Hizuki
2018-10-10 13:49:55
1985文字
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騒乱の三重唱

【グラブル】ジクグラ。星晶獣のせいで起きたちょっとした騒動の話。2人が付き合っていることを知っているパーシヴァル視点、かつ当人達の絡みはあまりない上にカッコイイジークさんはいません。突貫作業。降りかかった災難が2人にもたらしたもの。



星晶獣の気配がする、というルリアの言葉に従い、その調査にグラン達が出かけていったのは昼前ほどだった。
水属性の力が強い場所だということで、土属性に長けた者を連れ立って行ったのを見ていた。
どうやら戻ってきたらしく、外から賑やかな声がする。

「た、ただいまぁ

聞こえてきたグランの声に随分と疲労の色が滲んでいた。
これは現地で一戦交えたかと表に出て様子を窺えば。

「戻ったか、グラ

飛び込んできた光景に自分の目を疑う。
思わず名を呼んだはずの声も途中で途切れた。
これは俺の目がおかしいのか。
そうでなければ一体何だと言うのか。

「一体後ろのそれはどうしたんだ
「えぇとその

気まずそうにグランが目を逸らした。
改めてグランの後ろから歩いてくる人物を見る。
紛れもなくジークフリートだ。

「増えた、というか分裂した、というか

そう、確かにジークフリートなのだが、何故か『3人』いるのだ。
増えた、分裂した、という言葉通りなのだとすれば、あの3人のジークフリートは全て本物である、ということになる。

「ああ、グラン戻ったかってジークフリートさんが3人いる!?」
「こりゃどうなってんだ!?」

続けて姿を見せたランスロットとヴェインも呆けた顔でジークフリートを見る。
揃って顔を見合わせては首を捻っている。

「「「グラン」」」

3つの声が重なる。
同時に小さな悲鳴を漏らしたグランの肩が跳ねた。
あの声の三重唱はさぞグランの心臓には悪いだろう。
隣で二次被害が出そうなのは見なかったことにした。

「一体何故そんなことに
「実は

本人が語った内容をまとめると、星晶獣の不意打ちからグランを庇ったことでこうなったのだという。
ジークフリートの反撃で星晶獣は退いたものの、後に残ったのがこの3人のジークフリートだった、と。

「ということで、元に戻るまでジークフリートさんが3人いるけど驚かないでね

すぐさま話が団員に共有され、しばらくの間はジークフリートが3人いるということが全員の共通認識になった。
とは言えど、この状況はやはり異常で、ついさっき別れたはずの人物とすぐ別の場所で顔を合わせるというのは何とも奇妙な感覚に陥る。
大抵揃ってグランの元にいるのだが、行動や思考はそれぞれ独立しているようだった。
そもそもどうすれば戻るのか、方法はあるのか。
団内の識者が文献や情報を当たっていたが、そう簡単には見つからないようだった。



数日後。
食堂で朝食を済ませ、食後の紅茶を飲んでいるところにグランが姿を見せた。
もちろん3人のジークフリートも一緒だった。

「ランスロット!」
「どうした?って、ジークフリートさん!?」

名を呼ぶと、後ろの人物を一人、ランスロットに押し付けた。

「ヴェイン!」
「うん?」

続けてヴェインに。

「パーシヴァル!」
「何だ?」

そして最後に俺にも。
 
「ジークフリートさんのこと、預かっておいて!元に戻す方法が見つかるまで戻らないから!」

鬼気迫った様子でそう俺達3人に告げる。
その顔はほんのりと朱に染まっていた。

「このままだと僕の身が持たない!」

そう言って出かけていったグランと、残された3人のジークフリートと俺達。
最後の一言は俺にだけ聞こえる声で呟いて行った。
2人は気付いていないようだがなるほど、そういうことか。
グランの首筋に複数の赤い跡が見えたのは気のせいではあるまい。
溜め息が漏れたのは仕方のないことだ。

パーシヴァル、グランはしばらく戻らないようだな」
そのようだな」

元々感情表現が豊かではないのは知っている。
今のジークフリートは俺でも分かるほどにしょぼくれていた。
竜殺しの名はどこへやら。

「自業自得だろう。グランのことを想うのなら少しは加減してやれ」

関係を知っている以上、何があったのかは想像に難くない。
あまり他人の関係に首を突っ込むつもりはないが、あの様子のグランを見た後では小言の一つや二つ言っても咎められはしないはずだ。
ジークフリートにとっても災難であったことには違いない。
それ以上にグランの方が大変な目に遭っているような気がして釘を刺しておく。

「あれでも加減したつもりだったのだがなぁ

奴の口から漏れた言葉に思わずこめかみを押さえた。
先程よりも一層深い溜め息が口から漏れる。
3人の恋人に囲まれて落ち着いていられるわけがない。
グランのためにも、ジークフリートのためにも、そして俺や周りの者のためにも。
手持ちの本ではあまり期待できそうにないが、何か情報はないか部屋に戻ったら調べねば。
極力早く事態が収束することを願いつつ、カップの中に残る紅茶を飲み干した。