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Hizuki
2017-02-13 19:18:48
1912文字
Public
FF14
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インビジブル
【FF14】エス光というよりはエス←光。ヴァレンティオンの話。信頼かそれとも。
「エスティニアンみっけ!」
「
…
何だ?」
聞き慣れた相棒の声が聞こえた方向から何かが飛んでくる。
狙いがずれていたのか避ける必要もなく、それは俺から30cmほど離れた建物の外壁に当たって砕けた。
白く飛び散ったものは雪玉のようだ。
「そーれっ!」
皇都下層の普段から人気の少ない路地。
しかも今この場にいるのは俺一人だけ。
完全に俺を狙っている。
傾きつつある日を背に立つ相棒の顔は見えない。
続けて飛んできた2個目の玉は力を加減されていたのか、当たる前に地面に落ちていった。
「おい、危ないだろう」
「うーん、もうちょっとか」
咎める声を気にする様子はない。
距離を詰めようとすれば、それと同じ分だけ離される。
まだ両手には雪玉を持っていた。
「これで当てる!」
2つの玉は同時にではなく、時間差を付けて放たれる。
1つ目を難なく避けると、遅れて投げられたやや大きめの2つ目の玉が迫っていた。
当たったところで大して害はないだろうが、反射的に手が出て雪玉を受け止める。
途端にボロッと雪が崩れ、何かが地面に落ちた。
「おい!」
一瞬それに気を取られ呼び止めるべく声をかけるも、何も返事はない。
ただ路地に自分の声だけが響く。
「チッ
…
。何なんだ一体
…
」
地面に落ちたそれを拾い上げれば、何かの包みのようだった。
雪玉が崩れたと同時に落ちたということは、玉の中に入っていたということ。
不可解な相棒の行動と、謎の包み。
とはいえ路地に捨て置く訳にはいかず、それを手に神殿騎士団本部へと戻った。
俺の様子に何かを察しているのか話しかけてくる者はいない。
ここで話しかけてくるような奴がいるとすれば。
「どうしたんだ、エスティニアン」
「
…
アイメリク」
こいつくらいのものだ。
「私でよければ聞くが?」
一人で考えていても埒が明かない。
総長室に場所を変え、拾った包みをアイメリクの前に置いた。
あの場では分からなかったが、包みは白く、口を留めている布紐は蒼い。
そして先程の出来事を告げる。
「ふむ
…
」
俺の話を聞き、アイメリクが考えを巡らせるように息を吐く。
包みを手に取って眺めると、また元の位置に戻した。
ちらりと机上の暦に目を向け、何かに気付いたように笑ってみせる。
「
…
フフ、そういうことか」
「何だ」
「ヴァレンティオンデー、だろうな」
自分には縁遠い催しの名に深く溜め息を吐く。
戦争の真っ只中だとしても、この時期に街中に出れば目に入らないことはない名前。
「今の話からすれば、冒険者殿がお前に、ということになるか」
アイメリクの推測に頭がクラクラしてくる。
一体何をどうすればそんなことに。
「少なくとも、彼女が探してまで来ているのだから、これはエスティニアンが開けるべきものだ」
理由が分からない。
あいつは俺と同じ蒼の竜騎士で、背を預けられる相棒で。
ただ、それだけのはずだ。
包みを手に総長室を後にして、街中に出る。
空はとうに闇へと色を変え、薄く雲が広がっていた。
拠点をイシュガルドにしている以上、探す場所はそう多くない。
食事と情報収集を兼ねた酒場か、不足品の調達に宝杖通りか、あるいは身を寄せているフォルタン家の屋敷か。
しかし読みはどれも外れ、あいつを見つけたのは建国十二騎士像の側、グランド・ホプロンの壁の裏側だった。
教皇庁を正面にぼんやりと地面に視線を落としていた。
「
…
どういうつもりだ」
「どういうっていうか、ありがとうみたいな?何度も危ないとこ助けてもらったし」
声で俺だと判断したのか、こちらに顔を向けないまま相棒がそう言った。
聞き慣れている普段通りの声音。
何について、とは聞いていないが、本人も思い当たることはそれしかないのか、こちらの様子を察したように言葉を返す。
正面に立っても顔を上げる様子はない。
「そしたら、ちょうどそういう時期だったから」
世間に溢れるような浮ついたものではない、ということか。
そもそもこの冒険者にそういった話があるとは聞いたこともない。
何だかんだと動き回っているこいつもあまり縁はないのだろう。
「
…
だからそんな深い意味はないよ」
「あぁ、そうか」
「それじゃ、また明日!」
俺の横を走り抜け、騎士像の前の階段を下りていく。
表情は見えなかった。
その姿を見送ってから、自分が手にしている包みにもう一度目を落とす。
蒼い紐を解けばふわりとアルコールの香りが漂った。
中に入っていたものを摘み、口の中に放り込む。
ほろ苦い、酒の入ったチョコレート。
―
その真意はまだ見えない。
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