Hizuki
2017-04-17 20:39:20
2065文字
Public FF14
 

領主様の戯れ

【FF14】オル光。エッグハントの話。グリダニアの商人が置いていったものは。


いつの間にかドラゴンヘッドを訪ねる時はオルシュファンに一度連絡を入れてからというのがお決まりになっていた。
毎度のよう歓迎してくれるとはいえ、あそこはドラゴン族の前線基地。
だからこそ確認のために自然と連絡を入れるようになっていたのだった。
明日の午後に寄る、と伝えたのは昨夜。
用事を片付けてからこちらに向かい館の扉を開けると、いつもの場所に彼の姿はなかった。

「こんにちは。あれ、オルシュファンは?」

中にいたのはコランティオさんだけ。
ヤエルさんの姿も見当たらなかった。

「あぁ、オルシュファン様なら今席を外されている」
「珍しい」
「来たらこれを渡して欲しいと言われていてな」

何か急用でもできたのかと考えていると、コランティオさんから渡されたのは封のされていない白い封筒。
中身を確認するとそれぞれ『食事』『エーテル』『外壁』とカードに書かれていた。

「どういうこと?」
「実は

指し示されたのはオルシュファンの机の上。
そこに似つかわしくない淡い色で彩られた丸い物がひとつちょこんと置かれている。
それは私にとって見覚えのあるものだった。

「卵?」

エッグハントの飾り卵。
何故それがドラゴンヘッドに。

「先日グリダニアから来た商人が置いていったんだ」

曰く、エッグハントでもらったが、自分が持っていても仕方がないから、と。
それに興味を持ったのがオルシュファン。
エッグハントの催しについて一通り話を聞いた後、この封筒を用意したのだという。
そして、昼前頃に『私が来たら渡すように』と言い残して館を出た、と。

「ここの主様は一体何やってるの

思ったままの言葉がするりと出てきた。
いやちゃんと仕事はしているのだろうけれど。

「すまない、少しだけ付き合ってもらえるだろうか
まぁいいわ。探してみる」

封筒にカードを戻し、表に出る。
書かれている単語はヒントというよりは答えだ。
メドグイスティルさんのいる台所の戸棚。
キャンプ中央のエーテライトの側。
外壁南西の突き当たりの小部屋。
どれもこれも探すというほどではなかった。
ただ『外壁』だけはすぐに思い付かず、結局キャンプの外壁をぐるりと1周してようやく見つけることができた。
見つけた3個の卵にはそれぞれ別の小さな紙が貼り付けられていた。
並べて出てきた答えの場所、そこにオルシュファンはいる。
館の隣、応接室として使われていたその場所。
かつて砂の都から逃れてきた私達の拠点として使わせてもらっていた部屋。
雪の家。
自由に使っていいと言われていた部屋の扉を確認なしで開け放つ。

「見つけたわよ、賢者様?」

やはり正解だったようで、部屋は程よく暖まっている。
私の声に気づいたオルシュファンが走らせていたペンを止めた。
エッグハントは賢者の再来を願う祭り。
実際目の前にいるのは賢者ではなく騎士。

「まさか2回もエッグハントをすることになるなんて思わなかった」
「フフ、お前のことだから探してくれると思っていた」
「そりゃあんな申し訳なさそうなコランティオさん見たらやるしかないでしょ」

ふぅと息を吐いて彼の側に寄り、テーブルにもたれかかる。
グリダニアで催されていた祭りには参加済み。
3つの卵と貼り付けられていた紙を置き、視線を合わせると満足そうにオルシュファンは微笑んだ。
主の思いつきに振り回される、とは言わないけれど、どう考えてもあの場で断るという選択肢はない。
そもそも、立ち寄ると言ったのは他でもない自分の方だ。

「たまにはこういうのも悪くないかと思ってな」
「本当にもう

確かに悪くない。
グリダニアでは全ての人達に向けて催されるもの。
今回のこれは私一人のために準備されたもの。

「どうだった?」
「そうね、まさかこんな出迎えを受けるとは思ってなかったから驚いたし、楽しかったかな。ありがとう」

オルシュファンだって多忙だろうに、わざわざ時間を割いて準備してくれた。
その気持ちが何より嬉しい。

「でも、簡単すぎね」
「手厳しいな」

オルシュファンは大きく頷いてみせた。
ほぼ答えになっていたカードを机の上に並べる。
過去の冒険家が残した意味の分からない暗号文を思えば、これは本当に易しいもの。
いや、あれが難しすぎるとも言える。

「これくらいならヒントなしでも十分よ」

片っ端から探すにしても、ここはそう広くない。
手がかりがなくとも何とかなっていたと思う。
私の言葉を聞いたオルシュファンがふむ、と顎に手を当てて何かを考えているようだ。
これはまた何かあるのかもしれない。

次はお前を困らせられるといいのだが」
「困った私が見たい?」
「ああ、見たい。きっとその顔もイイものだろう?」

問いかければ躊躇いなく肯定が返ってきた。
一体何を考えているのやら。
さて、私がオルシュファンに困らせられる日は来るのだろうか。
それを知る術は今の私にはなかった。