のランディとポポイの会話(三人称。ギャグより?)&ED後ランプリ(シリアス。ランディ一人称)の二本立て。2300字。
遺跡の後のイベントとかか?
◆ポポイとランディ◆
「アンちゃんってさぁ」
「ん?」
「ネエちゃんのこと、好きだよな?」
「ぶっ」
ランディは茶を吹いた。正面から浴びたポポイが、ローブのすそでごしごしと顔をぬぐう。
「きったないなぁ、子分のくせに」
「ポポイがいきなり変なこと言うからだろ!」
それも藪から棒に。ランディはむせこむながら、口元をぬぐう。
だいたいぼくはそんなんじゃないし、プリムにはディラックさんと幸せになってほしいし。
かすれ声でぶちぶち言い訳する子分へ、ポポイは、ホントかな~? アンちゃんはなかなか本当のこと言わないしなぁ~? などとわざとらしく言っている。
ランディはあまり自己主張せず、本音を押し込めていることが多い。最近はずいぶん改善されたし、しゃきっとする場面も増えたが、『親分』から見ればまだまだだ。
「オイラが思うに
……
」
「ポポイ、聞いてないだろ」
「アンちゃんはまず、気合が足りない」
「気合い?」 いったい何の。
「なにがなんでも、ディラックのニイちゃんからネエちゃんを奪ってゲットするという気合いだよ!」
「だから、そういうんじゃないって!
……
大体、子どものお前になにがわかるんだよ」
「え~、わかんないぜ~。オイラ妖精だし、こう見えてもアンちゃんより長生きしてて経験豊富かも」
「えっ」
「うそだけどな!」
ポポイは、口をぱっかり開けてケラケラ笑う。調子に乗っているときによく見せる悪たれ顔だ。
しかし、急にきっと真顔になり、講釈師のようにテーブルをパンと叩いた。
……
やっぱり調子に乗っている。
「アンちゃん、見た目よりずっと強いし、素材は悪くないんだし。もっと背筋を伸ばして猫背を直して、腹の底から声出して、聖剣の勇者として致命的な、その臆病で弱気な性格を直せば行けるぜ! たぶん」
「
……
要するに全部だめってことじゃないか」
「最近はだいぶマシになったと思うし! 安心しろ、ネエちゃんのそばにいる分、アンちゃんに分がある!」
……
そんなこと言われたって。
ランディは困るし、どうしようもないとも思う。
いくら一緒にいたところで、プリムの心はディラックにあるのだから。ランディはプリムがどれだけ恋人を想っているかよく知っているし、そこに割って入ろうなんて少しも思わない。だからってあんな風に彼女を泣かせるのは、許せないけれど。
「フクザツだねぇ、アンちゃんも」
物知り顔でポポイが言う。
「オイラの子分なんだから、自信を持て! オイラは、見込みのない奴は子分にはしないからな!」
◆ランディとプリム◆
亡くなった人には勝てない、とよく言う。
勝とうなどと思ったこともない。
「ランディ君と言ったね
……
プリムのことを、頼んだよ
……
」
ぼくは、あなたのかわりには、なれない。
あなたと彼女の別れはあまりにも凄惨で、優しく寄り添うには、彼女の心の傷は深すぎた。
ポポイ、お前には臆病だと笑われたっけ。
彼よりもぼくのほうがそばにいるくせに、チャンスをふいにしてるって。
ぼくはそんな風に思ったことなんて一度もなかったし、二人の間に割って入ろうなんて思いもしなかった。だってプリムが好きなのは恋人の彼で、一途な彼女の心はいつも彼のことで占められていたんだから。
だから、よく笑うプリムの、本当の笑顔を見られるのは、彼が彼女のもとに帰ってきたときだろうとぼくは思っていた。
「アンちゃん、そんな真っ赤な顔で言っても説得力ナイし」
そんなことはないし、子どもに何がわかるんだってつい言い返したら、ポポイはたまに見せるやけに大人びた顔でこんなことを言ってきた。
「え~、わかんないぜ~。オイラ妖精だし、こう見えてもアンちゃんより長生きしてて経験豊富かも」
「えっ」
「な~んて、うそだけどな!」
今はいない妖精族の仲間は、そういってケラケラ笑った。
あの時は、からかうなって怒ったけれど。
ポポイ、やっぱりお前の言った通りだったのかも。
ぼくはプリムの幸せを、彼と無事に再会できることをずっと願っていた。けれどその一方で、彼女が少しでもぼくを見てくれれば、彼女の心の片隅にでもいられれば、なんてどこかで思っていたのかもしれない。
マナの要塞で彼は
――
ディラックさんはプリムから永遠に失われ、そしてプリムの心に永遠に住むことになった。
今、ぼくは彼女のそばにいるけれど、彼女の心は今だ彼のもとにある。
彼の代わりになろう、などと思ったことはなかった。なれるとも思わない。
話をしたいときに、彼との思い出を話してくれればいい。
理不尽に耐えられなくなったら、好きなだけ怒りをぶつけてくれていい。
泣きたくなったら、好きなだけ泣いてくれればいい。
ぼくは、彼女が涙を流した時、思い出に浸りたいとき、つらく苦しい時。そばにいてあげられれば、ただ、それで。
その時も、彼女は静かに泣いていた。
彼を思い出して悲しいのだろう、そう思ったから。
だからただ、そばにいた。
ぼくの胸に預けられた彼女の頭を軽いと思いながら、背中をそっとなでていた。
こんな時、ぼくがしてあげられることと言えば、これくらいしかなかったから。
「
……
ねえ、ランディ。あなたは、にぶすぎるわ」
かすかにふるえる、声が聞こえた。
何を言ったかよく聞き取れなくて、聞き返そうと思うより先に。彼女の手が、ぼくの手に重なった。
「私
……
あなたとディラックを、比べたりはしないわよ」
『プリムのことを、頼んだよ』
頬に涙の残る顔をこちらへ向けると、プリムはぼくに向かって微笑みかけた。
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