Hizuki
2019-01-07 23:39:51
2146文字
Public FF14
 

今年も、これからも

【FF14】エス光。レヴナンツトールでの年越しパーティの話。ちょっぴりアイメリク卿もいます。これからも新たな年をあいつと一緒に。



年越しパーティ?」

以前相棒から渡されたリンクパールが鳴り、挨拶もそこそこに投げかけられた一つの提案。
それは『年越しのパーティに来ないか』というものだった。

「そうそう。レヴナンツトールでやるんだけど、エスティニアンにも来てほしいなって」

パーティ、と聞き、そういった誘いを片っ端から断っていた頃を思い出す。
貴族同士の駆け引きや、情報交換の場。
初めの頃は顔を出さざるを得なかったこともあったが、断り続けているうちに自然と声はかからなくなった。
まぁあの頃は俺自身も復讐しか考えていなかったのもあったが。
とはいえ、今回はそういった場ではない。

「暁の奴らの集まりだろう。俺が行ってもいいのか?」
「大丈夫大丈夫。冒険者のみんなも一緒だから。それで時間なんだけど

行くとも行かないともまだ返事をしていないのに、その先の話を進めていく。
裏のない純粋な騒ぎごとならば、顔を出してみるのも悪くはないだろう。



年末が近付いてくるにつれて、自然とクルザスの方へと向かっていた。
通りがかった街も星芒祭の装飾に彩られ、それが過ぎると慌しく新年へ向けての装いに様変わりする。
なくなってしまった故郷に立ち寄ってから、イシュガルドへ。
アイメリクの元に顔を出し、これからレヴナンツトールに向かうことを告げると、なるほどと頷いた。

「年越しのパーティがあるのだろう?」
「知ってたのか」
「彼女も数日前に顔を出してくれてな。しかしお前がパーティとは変わるものだな」

付き合いの長いアイメリクは俺がそういった場に出なかったことを知っている。
こちらを見ながら僅かに浮かべられた笑みには、からかいのような喜びのような色が混じっていた。

気が向いただけだ。さて、俺はそろそろ行くぞ」
「エスティニアン、いい年を。彼女にもそう伝えてくれ」
「お前もな、アイメリク」

レヴナンツトールの看板が見えてくる頃には、賑やかな声が聞こえてきていた。
視界を覆う霧はない。
とうに日は落ち、空には月が浮かんでいる。
入口の前に見知った姿を捉えると、どうやら向こうも気付いたようでこちらに向かって手を振る。

「あ、やっと来た。エスティニアン、こっち!」

相棒の出迎えを受け、拠点の中を軽く見回す。
商店の軒先、建物の外壁、あらゆるところに飾り付けを施されている。

「賑やかだな」
「そりゃパーティだもん。さ、行こ!」

俺の手を引いて歩き始める。
冷え切った手に触れる相棒の熱が心地良い。
少し強めに握られたのは俺の手が冷たいからだろうか。
新しい年が来るまでそう長くはない。
酒瓶を手にあちらこちらで飲み交わしている人々の姿が目に入った。
エーテライトの周囲には小さなステージが作られていて、そこで堂々と歌い踊るララフェル族の姿はイシュガルドで見た覚えがある。
歌詞が何となくおかしいような気がするのは聞かなかったことにした。

中を一通り見て回った頃、一際大きな声が聞こえた。
そちらに目を向けると、簡素に作られたテーブルを囲う4人の男。
その内の一人がテーブルの上に突っ伏していた。
卓上に散らばる見慣れない絵柄のカード。

「相棒、あれは何だ?」
「ドマ式のまーじゃん?っていうゲームなんだって。以前ここにいたドマの人達が教えてくれたらしいんだけど、私はまだやったことないんだよね」

どうやらこれには相棒も明るくないらしく、回答に疑問符が混じっている。
本来は専用のものがあるそうだが、手軽に遊ぶためにカードで作ったものを置いていってくれたらしい。

「近々ゴールドソーサーでできるようになるらしいって噂は聞いてるから、ちょっとやってみようかなって思ってる」
「ほどほどにしておけよ」
「もちろん!エスティニアンもどう?」
機会があればな」

相棒からすれば純粋な興味なのだろうが、人によってはのめり込みそうだと他人事ながら心配になる。
機会があればやってみるのも悪くはなさそうだ。

「さて、そろそろ年明けかな」

2階のテラス席に腰を落ち着けて、配られていた酒を呷る。
人々が南東の門に集まり始めるのを見て、相棒がそう呟いた。
日付が変わった瞬間に花火を打ち上げるのだと歩きながら話してくれていた。
カウントダウンが始まる。

「来てくれてありがとう」
「まぁ、こういうのも悪くないな」
「素直じゃないなぁもう」

穏やかな気持ちで新たな年が来る瞬間を迎えたのはいつだったか。
戦いの中に身を置く道を選んでからというもの、そういったものとは全く無縁だった。
区切りがついて、落ち着いた時を過ごせる時が来るとは思いもしなかった。
それらは全て相棒のおかげで。

音が空に弾ける。
新年の訪れを告げる音と光。
遠くに聞こえる歓声。

「エスティニアン」

今年初めて相棒が俺の名を呼んだ。

「何だ?」
「今年も、来年もよろしくね」
「おいおい、もう来年の話か?」
「いてくれるでしょ?」

随分時の早い話に呆れ気味に問いかければ、迷わずに相棒は答える。

「ああ、そうだな」

これから先はこうして新年を迎えていくのだろう。
きっと隣には、お前がいて。