Hizuki
2017-10-02 22:46:27
1679文字
Public FF14
 

幸運の鍵

【FF14】シ・ルン+光。雑誌の占いを見たヒカセンの話。忘れ物に注意。


「さーて、今週の占いはー?」

少し遅めの朝食を済ませ、食後の飲み物を待つ間手持ち無沙汰になってしまった弟子が、鞄の中から雑誌を取り出した。
グリダニアで発行されている週刊レイヴン。
今日はその発行日だとかでここに来る前に買っているのを見た。

「実力で成功を掴んだ冒険者が占いねぇ

表紙に書かれている記事の内容でもなく、真っ先に彼女の口から出たのは占いという単語。
新聞や雑誌、そういった類のものならば大抵載っている記事だ。
蛮神や帝国を退けてきたとはいえ、冒険者の年齢相応の素顔に微笑ましいものを感じる。

「やっぱり気になるじゃないですか」
「そういうもんなのかね」
「そりゃそうですよ」

同意を求められても、ピンと来ないのが正直なところだ。
元々占いを気にしているわけではないし、そもそも目に入れば見る程度。
もちろん悪いことも書かれているし、それを真に受けているわけでもない。
あえて拾うなら、いいことくらいなもの。

は!」

ぺらぺらとページを捲る手が止まったかと思えば、ぱたりとテーブルの上に突っ伏した。

「どうした?」
最下位だ

横から差し出された雑誌を受け取り、ざっと目を通すと彼女が伏せた理由が見えてきた。
誕生月別の占いになっていて、各月の進行を司るエオルゼア十二神の名前の下に運勢に合わせて星が書かれている。
最高は星5つのようで、3つや4つのものが見受けられる中、彼女の十二神のところには星が1つ。

「おーおー

ついでにちらりと自分のものを見てみれば、なんと星が5つ。
普段から気にしてはいなくても、やはりいい結果であれば嬉しくなるものだ。
すぐに渡された辺り、きっと彼女はまだ内容までは見ていない。
忘れ物に注意を促すような内容をそのまま読み上げれば何やら悲しそうな声が聞こえる。

「じゃあそんな人あてのアドバイスを」
「はい

枠の最下段に書かれているのは各月あてのアドバイス。
それは持ち物だったり、食べ物だったり、はたまた行動だったり。

「幸運の鍵はクイックサンドのクランペット」
「ほほう

彼女が顔を起こした。
それどころか伏せていた身体まで起こし、目も輝いている。
確かクイックサンドはウルダハの冒険者ギルドだったか。
クランペットが有名だというのは耳にしたことがある。

「よし、向こう着いたら行きますよルンさん!」
「え、オレも?」

ぱんと軽く手を打ち合わせ、この後の予定をさらりと追加した。
元々食事を済ませたら今回の依頼人のいるウルダハに向かうつもりだったから別に問題はないのだが、そこにオレも混ぜられていることにただ驚いた。

「デザートですデザート!」

甘いものは何とやら、か。
占いに続いて甘味に対する熱量にオレの方が押されてしまう。

「分かった分かった」

まぁ依頼人との打ち合わせは夕方からの予定だし、少しくらいの寄り道ならいいか。
程なくして運ばれてきた飲み物を飲み干して、会計を済ませる。

「さぁ行きますよクイックサンド!」
実際の目的はそっちじゃないからな?」

表に出て、空に指を向け高々と宣言したのは次の目的地になった店の名前。
目的を正せば、あれ?と言わんばかりに首を傾げてみせる。

「あと、言った側から忘れ物してるぞ」
「えっ?」

自分の姿を見回すもそれに気付く様子はない。
腰に細剣はある。
ポケットの中や、手持ちの鞄の中を見てはそれを探している。
こんなに大きなものを忘れたのなら、すぐに気付きそうなものだが。
彼女の横を通りながら、大きな忘れ物を頭に乗せる。

「あっ、帽子!」

羽根の付いた赤い帽子。
椅子の上に置きっぱなしになっていたのを見逃さなかった。

「気を付けろよ」
はぁい」

大事そうに帽子を押さえると照れたように笑う。

「さ、行くか」

まずは彼女の目的地、クイックサンドへ。
いざ依頼となればきっと惜しみなくその力を発揮してくれることだろう。
幸運の鍵を求めて、ウルダハへ飛んだ。