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NEO
2016-12-13 00:41:38
1895文字
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お見舞い(炭善)
色々済みの炭治郎と善逸で風邪引きネタ。
・善逸が寝込んだと知り神速で任務終わらせた系炭治郎
自分の病状を告げないよう口止めしておいたものの、炭治郎の鎹烏には意地の悪いところがあったから、どこまで叶えてくれたか定かではない。それでも結局、帰還時期が早まった様子もないので、とにかく差し迫った任務は終えてきたのだろう。足音が早い。脈拍、鼓動、息継ぎも速いが許容範囲、どうやら怪我はなさそうだ。良かった
……
と安堵に息つく間もなく、豪快な勢いで障子が開いた。
「善逸、大丈夫か?!」
大人しく寝込んでいる俺を見て我に返ったのだろう、早速自分の荒い行動を恥じたらしく、後ろ手にそっと障子を閉める。気まずそうにそそくさと近寄りながら手にした盆を枕元に置いた。土鍋と匙、湯呑みが乗っており、夕餉の助けに来たのだと知る。
「
…
ゴホッ、う、おま
…
お前
……
任務
……
いいのか、」
「ああ。今帰ってきたところだ。暫くは休むよ」
優しい手が額に触れる。炭治郎の気遣わしげな声が低く穏やかに耳を撫で、煩わしい病の身体を僅かばかり心地好くする。
当たり前だが今の言葉は嘘だと分かった。確かに疲れてはいるようだが、怪我も病もないのであればあのへそ曲がりな鎹烏が容赦するはずがない。明日にでも新たな任務に送り出されることだろう。いや、既に指令を受けているかもしれない。俺なんかに構っている暇はない、休まなければ、炭治郎の身体が持たない。
「気にするな、俺が好きでやってるんだ。善逸こそゆっくり休んで、しっかり治すことを考えてくれ」
俺の心配を余所に炭治郎は朗らかな笑顔だ。手元に土鍋を引き寄せ、とろりとした粥を匙に一掬いしてふぅゝと吐息で冷ます。それをそっと差し向け、俺の鋭敏な耳に障らないよう静かに話し掛けた。
「少しでも食べた方がいい。薬だけでは胃の腑を悪くするから」
正直食欲なんて全くなかったが、炭治郎が背中を支えてくれたので、久々に起き上がることは出来た。憔悴した俺がぐったりと凭れ掛かっても炭治郎は文句ひとつ云わない。何とか口の端から溢しながらもーロ嚥下すると、えらいぞ善逸、と手放しで褒めてくれて、剰え胸元に溢した分を丁寧に拭き取ってくれた。俺がぼんやり感動していると、口元を汚した分は舌先で拭われた。油断も隙もない。
「薄味だろう?でもこのくらいの方が善逸の胃にはいいんだ」
恐らくこいつは俺の胃が暫く食べ物を受け付けなかったことを知っているのだろう。もしかして、この粥、手製だったのか?半分も食べることが出来ず残してしまって悪かったな。しかもその更に半分は溢して、溢した分は炭治郎の健康な胃に収まっている。味気ないだろうに。本当にごめん
……
「たん、じろ
……
ケホッ、俺、いいから
…
お前も、ご飯、
……
」
「大丈夫だ、あとで食べるから。善逸が薬を飲んで眠ったらな」
炭治郎は手際よく食器を仕舞い、代わりに湯呑みを手にする。あれ、いつもの丸薬がない
……
?
「ほら、この方が飲みやすいだろう?砕いて溶かしたんだ。湯飲み一杯で済むから、頑張れ」
確かに、あの丸薬は粒が大きくて胃のやられている俺には飲みにくかった。でもそれを砕くなんて
……
考えもしなかった。誰も、当の俺だって苦しかったのに、飲みにくいのは仕方ないとしか思わなかった。それを
……
炭治郎
……
湯呑みを持つと、力の入らない俺に炭治郎が横から手を添えてくれた。億劫ながら口に含むとひんやり冷えていて、熱を持った身体をすっと冷やしてくれる。湯で溶かしたものを、わざゝ冷やしたのか?思わず一気に飲んでしまった。薬を美味しいと思う日がくるなんて、考えたこともなかった。
「よく飲めたな。凄いじゃないか、善逸」
そしてまた褒める。よしゝと頭を撫でて、満面の笑顔で、飲んだ俺より嬉しそうな音を立てている。熱に眩んだ頭で大したことは考えられない。考えられはしないけど気持ちが、ほろりと、形になって瞳から零れた。
「善逸?どうした、」
ほろゝと涙する俺に周章てて炭治郎が抱き締める。幼子をあやすように、背中を軽く叩きながら慰める。違う。そうじゃないんだ、炭治郎。
「おかえり
……
」
一瞬固まって、恐るゝ俺を覗き込む炭治郎がおかしくて、嬉しくて、幸せで
……
でも疲れてしまって、薬の副作用もあって眠気に抗えない。すきだ、好きだよ、炭治郎。心から。意識が朦朧とする。
「ありがと、な
……
げんきに
……
なったら
……
」
そうして俺は久し振りの安らかな眠りを貪るべく意識を手放した。
後日快癒した俺が、意味深なお預けを食らった炭治郎から猛烈に抗議され、みっちり仕返しされることになるのは、また、別の話である。
完
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