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Hizuki
2016-07-04 19:52:46
1881文字
Public
FF14
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晴天に祝福を
【FF14】オル光。ヒカセンが友人の結婚式に呼ばれた話。適当にドマの風習を盛ってますので注意。
「む、その腰に付けているものは何だ?」
「ん?」
彼女の腰に見慣れないゆらゆらと揺れる白いものが見え、思わず問いかけた。
普段そのようなものを付けているのは見たことがない。
「ああ、これ?てるてる坊主だよ」
「テルテルボウズ?」
聞き慣れない単語をそのまま復唱する。
繋がれていた腰帯から紐をほどき、私の前に差し出された白いものには顔が描かれていた。
触らせてもらうとその手触りから布でできているようだ。
どうやら紐は顔を形作るためのものらしい。
頭の部分には何かが入っているようで、少し崩れているがおおよそ球体になっている。
かといって胴体に中身はなく、ただ切りっぱなしにされた布がひらひらとしているだけだ。
「ドマの人に教えてもらったんだ。おまじないみたいなものって言ったらいいかな」
東方にはこちらにはない珍しい風習も多いと聞く。
このてるてる坊主とやらは本来家の軒下などに吊るしておくものだそうだが、冒険者としてあちこち飛び回っている彼女は自分の身につけておく方が効果がありそうだと腰帯に結ぶことにしたと。
まだまだ自分の知らないことがあると思うと、ドマ方面の人々と交流を持つ彼女からもたらされる情報はとても興味深い。
「明日の天気が晴れになりますようにって」
「ほう、何かあるのか?」
「友達の結婚式にお呼ばれしてるの」
聞けば度々彼女の冒険譚で名前が上がった仲間の式だという。
「黒衣森に教会があってね、そこで挙げるんだって」
そう言って彼女は嬉しそうに招待状を見せてくれた。
明日の日付と開始時間、そして式を挙げる二人の名が記されている。
「最近向こう雨が多いみたいだから、ちょっとでも効いてくれたらなって」
雪は降るが、雨が降らないクルザスやイシュガルドには馴染まないもの。
それこそ霊災前であれば何かしらそういったものを取り入れていた地域があるかもしれない。
「折角の門出の日には晴れていてほしいじゃない?」
「そうだな」
にこりと笑った彼女はまるで太陽のように眩しい。
そんな彼女が好天を望むのだ。
きっとそのまじないは効果を発揮するのだろう。
「私も晴れを祈ろう。それはどうやって作るのだ?」
「オルシュファンも作ってくれるの?」
「うむ、私でも作れるのならだが
…
」
剣術に心得はあるが、何かを作るということにおいては些か不安が残る。
しかし、そんな不安を吹き飛ばすように彼女は言う。
「大丈夫大丈夫。使えそうな素材あるから一緒に作ろう」
鞄の中から布や紐、いくつかの素材を取り出して机の上に並べていく。
彼女に教えてもらった通りに進めていくと、不格好ながら同じようなてるてる坊主が出来上がった。
「はい、これで完成だよ」
「思ったよりも簡単なのだな」
「でしょ?」
指に引っかけ、出来上がったそれを眺める。
気持ちはしっかりと込めたつもりだ。
「これを飾るのだったな」
「そうそう。私のも一緒に吊るしてもらえる?」
彼女が作ったものを受け取り、窓際に寄って結び付けた。
部屋のカーテンレールの端にてるてる坊主が二つ、仲良く並んでいる。
「
…
ところでいつになったら私はお前の晴れ姿が見られるのだろうな?」
「ええと
…
あの
…
」
振り返りふと問いかけると彼女の視線が泳いだ。
その顔は朱に色づいている。
「そ、そのうち
…
?」
首を傾げながら告げられた漠然とした回答に思わず笑みが零れる。
互いの今の環境を思えばいつ、などと明確な答えがもらえるとは最初から思っていない。
だからこそ、拒絶されなかったというだけで十分な答えだった。
「は、まだやらなきゃいけないこと残ってるんだった!」
残っていた素材を慌てて鞄の中にしまうと勢いよく立ち上がる。
また来るね!と言い残し、風のように部屋を出ていった。
あぁ、もう少し聞くタイミングを考えるべきだったか。
いや、でもこんな時でもないと聞けないなと吊り下げた二つのてるてる坊主を見て思った。
数日後。
冒険者殿から手紙が来ていますよ、と言って部下が封筒を届けにきた。
淡い水色の封筒の表側には整った文字で私の名が、裏側には差出人の彼女の名が書かれている。
丁寧に封を開けると、中には紺のインクで描かれた華やかなドレスを纏って微笑む女性の姿。
色が入っているのは髪と瞳だけ。
手には小ぶりの花束。
それが彼女だと分かるのに時間はかからなかった。
添えられたカードにはただ一言だけが綴られていた。
『今度はあなたの隣で着たいです』
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