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志良(シイラ)
2024-10-27 12:51:41
1164文字
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ギルガメッシュ√「裁定の時」
アーキタイプインセプションを経たシイラのギルガメッシュ√の解釈
い
――
懐かしい旧校舎で、桜の花が舞う。
舞い散る姿が美しく、どこか悲しい。
儚いその光景の中、笑いながら遥かな後輩を見送った。
やり残しは、もう何もない。
惜しいのは、仮初の級友たちがいないことぐらいで。
だが、彼らとの別れならもう済ませではないか。
もう本当にやらなければならない責務は、もうない。
やりたかったことも、すべて終えた。
だから今度こそ、おやすみなさい。
桜に包まれる中、晴れやかな気持ちで、彼女は目を閉じた。
本当に? やり残したことは本当にない?
問いかける心の声に、彼女は最後に口元に笑みを浮かべて、短い言葉を零した。
――
どこか欠けた夢を見たようだ。
岸波白野はムーンセルから遠く離れた異星で目を覚ます。
「何だ、ようやく起きたのか。確かにまだ半日ほど時間がある故、休んでもよいとは言ったが、ほとんど寝ておったではないか」
ぱちくりと白野は厳しい目線で自らを見下ろす相棒を見上げた。
「ああ、ゴメン。退屈だった?」
彼女は相棒と共にムーンセルを脱出した。ムーンセルとギルガメッシュとの見解の相違のためだ。
岸波白野の消去について。
元がNPCとして作られた彼女は聖杯戦争の終了と共に削除される結末だった。
イレギュラーで生まれたマスターはバグとして消される運命だった。
それを覆した規格外のサーヴァントと共に、岸波白野は月の海から、星の海へと旅立った。
「ふっ、先ほど面白いものを見た故、粗相は許そう」
ギルガメッシュはそれはそれは愉快そうに笑い、空を仰いだ。
「それ何の話?」
ギルガメッシュは紅の瞳を細め、白野の問いには答えなかった。
「我の気分が乗っているうちに旅立つぞ、マスター」
その答えの代わりに彼は出発を告げる。
「どこに行くの?」
見た覚えのない宝具を蔵から出す相棒に、白野は訊ねる。
「見るが良い! これぞ、貴様をムーンセルから連れ出す時にも使った跳躍航行する宇宙船!」
高笑いをするギルガメッシュの前に、白野は唖然とした表情を向ける。
「ええっと、それで
……
どこに行くの?」
「うむ、実は太陽系の近くに戻る。そろそろ人類史に結論が出るようだ。その予兆を感じ取った故に裁定を下しに行かねばならん」
白野にムーンセルからの影響が出ないようにはする、とギルガメッシュは語る。
「あー、そうか」
ギルガメッシュは自らを人類史の裁定者と定めた。その時が来たというのならば、行かねばならない。
「裁定を下した後、また旅に戻るの?」
「当然よ。これより、人類の舞台は星の大海へ移るのだ。我がおらずしてどうする? もし人類が愚かな選択をするのであれば、艱難辛苦として立ちはだかるのも我の務め。行くぞマスター、旅立ちの見物にな!」
そして旅人は星空を征く。
まだ見ぬ何かに心躍らせながら。
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