Hizuki
2017-12-31 23:22:28
3251文字
Public FF14
 

赤のコートは従者の証にて

【FF14】シ・ルン+光。グリダニアにて星芒祭の話。夜中の侵入者の正体は。ちょいとアリアちゃんの出番と捏造多め。重大なクエ内容のネタバレはありませんが、若干クエ内で語られる部分があるので、一応赤60クエまでコンプ済みの方がいいかもしれません。


森の都、グリダニア。
ルンさんとアリアちゃんと私の3人はその森の都にいた。
白魔法の扱いが苦手なアリアちゃんの訓練のため、幻術士ギルドを訪ねていたのだ。

「そういえば星芒祭の季節か」

先頭を歩いていたルンさんがそう口にした。
街中を彩る装飾はイシュガルド由来のお祭りのもの。
確かミィ・ケット野外音楽堂には大きなスターライトツリーが置かれているはずだ。

「オレは先に宿を押さえてくる。2人で見てきたらどうだ?」
「いいんですか?」
「ああ。アリアも興味津々みたいだしな」

後ろを振り返ってみると、飾り付けのされた木に見とれているアリアちゃんの姿。
私達が見ていることに気付いたのか、慌てて駆け寄ってきた。

「じゃあお言葉に甘えて。アリアちゃん、見に行こう」
「あ、はい!師匠、ありがとうございます!」

何の偶然かこの時期になると決まって三国にも雪が降る。
各地に作られた雪だるまに、雪合戦に興じる子供達。
雪化粧を施された景色は普段とはまた違う顔を見せてくれる。
一通り街中を見て回り、最後に野外音楽堂のツリーを見てから宿に向かった。

「お、戻ったか」

ルンさんから、2人の部屋だ、と言って渡された鍵には見慣れない星の飾りが付いていた。
話を聞けば、それは星芒祭仕様の特別室のものだと言う。
何でも急遽今日の予約がキャンセルになってしまったのだとか。
そして一人用の部屋が1室と二人用の特別室しか空きがないということで、その部屋を借りることになった、と。
この時期の特別室となればカップルで泊まることを想定されていたようで、ベッドはダブルになっていた。
アリアちゃんが気にするようならソファで寝てもいいかと考えていると、心配そうな顔で彼女が言う。

「あの、先輩、もしベッドから蹴飛ばしちゃったりしたらごめんなさい

なんだそんなこと。

「気にしなくて大丈夫だよ。私の方こそ何かしちゃったらごめんね」

顔を見合わせて2人で笑うと、普通ならまず泊まることのない部屋でゆっくりすることにした。
サービスで用意されていたケーキを食べ、お風呂でゆっくりと疲れを癒す。
アリアちゃんに先にお風呂に入ってもらい、自分も済ませて部屋に戻れば、彼女は既に眠っていた。
手早く寝る支度を整えて私もベッドの中に潜り込んだ。





部屋の中に別の気配を感じて目を覚まし、意識をその何かに向けた。
同じベッドの自分の反対側、そこにいる。
隣に寝ているのは大切な私の後輩。
害をなすようなら即座に戦えるようにベッドの中で身構える。
何かを置くような音が聞こえ、今度は私の方に近寄ってきた。
薄目を開け、その正体を確認すると、目に入ったのは見慣れた赤魔導士のコート。
今街中で行われていることを思い出して、そういうことかと一人納得する。

星神の従者様、掴まえた」

隣の彼女を起こしてしまわないように声を絞る。
ベッドから手を伸ばしてコートの裾を引っ張れば、驚いて振り返った薄緑の目と視線が合った。

「お前起きてたのか」
「仕事柄気配には敏感なんです」

野生生物や魔物、それに襲撃者。
冒険者としていつ何があるか分からない以上、どうしたって気配には敏感になる。

「流石だな」

感心したように従者の正体のルンさんがふぅと息を吐いた。
そっと身体を起こしてベッドの縁に腰掛ける。

「ていうかこんな時間にこんなところで何やってるんですか師匠」

ベッドに入る前にちゃんと鍵を確認した記憶はある。
にも関わらず、こうしてこの人が部屋の中にいるということは、受付で予備の鍵でも借りたのだろう。
一体どんな理由をつけて借りてきたのかまでは聞かないことにして。

「星神の従者らしく置いたらさっさと退散するつもりだったんだが

示された反対側のサイドテーブルを見れば、小さな箱が置かれていた。
そして、ルンさんの手には同じような箱がもう一つ。
疑問符を込めて自分を指し示すと、ルンさんは静かに首を縦に振った。
まさかこの年になって自分のところに星神の従者がプレゼントを持ってくるなんて誰が思うだろう。

えーっと、せっかくですし、よかったら一杯どうです?」

部屋に備え付けてある保冷棚にワインが入っていたことを思い出す。

「アリアちゃんはまだお酒飲めないから、開けてないんですよね」
「お、じゃあお言葉に甘えるとするか」

外は雪が降っているせいか、部屋の中も少し冷えている。
上着を1枚羽織り、窓際のテーブルを示す。
グラスを2つ用意してワインを注ぐと、ルンさんの待つテーブルに向かった。
1つずつ手に取り、そっと縁を合わせれば、小さく音が鳴る。

「で、どうしたんですかこれ?」

ルンさんの向かい側、私の目の前には先程の箱が置かれていた。

「まぁその何だ、師匠からかわいい弟子達にちょっとした贈り物ってやつだ。こういう時期だしな」
開けてみてもいいですか?」

私の問いかけにルンさんは頷く。
赤色の包装紙に、緑色のリボン。
するりとリボンを解いて、慎重に包みをめくり、中の箱を開けると、金色の細身のブレスレットが入っていた。
中央には赤魔導士のソウルクリスタルと同じ色の石が埋め込まれている。

「綺麗
「その石は魔力を高めてくれる効果があるそうだ」
「すごいありがとうございます」

試しに付けてみるととても軽く、どこかから力が湧いてくるような気がする。

「こんなことになるなんて思ってなかったから何も準備してないや

冒険者ギルドの手伝いで配る側に回ることはあっても、もらう側に回ることはそうない。
それこそ、最後にもらったのなんてもう何年も前の話。

「気にしなくていいぞ。二人が赤魔導士として立派に成長してくれれば、それで十分だ」

そう言ってルンさんは笑った。
この人が師匠でよかったと、しみじみ思う。

「頑張ります!」
「さて、オレも部屋に戻るか。長居してるとアリアも起きちまうしな」

後輩が眠っているベッドを振り返るも、何かに気付いた様子はない。
昼間の訓練の疲れもあるのだろう、ぐっすりと寝入っている。

「いつかちゃんとお返ししますからね」
「オレを超える赤魔導士になるのを期待してるぜ」

部屋の扉までルンさんを見送って、ベッドに戻った。
左腕にはもらったブレスレットを付けたままで、お酒のせいもあるのだろう、すんなりと眠りに落ちていった。





「先輩、起きてください!」

翌朝の目覚ましは後輩の声だった。
重いまぶたを開け、隣を見れば嬉しそうなアリアちゃんの顔。
起きたばかりのようだというのに、その目は輝いている。

「どうしたのアリアちゃん
「星神の従者様が来たみたいです!」

ゆっくりと身体を起こして彼女の方を見れば、昨夜の例の『従者様』が置いていった箱を手にしている。
気付いたか、と思わず笑みがこぼれた。
丁寧に包装を解いた中に入っていたのは、私の物とは装飾が違うブレスレット。

「ふっふっふ、実は私のところにも来ました」
「えっ!先輩もですか?」

左腕のブレスレットを見せると、アリアちゃんの目が更に輝く。

「しかも、その従者様に会いました」
「ええっ!どんな人だったんですか?」

少しばかり考え込む。

「そうだね魔法使いみたいな人だったよ」

正体は知らせない方がいいのだろうと、曖昧な答えに留めた。
とはいえ赤魔導士だし、魔法使いということは間違っていないと思う。

「いいなぁ私も会ってみたかったです!」
「いつか会えるといいね」
「はい!」

準備を整えて待ち合わせの受付前に向かうと、先に出てきていたルンさんがそこにいた。

「おはようございます」
「おう、おはよう」

私達のブレスレットに気づいたのか、腕を見て笑う。
昨日の『星神の従者様』の正体は私しか知らない。