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NEO
2017-10-07 11:02:18
2087文字
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炭治郎は善逸を避ける
キメツ学園(転生編/炭善)
~キメツ学園(転生編/炭善)~
■炭治郎は善逸を避ける
煩い。泣く。逃げる。風紀委員。そんな性格だからだろうか、それとも立場のせいだろうか?善逸はどんな時でも独りでいる。授業中も休憩も、食事時や委員会や下校の時まで独りでいるのをよく見掛けた。近付かなくても痛いほどに漂う誰よりも、寂しい匂い。誰か、あの、小さな背中に気付いてくれ。そして守ってやってほしい。きっと彼は応えてくれるから。惜しみない愛を注いでくれるだろう。
善逸━━━我妻先輩との会話は、たった一度きり。
登校時に勧告を受けた。風紀の仕事で服装点検に従事していた彼は、耳飾りが規律に反する、と呼び止めたのだ。しかし彼は見逃してくれた。此の耳飾りが父の形見だ、と知ったから。涙ぐみながら、行けよ、と赦して背を向けた。あの頃と変わっていない善逸の仕草に、俺が、慟哭を堪えて唇を噛んでいたことも知らずに。
善逸。お前は、俺がお前を避けていると気付いていただろうか?
俺にはあの頃の記憶がある。
それも生々しく、鮮明だった。まるで昨日のことのように思えるほど。血や、涙や、生臭さで、魘されて目覚めることも少なくない。俺には心の余裕が足りなかった。無力感に苛まされて、一日を陰鬱に過ごしてしまうことも屡々だった。特にお前、善逸。お前の記憶が。俺に深くざくりと一太刀刻まれている。それがなぜか、お前は知らない。誰も、誰一人知ることはないだろう。俺にしかわからない。そのことが、せめてもの救いだと今は、思っている。
声、姿、存在感、匂い
…
それら全てがあの、鬼殺隊最終決戦を想起させる。激しい剣戟、倒れ行く仲間たち、終わらない死闘、やがて夜明けがきて━━━あと、数分早ければ。震える。今でも体が、心が打ち震える。恐ろしい。忘れたい。本当に酷い戦いだった。剣士も、隠も、柱でさえも倒れた。確かに鬼を殲滅したはずだ、けれど、俺たち鬼殺隊の面子も殆ど生き残れなかった。そして善逸、お前は。お前は俺たちのために
……
忘れろ、忘れろ。今の善逸は最早関係ない、幸せな現世の人生を歩んでいるのだから。俺の躊躇を悟られてはいけない。思い出させるような刺激を与えてはいけない。善逸、思い出さないでくれ。忘れていてくれ。許してくれ。お前が、俺の、俺たちのせいで。微笑みながら、満たされ、散っていったことを
………
お前の最期を、俺は、ずっと視ていたんだ。
善逸にあの頃の記憶はない。
俺のことも。俺たちの絆も。俺たちは同期で、仲間で、お前は俺に好きだと告げてくれた、俺は何も返せなかった、なぜなら善逸、昔の俺が馬鹿野郎だったからだ、愚鈍で腑抜けでとんだ愚か者だったからだ。お前が一途に待ってくれることを知っていた、お前の優しさに胡座を掻いて慢心した、お前がいつまでも想ってくれると安心して俺は禰豆子を戻すまでとお前に甘えてた、知らずに、お前を苦しめた。なのにお前は
……
笑顔で。俺たちを庇って。俺を置いてきぼりにして。独りで幸せそうに微笑んで、逝った。お前は、お前は強くて、本当に強くて、いつの間にか━━━自身の強い気持ちだけで心を完結させていた━━━俺はそれを、お前の末期になって漸く知ったのだ。
(あれほど泣き虫だったのに、あんなに怖がりだったのに、善逸。最期は仏のように神々しく美しかった
…
あんな風にさせてしまった、俺は、どれだけ後悔しただろう、どんなにか自分を責めただろう、俺がお前の幸せを奪った、ごめん、ごめん善逸、思い出すな、思い出さないで、お前に酷い仕打ちをした俺を、俺を忘れて、幸せになれ今度こそ、俺じゃない、誰かと一緒に
……
善逸、)
喪ったお前に焦がれる歳月が、どんなに長かったことか、先に逝ったお前は知るよしもない。募る想いに縊り殺されるような日々は、愚かな俺に相応しい懲罰だった。
そして今、再び巡り会ったお前は━━━
(思い出すな、思い出すな、辛かったことも、苦しかったことも、お前の悲しい微笑みが脳裏から消えない、もう痛みは忘れてほしい
……
酷かった俺のことなんか忘れてほしい
……
なのに
……
嗚呼、それなのに
……
)
とても、とても優しい匂いがする。
(思い出して。俺への想いを、あの時のように。俺を求め、もっと強く惹かれて、俺を断罪していいから、お前にはその権利があるから、そうしていつか、お前が赦してくれたなら
……
今度こそ躊躇わない、必ず、お前を
……
善逸、善逸!赦してくれ、俺を赦してくれ
……
お前が愛おしい。気が狂いそうな程に恋しい
…
好きだ
…
好きだ
…
お前と、幸せになりたい
……
)
お前と居られたのはたった数年だ。俺がお前に恋していた年月はずっと長い。禰豆子を元に戻すために俺は生きていた。それがお前の遺志だったから。至らない俺は結局、禰豆子も置いてきてしまったけれど。
現世で再び家族として生まれた。あの時お前が俺たちの繋がりを守ってくれたから。ありがとう。本当に。ありがとう善逸。善逸
………
嗚呼、
(もう一度俺に恋してくれ、どうか。俺の名を呼んで)
今度こそ俺は、お前を幸せにするよ
完
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