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Hizuki
2016-03-31 20:26:14
3129文字
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FF14
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機械仕掛けの英雄2ー英雄は時を刻むー
【FF14】オル光。『機械仕掛けの英雄』の続きのような話。一応これのみでも読めます。ミニオン起動について適当に設定盛ってますので注意。ヒカセンのミニオンを作っちゃったオルシュファン様。
『見せたいものがあるから、時間がある時にドラゴンヘッドに寄って欲しい』
伝言をタタルさんから受け取ったのはついさっきのこと。
もちろんその伝言を残していったのは、他の誰でもない、オルシュファンだった。
そろそろ装備を新調しないと、と素材を取りに出た自分と入れ違いに彼が来たのだとか。
ちょっと休憩したら作るかとリテイナーに大量の素材を預けて戻ってきたが、流石に汗まみれの採掘師の格好で行くのは気が引ける。
軽くシャワーを浴びて汗を流し、服を着替えてフォルタン伯爵の屋敷から出た。
託された黒チョコボに乗って行ってもよかったけれど、彼を待たせているのだと思うとそうのんびりもしていられない。
陽も傾き始めている。
テレポの魔法を唱えながら、見せたいものって何だろう、と考え始めたところで一つ思い当たるものが浮かんだ。
「
…
もしかして、アレかな」
あまりいい予感はしない。
そういう時に限って予感というのは当たったりする。
目を開けるとそこは見慣れたドラゴンヘッドの風景。
雪の家としてここの応接間を使わせてもらっている間に知らない人はいなくなってしまった。
私の姿を見ると、夜警担当の人が手を振ってくれた。
彼がいる館の扉を開けると、やはりいつもと変わらない様子で迎えてくれる。
「こんにちは」
「おぉ、よく来てくれた!まさかこんなに早いとは思わなかったぞ」
両手を広げてここの主がいつものように迎えてくれた。
「待たせてごめんね」
「気にするな。元々待つつもりでいたからな」
今日の用事が自分のことだけでよかった。
他のことが絡んでいたら、彼をどれだけ待たせることになっていたか。
「それで、私に見せたいものがあるって聞いたけど
…
?」
若干の不安を抱えつつ、用件のことを聞いてみる。
「うむ、アレが届いたのだ」
そう言って、オルシュファンは机上に置かれた箱を持ち上げ、作戦卓の私の前に置いた。
扉を開けた時から視界の端に入っていた箱。
箱の大きさからして、そう大きなものが入っている訳ではなさそうだ。
ウルダハの紋章に、見知った彫金師ギルドのマーク、そしてギルドマスターのセレンディピティーさんの名前。
…
やっぱり。
「
…
中身、ミニオンですか」
「察しがイイな!」
警戒心から思わず敬語になってしまった自分と対照的に、オルシュファンの顔が一際輝いた。
以前ミニオンの話になった時に、何故私のミニオンがないのかと言った。
そして、ないのなら作ればイイと彫金師ギルドに依頼に行ったようで、数日後たまたま会ったマスターに『クルザスから特注の依頼が来た』と嬉しそうに言われたところで察しはついていた。
導き出される結論は完成品が届いた、ということだろう。
「まさか本当に作っちゃうとは
…
」
その熱は一体どこから来るんだろう。
全く分からない。
できたら確認してもらわなくては、と言っていたし、今日はそのために呼ばれた、ということだろう。
貴族や偉い人物であるなら本人の周りの人間がそういうことはするのだろうけど、生憎一介の冒険者にそんな人間はいない。
「フフフ
…
昨日届いてな。お前と共に開けようと思っていたのだ」
「すぐに来られたからよかったけど、時間がかかっても待つつもりだったの?」
「もちろんだ」
その割には開けたくて仕方なさそうでしたよね、オルシュファン様?とヤエルさんが横から口を挟んだ。
「先に開ければよかったのに
…
」
指摘をごまかすように咳払いをするオルシュファンに思わず笑ってしまう。
あぁ、本当に今日の用事が自分のことだけでよかった。
そうでなければさっきのオルシュファンは見られなかった。
「
…
開けるぞ」
封のため留められていた側面のテープをはがし、中身を覆うように被さっていた蓋を外す。
するりと上に抜けた箱の中に、衝撃などで壊れてしまわないように緩衝材として入れられている布をどけると、そこに人形がひとつ。
「おぉ
…
」
オルシュファンが感嘆の声を漏らした。
竜騎士の甲冑を身に纏った、小さな自分。
それは、私がウルダハを追われ、雪の家となるドラゴンヘッドに逃げ込んだ時の姿だった。
「あぁ
…
やはりイイな
…
」
丁寧に箱から取り出し、机の上に座らせる。
そして、その人形の頭を撫でる。
やさしく、まるで私の頭を撫でるように。
今、自分が撫でられたのかと錯覚するほどに。
心臓が一拍大きな音を立てた。
他のみんなの視線が人形に注がれる中、一瞬こちらにオルシュファンが意味ありげに視線を向けて微笑む。
それはすぐに消え、普段の騎士としての顔に戻った。
「流石はウルダハの彫金師ギルドだ
…
」
まだ動揺を抑えられないまま、人形に視線を戻す。
モデルが自分自身である、ということを差し引いてもその出来が素晴らしいというのは紛れもない事実。
細かい竜騎士の甲冑が見事に再現されている。
マスターの手で作られているのだから、相当なものだというのは言うまでもない。
以前ウルダハで会った時のあの気合の入りようからして、彫金に明るくない者が見ても、それはきっと分かる。
しかも、魔法人形である以上、動くのだ。
「どうだ?何か改良して欲しい点はあるか?」
「えっ、いや私から言うところは何もないけど
…
」
急に話を振られ、自分がここに呼ばれた理由を思い出した。
そうだった、仕上がりの確認に呼ばれたんだった。
「オルシュファンがこれでいいなら、いいと思う
…
」
私の返事を聞くと、箱の中からもう一つ小さな箱を取り出した。
指輪を入れられるくらいのその箱を開けると、綺麗に磨かれた宝石が姿を現した。
人の爪のサイズほどの小さな石。
「これが鍵か
…
」
まだ人形は動かない。
魔力が込められたコアがあって初めて動く。
この石は、コアのロックを外すための鍵。
甲冑の胸元にすっぽりと収まりそうな穴が開いている。
オルシュファンがそこを覆うカバーを開け、石を収めて元に戻す。
元の装備にはないけれど、最初からあった装飾のように違和感がない。
「さて、これで動くはずだが
…
」
その声とほぼ同時にゆっくりと人形の瞳が開かれていく。
周囲をきょろきょろと見回してから机の上に立ち上がると、真っ直ぐ彼の元へ足を進めた。
ロックを外したオルシュファンをマスターとして認識したのだろう。
彼の前でぺこりとお辞儀をすると、周りから歓声が上がった。
「ちゃんと動いたな!」
更に人形は辺りを歩き、私の前で足を止めた。
先程と同じようにお辞儀をしてみせる。
他の人の前では何の素振りも見せなかった。
マスターだけではなく、私のことも分かるのだろうか。
まるで、自分の片割れのようで、その頭に手を伸ばしそっと撫でた。
ここの人達ならば、必ずこの子を大事にしてくれるだろう。
「さぁ、新たな仲間を歓迎しなくてはな」
その日はオルシュファンの指示の元、普段よりも少しばかり豪華な食事がお酒と共に振る舞われた。
いつの間にかもう一人の私はオルシュファンの肩にちょこんと座っていた。
オルシュファンだけではなく、他の人達の嬉しそうな様子を見ると。最初に言っていた『士気に関わるかもしれない』というのが事実だったのだと分かる。
これでいいのかと思わなくもないけれど、喜んでもらえているのなら悪くないかとも思う。
たった一言がきっかけで作られた私のミニオン。
それが彼らの、オルシュファンの希望となることを願って、グラスのお酒を飲み干した。
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