水雲
2024-10-27 17:14:00
3533文字
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CWシナリオ感想

Cardwirthシナリオの感想です。
各感想に当該シナリオのネタバレを含みます。折りたたみ状態なので、クリックすることで展開されます。

往けよ旅人、口笛とともに(mahipipa様)貼り紙の文章や作中の伝承が、クライマックスに向けて美しく集束していくシナリオ。
ラストの戦闘が熱くてたまらないのですが、しかしBGMの口笛のおかげか敵のバックグラウンドのおかげか、どこか哀愁も感じ胸が締め付けられました。
一番最後のメニューカードが出たときは思わず感嘆の溜め息をついてしまいました。『彼』も無事助けることができて、思い残すことはありません。

風の呼ぶ声(サンガツ様)探索の末に見出だした、光の中に佇む剣の神々しさ。その剣の来歴を知ったときは苦しくてたまりませんでした。自らの終わりを見据えることのできる存在というのが、切なくて大好きです。
そしてラスボスの正体、技能カード裏の説明……。PCは在りし日のボーラを直接見たわけではない。それなのに、このカード裏のテキストやNPCたちの言葉で、ボーラの『優しき風竜』というイメージをはっきりと刻み付けてくるのがたまりません。
優しさはうつり、伝わるものだと思わせてくれるシナリオでした。

Mimic(柚子様)実行犯の生い立ちは過酷なものでした。しかしそれで同情を引こうなどとは思っていないだろう訥々とした語りから、『彼』は人の情の世界から切り離されてしまった人だという印象を感じます。その人間離れ感、雪国の冷たい空気や事件の凄惨さと相まって鳥肌が立ちました(もちろん良い意味で)。
全体的に暗い感じのシナリオだと思ったのですが、どんより曇った闇というよりは底知れない氷の谷を覗いているような感覚でした。暗いながらも、どこか澄んだ透明感も覚えたんですよね、個人の感想ですが。
黒幕とも言うべき存在は設定からしてツボにはまり、今までの暗躍に相応しい緊迫感のある戦いを楽しむことができました。

フォエニ様が征く!(班地 殴様)最初から最後までギャグたっぷり、暴走機関車ばりのフォエニお嬢様との旅! いや本当に敵という敵を蹴散らして下さるんですもん……。所持技能の一つ一つが輝いてます。性能的にもフレーバー的にも。
どこもかしこも笑える部分ばかりでしたが、一番笑ったのはどう見てもカタギじゃない宿屋。世界を半分ってそういう?! 久々に濃ゆいお嬢様成分を摂取しましたわ~!!

タブララーシャ(かがち様)最初に驚いたのは、「こんなガチガチの戦闘シナリオに濃密なストーリーまで付いてるの?!」という点でした。敵たくさんの戦闘シナリオ=ストーリーは無いか薄味、という先入観があったんですよね。良い意味でそれを壊されました。
ルーナにすごく苦戦したのですが、それだけに勝ったときの喜びもひとしおでした。
離れたエリアへ移動するのに少し時間が掛かるなとは思ったのですが、クリアしてからは、あのページをめくるような移動演出こそ意味のあるものだと気づかされました。
何より一番刺さったのは、スペシャルエンドのラストバトルに突入して、最初に出てくるメッセージ。ラスボスの二つ名に、「何も間違ってはいないけど、そのひとをそんな呼び名で呼ばないでくれ!」と心が悲鳴を上げてました。今でも思い出すだけでしんどいです(でもそのしんどいところが好き)。

さよならの森へ(椎倉様)まず一番に言いたいのは、貼り紙の一文が途方もなく美しいということです。一目見たときから心を掴まれました。更にその一文の感動も覚めないうちに押し寄せてくる美麗な演出と文章の数々、まるでアンティークの詰まった宝箱を眺めているようでした。
物語の分岐が多いながらも、次に何をするべきかという動線がはっきりしているので遊びやすかったです。
最初はEND7にたどり着いたのですが、バトル後の蝶が沸き上がるシーンが大好きです。主人公と相方の間の想いが決して一方通行ではないと感じ、感動の中に安心の混ざった不思議な気持ちになりました。

悪夢の地(tank様)長編シナリオながら、ギャグとシリアスの緩急が程よく、全く飽きがきません。NPCたちも名前付きからいかにもなモブまで個性付けされていて、しかし決して出番を食い過ぎることはない、全てが絶妙なバランスを保っているシナリオでした。
砦探索中の台詞とか、きちんと一人ひとりに設定されていて細かい部分の作り込みもしっかりしていてありがたいです。ストーリー面の面白さもしっかり感じます。正統派ヒーローが報われる熱い展開に手に汗握りました。

うたのはの彼方(98様)雰囲気と歯応えのある探索、遊んでいてとても楽しかったです。この雰囲気づくりが洗練されていて、そこで行われていたであろう実験が見えてくるに従いゾクゾクしてしまいます。
最後のガラハッドさんの台詞、とても好きです。優しい人には報われてほしいと思っているので、彼のその言葉でプレイヤーもまた救われたような心地になりました。

アンタレス(バルドラ様)少し不思議な夜のお使い。この「少し不思議」な要素がまるで当たり前のことのようにポンと出てくるので、シナリオに没入するうちに「現実でもこんなことあるのかもしれない」なんて思えてしまいます。あるものはロマンチックだったり、あるものは奇妙だったりするのですが、それらが自然と馴染んでくる感じは独特ながら幻想的です。じんわり心に染み入ってくるシナリオでした。

棺の街 アルビナ(伊礼様)濃厚かつ骨太なストーリーと、それを支える作り込まれたダンジョンの数々、舞台となる街アルビナの膿のように重く濁った雰囲気、全てに引き込まれました。
特に探索面は非常にボリュームがあります。しかし一つ一つのダンジョンはそれぞれ雰囲気も異なり、堅実な造りも相まって、終始飽きることなくプレイできました。
『誰かの犠牲で成り立つ平和』というテーマが(胸が苦しくなりますが、それゆえに)好きなので、そこに正面から立ち向かい、協力し合って打破する流れは心がとても熱く燃え立ちました。

煤塵燻りて(カブ様)カブ様のシナリオの文章表現はいつも美しいなぁと感嘆しながらプレイ。ミニゲームに詰まりがち(決して嫌いではない)なプレイヤーですが悩みに悩んでも可愛い羊ちゃんのためなら!!と頑張れました。
特に1日目の灯渡りのシーンが息を呑むほど美しかったです……。そのシーンの画像は暗闇に灯る灯りの写真で、それ以外の人や物が写っている訳ではなかったのですが、闇の帳の奥に煤被りの人々や、かれらに導かれる家畜たちの息遣いを確かに感じられる場面でした。カブさんのシナリオは、その土地や一族に属して生きる人々の生命を感じるというか、そこに『いる』なぁ〜という感覚がして好きです。

うつわに濁る(カブ様)作中の冒険者たちの振る舞いが、「全てのものを掬いきれないけど、それでも指の隙間からこぼれるものが少しでも減るように心を砕く」という感じで、すべてを救ってゆけるようなヒロイックな冒険者像とはまた違った良さがありました。
シナリオ開始直後の序文、はじめ見た時はさらっと流せたのに、誰の視点かわかってしまうと一気に心動かされました。「他人ごとだった人の死が、他人ごとでなくなってしまった」というシーン、まさしくプレイヤー自身も視点人物が誰かを理解したことで「他人ごとでなくなった」という引き込まれ(?)が発生して、周回する度に唸らされます。最初はEND3、その後END4をぐるぐるし続けEND2、1と辿っていったのですが、最後がEND1で良かったと思います。

食料品市場での戦い(tene様)わぁい経営シミュレーション 水雲経営シミュレーション大好き
楽しすぎて時間が……溶ける!ついでに小豆に全てを掛けて金が溶ける!!(一向に学ばない)リアルギャンブルには手を出すまいと誓いました。
まずは低い目標と少種類の商品でシステムを覚えさせ、徐々にステップアップしていく構造がとてもプレイヤーに優しく遊びやすい仕組みだと感じます。できること、観られる情報が増える→またやりたい!のサイクルにまんまとハマってしまいました。穀物と水の価格関係はなるほど〜となり、知って以来は専らこの2つで稼いでます。買い占めだ!!

モノは出会い モノは選ぶ(つちくれ様)水雲に大規模クラフトシナリオを与えてはならない。荷物袋が爆発する。冗談抜きで200ページ荷物袋が肥えたので倉庫さまさまです。ありがてぇ……
壺漬け&燻製楽しすぎてリアルでやったことがないのに荷物袋を加工肉と魚で埋めるプレイヤー。道具を集めたり環境を整えたり、そうしていくうちに行ける場所が増えたり……と、開拓感が強くてめちゃくちゃわくわくします。胡桃の蜂蜜漬けを食べてみたいです。