Hizuki
2018-08-19 21:21:52
1433文字
Public FF14
 

託されし想い

【FF14】エス光。竜70クエ後の話。紅蓮秘話6話を見たうえでつらつらと妄想した突貫作業。捏造と紅蓮秘話の内容を含みます。その鎧を纏うということ。



新しい装備を身に付ける時、というものはやはり心が踊る。
モル族のテントの中でエスティニアンから受け取った包みを広げると、真新しい竜騎士の鎧の美しさに思わず息が漏れた。
ひとつずつそれを手に取り、彼と同じ鎧を身に付けていく。

アジムステップの漆黒の巨竜の騒動を無事に収め、立ち去ろうとしたエスティニアンを引き留めた。
何か理由があったのかといえばそうでもない。
いや、ひとつだけ。
エスティニアンと一緒にいたいという、それだけの理由で。
草原を東に抜け、モル族の族長さんの元を訪ねれば、快く一晩テントを貸してもらうことができた。

軽く姿見で自分を確認し、テントから出る。
太陽は地平線の向こうに沈み、空には無数の星が瞬いている。

「どうかな?」
ああ、いいんじゃないか」

火の側に座るエスティニアンに声をかけるとこちらを振り返った。
頭の天辺から足の爪先までをさらりと眺める。
くるりと身を翻し、背面も一通り視線でなぞるとそう口にした。
満足そうな声音に私も嬉しくなる。

「ところで、この鎧どうしたの?」

隣に腰を下ろして問いかけると、意外な名前がエスティニアンの口から飛び出した。

「フレースヴェルグからだ。ラタトスクの加護を受けた鎧だと」
「え?」

七大天竜が一翼、フレースヴェルグ。
ニーズヘッグの妹、ラタトスク。
しかもその詩竜の加護を受けた鎧、とは。

「元々は竜と人の蜜月の時代、ラタトスクの背に乗る者に与えられるはずだったものだと聞いた」

話を聞けば、アイメリク卿の議長就任を見届けてイシュガルドを去ったエスティニアンは散った人達を悼み各地を巡っていたのだという。
故郷ファーンデールの跡地、クルザス中央高地の皇都を望む高台、魔大陸。
魔大陸の足跡は私も目にしたけれど、まさか中央高地にも足を運んでいたとは思わなかった。
そして、旅の最後に訪れた場所がソール・カイ。

「竜と人のために歩むと槍に誓うのなら、と言って託されたものだ」

火を眺めながらエスティニアンが続ける。
本来ならこの鎧を託されるはずだったのは、1000年前の建国の騎士達だったのだろう。
加護を与えたラタトスクが彼らによって殺されることがなかったのならば。

「二揃いあってな。片方はもう一人の蒼の竜騎士に託したいと」

蒼の竜騎士。
それは私にも与えられた名であり、竜詩戦争終結と共にエスティニアンが返した名。
今はその名を紅に変えて。

「だからもう一度お前に会うことがあれば渡そうと考えていた」

どこかでまた会う気がしていたからな、と。
エスティニアンの気配はカストルム・アバニアの一件で感じ取っていた。
直接姿を見せなかったことが彼らしいとも。

「その片方を纏うのは相棒、お前しかいない」

自然と身体に馴染んだ鎧に重みを感じる。
物量的な重さではない。
鎧に込められた、遙かなる時を越えた想い。
実体はない、けれどどんなものよりも重いもの。

そっか。ありがとう、エスティニアン」

この鎧に恥じない竜騎士でいなければ。
蒼を置いてきた竜騎士の相棒として、彼の隣に立つ者としても。

「さて、飲んだら寝るか」

エスティニアンがお酒の瓶を手にして揺らす。
ちゃぽ、と中の液体が小さな音を立てた。
器に注ぎ、縁を重ねる。
彼とイシュガルドから遠く離れた地で再会できたこと、竜達が私達に特別な想いを託してくれたことに感謝をして。