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Hizuki
2020-12-28 21:43:12
1706文字
Public
FF14
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空白の思い出は要らない
【FF14】ルン+光。星芒祭期間のグリダニアを訪れた2人とヒカセンの思い出の話。一応赤60クエコンプ済推奨。思い出がなくても。
「みんな楽しそうですねぇ」
白く染められた森都を歩きながら、目に映ったままの景色を見て感想をこぼした。
何となく街中の飾り付けが少ないようなと思ったら、まだ準備の途中らしい。
大人が作業しているのを子供達が手伝っている姿を何ヶ所かで見かけた。
聞こえてきた話によれば、手伝ってくれた子達にはお礼にちょっとしたプレゼントを渡しているらしい。
それで子供達が積極的に手伝っているのかと納得した。
「星芒祭の時期だからな。子供達は楽しみにしていただろうさ」
「大人も楽しそう」
子供達の総意を代弁するように、隣を歩いていた師匠が口を開いた。
そしてそのままわたしに問いかける。
「お前の故郷でこういうのはなかったのか?」
「うーん、どうなんだろ。分かんないんですよね」
即答できる答えが自分の中にはない。
ううんと首を捻りながら頬を指先でつんつんとつつく。
そんなわたしの様子を見て師匠もまた首を傾げた。
「分からない?」
「あれ、わたし言ったことなかったですっけ。昔の記憶、ないんですよ」
足音が隣から消えた。
くるりと振り返れば、師匠が3歩ほど後ろで立ち止まっていた。
出会った頃のアリアちゃんと同じようにわたしもまた記憶がない。
いつもキリッとしているのに、ぽかんとした顔の師匠が珍しくて思わずちょっと笑ってしまった。
「
…
初耳だな」
少し戻って開いた隙間を詰めて肩を並べると、また揃って歩き出す。
おぼろげな記憶を遡ってみても、目の前にあるような景色の記憶はどこにもない。
「ちゃんと覚えてるのは15歳くらいの頃からかなぁ
…
その頃はもう先生と旅をしながら魔法の特訓に明け暮れてたから、あんまりこういう季節の思い出とかも特になくて」
きっと自分を取り巻く環境に何かがあったのだろうということだけは分かっていた。
わたしに魔法の基礎を教えてくれた先生。
自分の身は自分で守れるようにしろ、が口癖だった。
そのおかげでわたしは今ここにいる。
「そう、だったのか」
「こういうお祭りがあるって知ったのも冒険者になってからだし」
「
…
悪い、聞かない方がよかったな」
「いいんです、気にしないでください」
申し訳なさそうに師匠が謝罪の言葉を口にした。
それに対して首を横に振る。
「っていうか、昔のことは別にいいかとも思ってるんですよね。思い出がない分はこれから作ればいいんだし」
初めての星芒祭はエオルゼアに来て初めてできた冒険者仲間とだった。
一緒に実行委員会の手伝いをして、ご飯を食べて、その子からプレゼントももらって。
昔のことを覚えていなくても、これからがあればそれでいい。
思い出せないのはきっと思い出さなくてもいいことなのだと思う。
過去にこだわる必要はない。
今とこれからがあればそれで。
「前向きだな」
「まぁ後ろ向いてても仕方ないんで。わたしに言わせたら今日だって大事な思い出ですよ?」
「ほう?」
たまたまそういう時期と重なっただけ、といえばその通りでもある。
けれどそういう時期だったからこそ、普段より特別な思い出にもなる。
見慣れたいつもの景色は雪化粧で雰囲気を変えていて。
「師匠と一緒に星芒祭の街に来た、ってね」
「
…
そりゃ光栄だ」
視線を逸らした師匠が小さく笑う。
そして一歩大きく踏み出すと、くるりと回って振り返る。
「そうだ!せっかくだしわたし達もやりますか、星神の従者」
ここにいるのは師匠とわたしだけ。
誰に対してのものなのか、もちろん師匠は言わずとも分かってくれたらしい。
「ああ、いいんじゃないか」
今日のアリアちゃんはお留守番で、わたし達の帰りをレヴナンツトールで待っている。
おまけにわたし達の格好は星神の従者の真似事をするのにも都合のいい色で。
「それじゃさっさと用事を片付けないとな」
「はぁい」
本来の目的を果たしたら、少し寄り道をして準備をしよう。
彼女が喜んでくれるようなちょっとしたプレゼントを用意して、こっそりとそれを届けに行こう。
それは、師匠とアリアちゃんとわたしの新しい思い出になるはずだから。
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