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Hizuki
2019-01-06 23:15:09
2250文字
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年の終わりと始まりに
【グラブル】ジクグラ。アイドルパロ、年末年始の話。ジークさんの出番控えめ。スーパー突貫作業。新しい年に交わす始めての言葉。
『年末年始、何か予定はあるか?』
そう電話で聞かれたのは、年末恒例の歌番組の出演アーティストの公開があった日の翌日だった。
そこに彼らの名前があって、今年最後の日も仕事なんだなと思ったのと同時に、今年最後の日にも大好きな人達の歌が聞けるのかと思うと自然と顔が緩んだ。
単身赴任の父親から帰ってくるという連絡も受けていないし、詰め込んだアルバイトも31日の夕方まで。
年末に多目のシフトに入る分、正月は休みをもらえることになっている。
予定らしき予定はなく、あるのは31日の夜の歌番組を録画して、更にリアルタイムで見逃さないことくらい。
特にはない、と答えると、びっくりするような提案が飛んできて。
『ならば、俺の部屋に来ないか?正月はしばらくオフでな』
流石にあの時は目玉が飛び出るかと思った。
そもそも31日は仕事だよね?とか、あのマンションに僕一人で行って大丈夫なの?とか、一瞬色々考えてはみたものの、普段なかなか会えない恋人からの誘いを断る理由はどこにもなかった。
『まぁ新年を一緒に迎えられないことだけは残念だが』
そこばかりはどうしようもないし、自分でも理解している。
だけど、一緒にいられる時間があるのならそれだけでも十分。
『お前がいる部屋に帰れる、というのは嬉しいものだな』
…
そういえばそうだ。
大抵はどこかで待ち合わせをしたり、迎えに来てくれたりで、部屋で迎えるなんてことは今までなかった。
きっと電話の向こうで、顔を崩していたのだろう。
「お先に失礼します!よいお年を!」
アルバイト先に挨拶をして外に出る。
荷物は多くない。
以前『泊まりに来る時の荷物を部屋に置いておけばいい』と言われ、その日のうちに必要なものを粗方揃えに行って、そのまま置かせてもらっている。
今の荷物に入っているのは細々としたものくらいだった。
まだ開いているスーパーに寄って、今日の晩ご飯とお雑煮の材料、それとテレビの前に張り付くための飲み物とお菓子を買い込んでマンションに向かう。
届けられた鍵で扉を開けて部屋に入ると、中は程よく暖まっていて、どうやら暖房が付いているらしかった。
いつから付いているのかが気になりはしたけれど、何となく出ていく時にそのままにしていったんじゃないかと思う。
静かすぎる部屋でテレビの電源を付けてから時計を見上げるともう6時半を回っていた。
慌てて手洗いうがいをして買ってきたものを冷蔵庫に入れた。
相変わらず冷蔵庫の中にはほとんど何も入っていなかった。
食事を済ませてリビングのテーブルに用意をすると、テレビの前を陣取った。
当然家のテレビでは録画予約を済ませてきている。
出演順もあらかじめ公開されているから、見たいところ以外は他の年末バラエティを見たり、やっているゲームの年末イベントを消化したりと、場所が違うだけでいつもと同じ感じだった。
そして、後半の1曲目に彼らの出番が来る。
もう何度聞いたか分からないイントロ。
浮かび上がるシルエット。
ぴたりと息の合ったダンス。
スポットライトの中で広がっていく歌声。
ステージ背面のモニターに舞うバラの花びら。
1年の最後の日に見る彼らもやっぱりカッコよかった。
メッセージアプリを立ち上げて、手短に感想を送った。
歌番組が終わってしまえば、今年も本当にあとわずか。
窓の向こうからは除夜の鐘が聞こえる。
新しい年へのカウントダウン。
日付が変わると同時にテレビから聞こえる新年を祝う声。
スマートフォンの通知は友達からのメッセージ。
それらに一通り返事をしてからお風呂に入る。
頭を乾かしながらあくびを一つ。
普段ならもうとっくに寝ている時間。
いつ帰ってくるのか分からないけれど、あの人が帰ってくる時にはちゃんと起きて迎えたい。
だから少しだけ、と肩から毛布をかけ、テーブルに乗せた自分の腕を枕に目を閉じた。
肌に触れる柔らかい感触は何だろうか。
目を開けた視界に見えるのは見慣れつつある寝室の天井。
つまりここはベッドの上だ。
少しだけのはずがいつの間にか本格的に眠り込んでしまっていたらしい。
ここまで運んでくれたのは帰りを待っていたその人だろう。
身体を起こして隣を見れば、そこにはジークフリートさんが眠っていて。
テレビ越しに見た凛々しい姿はなく、だだぐっすりと眠る穏やかな姿。
「ん
…
グラン
…
?」
やや掠れた声が僕の名前を呼んだ。
僕が動いたことで冷えた空気が布団の中に入って起こしてしまったのだろう。
「ごめん、起こしちゃった?」
「いや、大丈夫だ」
のそりと起き上がったジークフリートさんがまだ眠そうな目でこちらを見る。
何度か瞬きをしてしっかりと開かれた目に自分が映った。
「俺の方こそすまないな。帰ってくるまで起きていてくれようとしたんだろう?」
「
…
そのつもりでいたんだけど、ちょっと眠くなってきちゃったから少しだけ、って。ちゃんと起きていたかったんだけど
…
」
結局それは叶わなくて。
結果、今に至る。
「そうだ。おかえりなさい、ジークフリートさん」
まだ言えてなかった出迎えの言葉。
すると目を細めて笑う。
「ただいま、グラン」
僕だけが知っている、恋人としての顔。
「あと、明けましておめでとう。今年もよろしくお願いします」
「ああ。こちらこそよろしく頼む」
新しい年の始まりは恋人の隣から。
どうかいい1年になりますように。
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