NEO
2018-11-18 16:41:47
699文字
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もしかしたら、此れが

#炭善版夜の描き書き一本勝負、その1
(20181121)



「あのね……私、お願いがあって……
「どうしたの?」
「あのその私、……彼が……っ、……

鈴蘭を鳴らしたら斯様な音が響くだろう、と。感度の高い耳で韻を拾いながら善逸は思う。甘く優しい囁きに胸を焦がすなら自分よりあいつの方が適任だとも。

「君から伝えなよ、ね?きっとその方が」
「駄目。私……云えない」

黙っていてもいいんだよ、その気持ちが、想いが、芳しい香りとなって炭治郎に伝わるから。この娘はまだそれを知らないだけ。俺はただ背中を押してやればいい。

「大丈夫。信じて。あいつを。自分の心を」

砕き割れ崩れ落ちる薄氷のような俺の期待。今度こそ跡形もなく消えるんじゃなかろうか。あいつなしでも生きていられるといいんだけど。
もし勇気が出せたら、きっと御礼に来ると約束した少女が去ると見計らったように入れ替わりでやってきた張本人。矢鱈鼻の利く男。俺たちは友達で、仲間で、今は━━

「善逸。お前が優しいのは知っている。だが、ああいった手合いは躊躇わず断ってくれ」

それとも確かめたいのか、と、苦々しげな吐息と共に熱い手のひらで両頬を包まれた。温もりが移る心地好さに思わず目蓋を閉じる。するとすぐ額にざらつく傷跡が当たり、いつもながらの性急さに己の小心を恥じた。

「だってあまりに可愛いんだもの

一目瞭然の勝敗だったから逃げたくなっちゃったの、ごめんね。そっと舌に乗せて謝ると待ち受けていた口唇に吸い付かれる。寂しげな音。

俺は、お前ほどじゃないと思う」

柴犬みたいに忠実な想いを交わす今、俺たちは、


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