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Hizuki
2016-07-29 00:11:40
1544文字
Public
FF14
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視線切り
【FF14】オル光。オルシュファン様とコスタに行きたいヒカセンの話。
「ううむ
…
」
彼女から渡されたチラシに一通り目を通して自分の口から出たのは何とも言えない声だった。
チラシにはコスタ・デル・ソルの文字が踊っている。
砂浜で遊ぶ女性達の姿、レストランの美味しそうな魚料理の写真。
コスタ・デル・ソルといえばリムサ・ロミンサのリゾート地。
地名くらいは目にしたことがあった。
「
…
ダメ?」
たまには休みを取ってくれと部下達から懇願され、彼女にどこか行きたいところはないかと聞いてみたのが数時間前の話。
ちょっと出かけてくる、と言ってドラゴンヘッドを飛び出していった彼女がこのチラシを持って戻ってきたのがついさっきの話。
「ダメという訳ではないのだが
…
」
「もしかして泳げない
…
?」
「そういうことではなくてだな
…
」
心配そうに彼女が問う。
泳げないということではない。
それこそ昔は湖や川で泳いでいたこともある。
だが今の問題はそれではない。
「うーん
…
」
彼女が不思議そうに首を捻った。
他の場所であればすぐにでも首を縦に振っている。
それができないのは私の個人的な感情のせいだ。
そしてその感情を素直に明かしていいものなのかどうかも量りかねる。
「何か理由があるんだよね、きっと」
けれど彼女の方から『ここに行きたい』とわざわざチラシまで持ってきてくれたのだ。
このままでは隠し事をしているようで気が咎める。
「
…
のだ」
「ん?」
「
…
お前の水着姿を
…
他の人間に晒したくないのだ
…
」
…
あぁ、言ってしまった。
テーブルに肘を突き、組んだ手に額を寄せる。
珍しく自分の顔が熱いのが分かった。
やはり言わない方がよかったかと、少し顔を上げて彼女の様子を窺う。
「えっ、そういうこと
…
?」
何度も瞬きをし、こちらを見ている彼女の姿。
理由を探して顎に拳を当てた格好のまま固まっている。
私が見ていることに気付くと忙しなく視線を彷徨わせ、程なくしてテーブルに突っ伏した。
「
…
あぁ、そういうことだ」
もう口にしてしまった以上何も変わるまい、と開き直って顔を上げる。
重い装備はあまり好きじゃない、と彼女は革や布の素材でできた軽装備を好んでいた。
もちろん時には金属製の装備を纏っていたこともある。
装備の外見を変えられるという触媒が流通するようになって以降、軽装備という傾向はより強くなったように思える。
そして海というのであれば、更に肌を覆う部分は少なくなるだろう。
だからこそ抵抗があった。
「本当は普段からもう少し気を付けてもらえると嬉しいのだがな」
「えーとその
…
すいません
…
」
思い当たることがあったのだろう、顔を伏せたまま謝罪を口にした。
「でも、そういうことなら大丈夫!」
何かを思いついたようにガバッと身体を起こすと、彼女が手を打ち合わせる。
まだ先程の言葉を引きずっているのか頬が赤い。
「あそこ貸し切りにできるから!」
そう言って彼女が示したチラシの片隅には『貸し切り応相談』と書かれていた。
キラキラとした笑顔でこちらを見る。
私の懸念を払拭する彼女の提案に思わず笑みが零れた。
確かに貸し切りにしてしまえば、そこで働く者達以外の目に触れることはない。
少し人気の少ない場所となれば尚更。
「
…
分かった、ならば行こう」
「やったぁ!」
彼女の眩しい笑顔がはじける。
こうして、私の休暇の行き先が決まった。
青い海に、白い砂浜。
周囲に他の者の姿はない。
「オルシュファン、早くー!」
打ち寄せる波と戯れながら私を呼ぶ声がする。
吹き抜ける海風が彼女の髪を撫でる。
「あぁ、今行く!」
白のワンピーススタイルの水着。
さぁ、愛しい彼女の姿を独り占めさせてもらうとしよう。
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