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Hizuki
2019-07-29 21:50:38
1892文字
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FF14
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永久に残りし英雄の名
【FF14】水晶公+光。5.0後、夜中にクリスタリウムに戻ってきたヒカセンと水晶公の話。これまでも、これからも、あなたは、いや、あんたはオレの。
天が闇で覆われ、人々が眠りに着いた頃。
「おかえり」
帰り着いたクリスタリウムで出迎えてくれたのは水晶公自身だった。
…
まるで、初めてここに辿り着いた時のように。
「何となく、あなたが帰ってくるような気がして」
根拠も何もないのにそう言った。
「なあに、それ?」
思わず笑いながらそう口にしてしまったものの、この遅い時間に出迎えてくれたことは素直に嬉しかった。
ありがとう、とお礼を告げ、人気が疎らになった街中を二人で並んで歩き出した。
「この時間から別の用事がある、とは言わないだろう?」
何やかんやと第一世界を飛び回っていることは水晶公も知っている。
騒動がひと段落した今、せっかく違う世界に来たのだからと冒険者としての血が騒ぐのは仕方のないこと。
加えて今の時間を考えてなのか、確認するように私に問いかける。
「さすがに今日はもう部屋に帰っておとなしく寝ます」
「ふふ、それを聞いて安心したよ」
エーテライトプラザを抜けて南へ向かう。
日中ならば活気の溢れる商店が立ち並ぶ区画も、この時間では静まり返っていた。
「水晶公、聞きたいことがあるんだけど」
「何かな?」
その正体を明かした今も、彼は『水晶公』としての姿勢を崩さない。
クリスタリウムの中においては彼が長であり、誰が話を聞いているか分からない。
だからこそ、私もまた同じように彼をここの名で呼ぶ。
少し堅い言葉遣いがくすぐったく思えた。
「私の名前、すぐに見つかった?」
―
目覚めたら、真っ先にあんたの名前を探すよ
クリスタルタワーを制御できる一族の末裔だった彼は、原初世界のクリスタルタワーを封じるためにその中で眠りに就いた。
目覚めるとそこは第八霊災が起きた後のエオルゼア。
そして、暁の面々も、私も死んでしまっていた。
「ああ。第八霊災の混乱の中、皆が揃って口にしていたのはあなたの名前だった」
「
…
そっか」
絶望しかない世界で人々は『英雄』を希望の光にしていた、と。
私を生かし、第八霊災を防ぐために、彼は第一世界へと渡った。
「
…
英雄って何だろうって思ってた頃がある」
足を止めて、そう呟いた。
視線はゆっくりと天に向かった。
あれは彼が眠りについた後の話。
「自分の大切な人を助けられなくて、何もできなくて
…
何が英雄だって」
閉ざした視界は空の闇とは違う黒。
思い出すのは第一世界でも時の流れの中で見られるようになった色。
まだ痛みは完全には消えていない。
色と重なってじわりと痛む。
「それでも人々は私を『英雄』と呼んだ。自分の感情の矛先を向けた先が、結果的には人々を救うことに繋がっただけで」
結果だけを捉えるのならば、そう見えるのかもしれない。
そう思っていた自分がいたのもまた事実で。
世界に色を戻せば、数歩先で立ち止まっていた水晶公が静かにこちらを見ていた。
「原初世界の記録には残らない何かがあって、色々と考えるところがあったのだとは思う」
ローブのフードで覆われていない口元が柔らかい弧を描く。
「けれどあなたはこの第一世界にとっても英雄に違いない。こちらの未来でも語り継がれていくことだろう。光に溢れたこの世界に闇を取り戻してくれたのだから。それに」
そこで彼は一度言葉を切った。
水晶になった右手がばさりと顔を隠していたフードを取り去った。
鮮やかな紅の瞳は水晶公が『彼』である証。
「あんたはいつだって、オレの英雄だよ」
こちらに来てもう随分経つのだと彼は言った。
白が混じった紅い髪色もその証拠なのだろう。
けれど、たまに見せる砕けた口調で話されるとあの頃に戻ったような気持ちになる。
―
彼とクリスタルタワーの調査に当たっていた頃に。
「
…
ありがとう」
あまりにも真っ直ぐな物言いに少し恥ずかしくなって視線を逸らす。
ちらりと彼の様子を盗み見れば、慌ててフードを被り直す水晶公の姿があった。
差し出された左手に自分の右手を重ねる。
温かい、いや熱い気がしたのは気のせいではないと思う。
きっとそれは私の手も同じで。
前方に目的地が見えてきた。
ペンダント居住館。
彼に用意された、こちらでの生活拠点。
「おやすみ。どうかいい夢を」
「水晶公も。おやすみなさい」
部屋の入口まで見送られて、挨拶を交わして扉を閉める。
足音が遠ざかっていくのを聞きながら、そのまま扉に背を預けた。
『彼』に言われた言葉を思い出して、また心が温かくなる。
過去よりももう少しだけ、『英雄』と呼ばれることに自信を持てそうな気がした。
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