Hizuki
2019-02-18 20:41:21
1230文字
Public FF14
 

想いを隠すならチョコの中

【FF14】ルン←光。赤60クエ後、ヴァレンティオンデーの贈り物の話。気持ちに気付いてもらえますように。


テレポを唱え、向かった先はレヴナンツトール。
降り立ったその場を軽く見回すと、そこに見知った赤い姿が2つ。

「ルンさん、アリアちゃん」

私が名前を呼ぶと二人が揃ってこちらを振り返った。
手を振りながらそちらに向かうと、アリアちゃんが嬉しそうに駆け寄ってくる。

「先輩!」
「お、どうした?」
「えーっと石の家に用事があって、そのついでなんですけど」

手に持っていた袋の中から、小さな紙袋を取り出してアリアちゃんに手渡す。
ほのかに広がった甘い香りに歓声が上がる。

「わぁ、チョコレートですか?」
「そう。これはアリアちゃんの分ね」
「ありがとうございます!でも、どうしたんですか?」
「ふふ、ちょっとね」

ふわりと言葉を濁して、隣に立つルンさんを見る。
各地を回っていたくらいだし、きっと何なのか分かっているのだろう。
首を捻っていたルンさんが、ああ、と声を漏らした。

「ヴァレンティオンデーか」
「正解です」

愛の伝道師が来ているのはグリダニアで、彼女がいたリムサ・ロミンサの方ではなじみが薄いのかもしれない。
簡単にどういった日なのか説明すると、今度は私も何か用意しますね、とアリアちゃんが笑う。

ルンさんの分もありますよ」
「え、オレも?」

そう告げると、全く予想していなかったというようにルンさんが目を丸くした。
先程と同じように、袋の中から出した別の紙袋を差し出す。

「わざわざ悪いな。ありがとう」
「いいえ、ルンさんには師匠としてもお世話になってますから」

シ・ルン・ティアがいなければ、私はきっと赤魔導士の道に足を踏み入れていない。
赤魔導士の師匠として感謝しているし、一人の人間としても尊敬している。

「じゃ、また来ますね」

2人に手を振って、最初に口にした目的地へと足を向ける。
本当は石の家の用事の方がついでだったのだけれど。
中に入ってゆっくりと扉を閉め、大きく息を吸い込んで吐く。
ルンさんにも、アリアちゃんにも渡した袋の中身は同じ。
でもひとつだけ、ルンさんの袋には違うものが入っている。


気付いて、くれるかな」


ハートの形のチョコレートをひとつ、忍び込ませた。
感謝や尊敬とも違う別の気持ちを込めて。

「誰が、何に?」
「ひゃあ!?お、脅かさないでよアリゼー
「ふふ」

独り言に返ってきた問いかけの主は楽しげに笑う。
持ってきた袋を手渡し、その中の紙袋を一つアリゼーの手に乗せた。

アリゼーの分と、みんなの分ね」
「ありがとう。さっきのは何も聞かなかったことにするわ」

きっとアリゼーには気付かれているのだろう。
悪戯っぽく笑いながら、石の家の奥の方へと歩いていった。
彼女の周りにみんなが集まり、次第に賑やかな声が聞こえてくる。
もう一度深呼吸をしてみんなの元に向かった。

いや、気付いてもらえなくてもいい。
でもルンさん、私はあなたのことが好きなのです。