龍渕はく
2024-10-26 02:30:32
1232文字
Public 竜の丘|SS
 

お試しで ちょっとした竜の会話

血の気の多い我系雌竜が身内にいて欲しいなと思い…


「ヴァルシア。お前が同胞の素材売買の流通を整備してしまったおかげで、我は暇になってしまったぞ。我を倒そうと躍起になる塵共を払うが、中々に愉快なものだったというに」
「だが、ただ素材を求める数多のヒトよりも、力試しにあなたに戦いを挑むような奇特なヒトと相対していた方が、あなたは良いと言うのではないか?」
「くく、確かに。群がる塵共よりも、ひとりふたりと我に正面より挑み、我を楽しませる者が増えたな。そこは、以前よりも良いぞ。心意気も良い面白き者になら、我の鱗の一枚でも勝てばくれてやろうと思えるものだ。我に勝てばの話だがな」
「ふ、そうなのか?あなたの鱗を持っていた者は、負けたが情けでくれたと言っていたぞ。楽しませた礼にと、渡したのではないのか」
「何?あやつ正直に。我に勝ったと見せびらかして、我の元にもっと喰えるヒトを寄越せばよいというに」
 そうは言うが、彼女の鱗を持つ者に、そのような事をする者が一人もいなかった事をヴァルシアは知っている。
「ふ、そういう事にしておこうか」
「はあ、また暫く血湧く事は無いか。この間も、我に再び挑みに来たと思っていた者が、ただお前が仕立てた剣を見せに来て、我の鱗を使ったのだとニコニコしながら話すだけ話して、去っていったぞ。辺境がどうだと世間話もしてからに、終わってでは戦うかとなれば、それだ。つまらん、つまらん」
「彼はつい最近も、その剣の手入れに来ていたよ。辺境にいてあまりこちらに顔を出さないが、魔物の討伐に成果を上げているそうだ。あなたの鱗の剣は、炎を帯びて鋭く断ち、振い続けても鈍らない、と」
「くく、そうであろう、そうであろう。無論の事だな。我もお前に仕立てて貰うなら、悪くはないぞ。んん?ちょっと待て。最近来たとは、いつだ?」
「ん、前回の夏期だな」
「何?おい、あやつ、こちらには顔を見せに来ていないぞ!なぜ我の元に来ない!」
「忙しそうにしていたな。彼の地では精霊種の異常傾向が著しい。心配ならば、あなたであれば己の鱗を辿って彼の元へ赴けるだろう」
「心配などしておらん!それに、我がわざわざあやつの元に翼を寄せるなど、まるで我があやつを気にかけているようではないかっ」
違うのか?」
「違う!我はあやつを追う為に魔力を割くつもりも無いぞ!だが、次あやつがお前の所に来た時は、こちらにも来いと伝えろ」
「それは、こちらとしては困るな。私は彼とはヒトとして直接会ってしまっている。あなたと繋がりがあってはおかしかろう」
「んぐ
「まあ、私も血を晒しても良いと思える者ではあったが。あなたが気をかけるというのならば、尚の事。今、街では竜人だけではなく竜種も常より出入りできる位、安定している。心配であれば、私の工房の裏より出入りしても良いが」
「心配などしておらんと言っておろうに!!」


「なれば、私と相見えようか」
「いや。お前とはまた違う事をする。街に行くぞ!!」