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Hizuki
2017-08-28 23:41:58
1836文字
Public
FF14
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1年に一度の
【FF14】オル光。雪の家時代、自分の誕生日に気付いたヒカセンの話。ささやかなお祝いを。
「あ」
「どうかしたのか?」
キャンプの他の人達の邪魔にならないよう、遅めの朝食を終えて一息ついた頃。
「私、今日誕生日だ」
食べ終わった食器を片付け、目に入った食堂の壁に掛けられている暦を見て、思わず声を上げた。
「ほう、それはイイことだな」
「あら、そうなの?じゃあ今日の食事は気合を入れなきゃね」
「いやいや普通で大丈夫です!ちょっと思い出しただけだし」
いつものように様子を見に来ていたオルシュファンが私の隣に来てそう言った。
早めに昼食の用意を始めていたメドグィスティルさんも声を弾ませる。
ウルダハでの騒動からオルシュファンに助けを求め、ようやく生活も落ち着いてきた。
だからこそふっと思い出したのだろうか。
「それなら私もお手伝いしまっす!」
「タタルさんまで
…
」
ここに置かせてもらうのだから何か仕事をさせて欲しいと申し出て、台所周りの手伝いに精を出しているタタルさんの声にも気合が入っている。
不用意に発してしまった一言で話が大きくなってしまった。
そもそもここに置かせてもらっている身にも関わらず、十分すぎるほどの待遇を受けている。
気付かなければよかった、口にしなければよかったと自分の軽率さに反省する。
「気にする必要はない。誕生日は1年に一度しかないのだから」
「そうよ。ささやかだけどみんなの誕生日は毎度ちゃんとお祝いしてるの。あなた達はもうドラゴンヘッドの一員なんだから」
忘れないようにメモしておかなくっちゃ、とメドグィスティルさんが手帳を取り出す。
きっとその手帳にはここのキャンプの人達の情報が書き留められているのだろう。
ここまで言われて逆に断るのも申し訳なくなり、首を縦に振った。
「えっと、じゃあ
…
お言葉に甘えて
…
」
夕食を終え、オルシュファンの私室に場所を移した。
彼が部屋の明かりを絞り、細長い蝋燭の1本に炎を移す。
それをケーキの外周に立てられた別の蝋燭に順番に灯していく。
温かな火が小さなホールケーキを淡い橙色に染める。
「改めて、誕生日おめでとう」
ふぅっと火を吹き消せばオルシュファンから改めてそう言われた。
「
…
ありがとう」
ケーキを切り分け、それぞれのお皿に取り分ける。
メドグィスティルさんがご丁寧にみんなに振る舞うものとは別で、私とオルシュファン用に小さなケーキを用意してくれていた。
しかも立てる蝋燭まで。
厚意に感謝しながらそれを口に運ぶ。
「喜んでもらえただろうか」
「うん、すっかり忘れてたよ。ケーキもすごくおいしいし」
イシュガルド式の紅茶に合うクリームの控えめな甘さがちょうどいい。
ふわりと口の中で消えていく。
「あれだけ大変なことの後だ。忘れていても仕方ないだろう」
誰の誕生日かということがキャンプに知れ渡ると、顔を合わせる人達から口々にお祝いの言葉をもらった。
今までの誕生日でここまでの声をかけてもらったことはない。
「今日のこと、絶対忘れない」
そして他の誰でもない、オルシュファンに祝ってもらえているのだ。
忘れようと思ったとしてもできるわけがない。
仲間達の情報は未だになく、何一つとして状況は変わっていない。
それでも少し心に余裕を持てるようになった気がした。
「先に知っていたらプレゼントも用意できたのだが
…
」
「いいのいいの。こうしてもらえただけでも本当に嬉しい」
惜しそうにオルシュファンが言う。
けれど全然気にならない。
「でも、本当によかったのかな
…
」
「気にすることはない。イイ知らせはキャンプの空気が明るくなるからな」
実際みんなの表情は明るく見えるし、落ち込んでいたアルフィノも久し振りに笑顔を見せてくれた。
タタルさんの歌も絶好調でアンコールまで飛ぶほど。
声をかけてくれた兵の人達から、主が今から用意できるものがないか探していたという話もこっそり聞いている。
思い出さなければオルシュファンのそんな様子が知れることもなかった。
「今の状況だからこそ、お前の誕生日を祝うことができてよかった」
仲間達の安否は不明のまま、私達にはここ以外に行く場所もない。
イシュガルド本国に掛け合ってくれているということも知っている。
オルシュファンの気遣いに心が温かくなる。
「イイ1年になりますように」
彼の手が私の手に重ねられる。
数日振りに雪が止んだこの日、私は大切な人の側で年をひとつ重ねた。
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