ろころころ
2024-10-23 18:02:48
8280文字
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Code:??? 文通






燃える家々、逃げ惑うのは知った顔の人々。

辺りからは悲鳴と金属がぶつかり合う音が聞こえていたが──────これが聞こえるうちはまだ望みはあるもので。

やがて、何の音も聞こえなくなり、あたりはしんと静まり返った。


「──────

少年は震える体を抑えながら、物音を立てないようにゆっくりと立ち上がる。震える身体は思う通りには動かないが、それでも進まねばならない。

物陰から姿を現した彼が初めに目にしたのは、血を流して倒れる人々。
胸を裂かれ、頭を切り落とされ、皆が無惨な姿で転がっている。

昨日までは生きていた彼ら。この街は小さいから、ほとんどの町民とは顔見知りの関係性であった。そんな彼らが、もう今は動くことの無い死体となっている。
あまりにもの恐ろしさと悲しみに、絶望せざるを得なかった。

と、その時。
東の方向から複数の足音が迫って来たことに気がつく。

──────行かなければ。

少年は本能的にそう思った。
この街にいてはいけない。何ならこの島からさえも。逃げなければ。逃げなければ、殺されてしまう!



少年は海辺に向かって走った。
何処のものかもわからない貨物船にこっそりと乗り込んだ。

しかし、その日の夜は嵐の夜。
荒れ狂う波と吹き付ける暴風に耐え切れなくなった船は、そのまま沈み行くのだった。






Code:??? 文通


清々しい朝の空気を肺いっぱい吸いながら、まだ部屋着の青年アユムは箒を手に外へと出る。
晴れている日の朝は、運動代わりに寮部屋の前の落ち葉や砂を箒で掃くのが彼の日課であった。朝から身体を動かせば直ぐに頭はスッキリするし、ルームメイトの少年はまだすやすやと夢の中であるため、変に音を立てて起こすのも忍びない。
「おい」
欠伸をしながら呑気に落ち葉を片隅に集めていると、背後から声がかかった。

「あ、リュクトくん。おはよぉ」
「貴様宛てだ」

彼はアユムの挨拶に応えることはなく、持っていた白い封筒を一枚突き出す。

「あれ、持ってきてくれたの?ありがとう」
……………

彼は特に何も言わず、此方を睨んでからそそくさとその場を立ち去った。普通であれば怖がるところなのかもしれないが、何せアユムもリュクトとは中々に長い付き合い。あれがただの照れ隠しであることは承知の上なので、気にすることなく手元の封筒に視線を落とした。

(送り主の名前が何処にも無い誰からだろう?)

アユムは放浪して救助隊へやってきた身。そのため、これといった知り合いもおらず送り主に心当たりも無い。かと言って、その封筒にはしっかりとアユムの名前が刻まれているため住所を間違えたようにもおもけない。
その不気味さに一瞬戸惑うが見た感じはただの手紙であるし、中も紙以外の何かが入っている様子もない。

………………よし」

見てみよう、アユムは少しだけ決心をして、そっと封を開く。

中から取り出せたのは1枚の薄紙。見たところ便箋でもない、どちらかと言えばわら半紙に近い薄くてボロボロな紙だった。
そこには、筆を使ったかのようなうねる文字が刻まれていた。


アユムは、その文字にゆっくりと目を通す。
そしてわかったことと言えば、

(これ……父さんからだ!)


まさかの送り主に、胸の鼓動が早まる。
死んだと思っていた。そんな父親からのまさかの手紙に、彼は喜びを隠せずにいた。


内容としては、自分達はまだ敵軍と戦っていること。そして既に何百人もの軍人を切り裂いたこと。自分は元気にやってるから、お前も頑張れという内容。

手紙と言うよりかはただの報告に近いが、それでも父親から生きた証が送られてくることは喜ばしいことだった。

まだ彼が故郷に住んでいた時のこと。彼の父親は村でも名の知れた武士であった。そんな父親が本土に攻め込んできた海外の軍勢を追い払うために、徴兵制度に応じて家を出て行ったのは今から3年程前の話である。
その後、アユム達の住んでいた村にも軍は攻め込んできた。この時、アユムは父親達は皆、戦いの末に死んでしまったのだ

そう思っていたのだから。


……あゆむ?…………またそうじしてる

背後からの声に現実に引き戻される。部屋のドアの隙間から、同室の少年テオが眠たげな顔を覗かせていた。

「て、テオくん聞いてよ!父さんから、父さんから手紙が来たんだ!もう二度と会えないと思っていたのに父さんは生きてるんだよ!」

少年が寝起きなのもお構いなく、興奮した様子でアユムは喜びを伝えた。そんな彼の声が寝起きの頭には響いたのだろうか、少年は一瞬顔を顰めるがすぐにアユムの報告と心情を理解し、心優しい少年は笑いかけた。

「それはよかったな。いつか会えるといいな。おれも会ってみたい」
「う、うん!あとで返事の手紙を送るから、その時に聞いてみるよ!」

とても清々しい朝は、今までよりも更に希望に満ち溢れていた。




**********


「えーーっ!!!?めっちゃすごいじゃん!?やったねあゆむっち!!!まぁでもあゆむっちのパパはさいきょーなんでしょ?そんな海外のチンピラなんかにやられたりしないってことだよ!!!」

朝の食堂に、少女の声が響き渡る。

「最強の武士、かぁ。俺も会ってみたいな!刀でシャキンって戦うの、すごくかっこいいんだろう?俺は剣しか使ったこと無いからさ。もしもアユムくんのお父上に会えたら、まずは隊長として刀裁きを習いたいよ!」
「シャキンとはなんだシャキンとは。……まぁ言わんとしてることはわかるが。そもそも私達は武士なぞお目にかかることは中々良い無いからな。会ってみたいのは同感だ」

朝食時の食堂はいつもよりも賑わい人で溢れている。そんな中、アユムは仲間たちにこの喜びを聞いて貰うべく早々と足を運んでいた。
心優しい彼らはそんなアユムの様子をまるで自分事のように嬉しそうに聞いている。

「アユムくん。私も叔母様に手紙を出す予定があるので、もしお返事を書かれるのでしたら私がポストまで持っていきますよ!」
「え、エステルちゃんいいの?ならお言葉に甘えて
「これはシルヴィアが言ってたことなんだけど……子供の成長がわかる写真を見ると、親は喜ぶらしい……写真、撮ろうか?」
「トトくん!お、お願いしても良いかな?」
「あゆむ、手紙だすなら、さっき言ってた救助隊にこれるか聞くのもわすれないで」
「うん!大丈夫、ちゃんと聞くよ!」

賑やかな食堂で彼等の会話が目立つことはなかったが、アユムは改めて仲間達の温かさを噛み締めた。
そんな様子を、遠目から眺める姿があった。

……………………
「リュクトくん、おかお、怖いよ?」

鋭い眼光でその光景を睨みつけるリュクトの顔を覗き込むように、ルニが話しかける。

「邪魔だ、どけ」
「むぅ、言葉使いも怖い


希望とは、そうも簡単には訪れないのだ。
………真実を知るのは、ただ1人。






*********


1通目の返事を送ってから2通目が届くまで、そう時間はかからなかった。
そして、一週間に1通のペースで、届く手紙も送った手紙も増えていく。

2通目は写真を送ったことがあってか、アユムの成長を喜ぶ内容であった。3通目以降は戦場であっても桜の花が咲いている話、昇進した話、刀が折れてしまい新たに購入した話。そしてアユムの現状を訪ねるような内容も書かれていた。

しかし、文通が続いて3ヶ月程たった時から、ぴたりと返事は来なくなった。

………………………

………メリルちゃん、アユムくんはどうしたのかな?なんだか元気がないねぇ」
………父親からの手紙が来ないらしいわよ。
……………ちょっとアユム、いい加減元気出しなさいよ。元々無かったものなんだし、今更気にすることでもないじゃないの」

メリルは励ますが、彼は項垂れたままであった。

「だ、だって毎週ちゃんと来てたのに来ないってことはもう、父さんは」
「そんなのわかんないじゃない。忙しくて手紙を書く暇がないのかもしれないし、そもそも筆記用具が手に入らない可能性だってある。郵便が遅れてる可能性も否定できない。一概には言えないでしょ?」
「うぅそうだけど……
「アユムくん、元気だして?」
………………

少し前の雰囲気は一転、黙り込むアユムを仲間たちは励ます。
しかし、そんな中の背後からの視線にメリルだけは気づいていた。


*********

「リュクト、あんた」
…………何か?」
「ねぇ、アユムの手紙のこと、何か知ってるんでしょ。アユムが手紙を送り始めた頃から、あんたが夜中にコソコソなにかしてんの知ってるんだから」
何の話だ。彼奴の手紙に俺が関係する、だと?思考が飛躍し過ぎるにも程があるな。精神科にでも行った方が良いんじゃないか?」
「じゃあ何?あんたが夜な夜な作業をしてるのは事実よね。それが何なのか、私に説明してご覧なさいよ」

メリルはリュクトを問い詰める。
彼は決して表情を崩すことなくただ涼しい顔でメリルの瞳を睨んでいたが、やがてそのまま無言で部屋へと引き返す。

「な!待ちなさいよ!」
………………

スタスタと早足で歩くリュクトをメリルは追う。彼は隊長に申し出たことで一人部屋で生活している。そのため、彼が夜な夜な部屋で1人で何をしているのかは、誰も知る術がない。
結局彼は、部屋に入っていってしまった。

とはいえ、メリルには心当たりがいくつあった。ある日の深夜、メリルは中々眠れずベランダから外を眺めていた。その時、対角線上に見える彼の部屋の明かりがついていたのだ。その次の日も深夜に目が覚めてしまったメリルはふと彼の部屋のことが気になり窓の外を覗いたが、またしても明かりはついていた。
他にも、夜中では無いがユニオンの任務で街を歩いていたレオンが郵便局の方へ向かい歩く彼を見かけたと言っていたか。

(郵便局………)

そこに行けばなにか手がかりが掴めるのか。
メリルはそう考えた。





**********



あれから更に1週間の時が経った。
結局1通もアユムの元に父親からの手紙は届かず、アユムは何通か手紙を出したがそれが彼の元に届いているかすらわからない。

「なぁ、その大丈夫か?」
「アユムさんその、」

中々昼食が進まないアユムを見兼ねてか、トトとエステルがおずおずの話しかけてきた。

…………うん、ごめんね本当は、わかってるんだ。そろそろ集中力を取り戻さないと、皆にも迷惑がかかるよね
「そ、そういう意味じゃ

と、その時。

「アユム、ちょっと良い?話があるんだけど」
「ええと……話?メリルちゃん、話って
「いいからこっちに来て」
「ええっ?……うわ、ちょっと!」

まだ食べ途中のアユムの手を掴み立ち上がらせると、メリルはそのまま食堂からずるずると引き摺りその場を離れていった。

「ええとアユムさん、大丈夫でしょうか?」
「さぁ………てか、これどうするんだ

二人は、残された食べかけの昼食をどうすべきか話し合い始めた。



*********

「ね、ねぇ!メリルちゃん!どこに
「ここよ」

メリルが乱雑に開いたのは第2会議室の扉。
そしてそこには白い長机と、そこにルニに見張られるように座らされていたリュクトの姿があった。

「え、ええとリュクトくん?」
……………………

相変わらず何も言わないが、彼は気まずそうに顔を逸らした。

「ねぇ、あんたの手紙のことなんだけど」
……………っ!」
………解決したのよ。こいつがね、全部仕組んでたの」
「え、えぇっ?仕組んでた?仕組むって何を?」

アユムの問いに応えるように、メリルは何通もの封筒を机に並べた。

「これ、見覚えあるでしょ?」
………これ、父さんから届いてたやつと同じ
「そうよ。これをね、リュクトが部屋に溜め込んでたの」
「え、えぇ?」

彼が、この手紙を、部屋に?
全く意味がわからなかった。

「それは本当なの?……ええとどうして
………………それ、読んでみて」
……おい、やめておけ」

メリルの言葉を、リュクトが止めに入る。
しかし、アユムは封を開いた。
気になったのだ、父親が、果たしてどんな返事をくれていたのか。
そして一通目を開いた瞬間、

……………っ!」

辺りに広がったのは紙とインクの匂いでは無く、生臭い血の匂いであった。

それでも、恐る恐る、彼はわら半紙を開く。
そこには、最初の文字よりもさらに汚い、殴り書くような文字が書かれていた。


"敵軍に捕まり、1つの牢屋に仲間と共に入れられている。
腹を刺されているから血が止まらない。
仲間の中には死んでる奴もいる。
ここから逃げねば。

俺は、死ぬだろう。"


…………………え?」


それは手紙ですらなかった。
日記、もしくは報告文。
アユムに向けたものですらない。


アユムは、現実を消化しきれず、ただ無心に2通目を開いた。


"仲間が半数は死んだ。
痛みは無いが、傷口に蛆が湧いている。
おそらく俺もすぐに死ぬだろう。

腹が減り狂った仲間が死んだ奴を食っている。
死体が無くなれば、次に食われるのは、俺かもしれない"


血の匂いは更に濃くなる。
そして3通目を、震える手で開いた。


"いたい、いたい、いたいいたいたいいたい
食われる、くわれている、あしを、うでを、はらを、たすけて、たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたす"


わら半紙にべっとりと染みる赤は、既に乾いていた。


……………ねぇ……これは、なに?」
………………お前に行き届いていた手紙の続きだ」

リュクトが、静かに答えた。

「いいだろう、真実を話してやる」



リュクトは真実を、ぽつり、ぽつりと話し始めた。

数ヶ月前。1人の郵便屋が大量の封筒を抱えて救助隊の敷地内を彷徨っていた。そして彼はリュクトの姿を目にするなり、その封筒を"貴方宛"だと言って渡し、そそくさと立ち去った。

宛名を確認すると、そこにはアユムの名前があった。おそらく彼はこの封筒がどこの地域から送られたかを知っていて、刀を持ち歩いていたリュクトがその送り先の人物だと勘違いしたのだろう。

彼は最初、そのままアユムに渡そうと考えていた。しかし太陽の光で一通の封筒の中身が透けて見えた際そこに見慣れた"赤"が見えたことで、彼はその手紙を不審に思った。
仮にこの手紙が悪意のあるものだとしても、素直でお人好しなアユムなら疑うこともせずに開けてしまうだろう。
そう考えた彼は、その"赤"が見えた一通を開封した。するとそこには、先程アユムが3通目に読んだ例のものが入っていた。
他の手紙も開けてみると、それらは全て繋がっていること、同一人物から送られたものであること、その人物とはアユムの父親であることが判明した。
つまり、この手紙はアユムの父親が書き溜めたものであった。今更手紙が届いたのは、おそらく彼の故郷での戦が終わり、郵便というところまで手が届くようになったからだろう。

これにより、手紙自体は決して怪しいもので無いことは判明したが、それはともかくアユムの性格上これを見てしまえばどのような反応をするかは目に見えている。

アユムは少し前、父親は既に戦死しているのだと言っていた。その事を思い出したリュクトは、敢えてこの手紙を知る必要は無いだろうそう考えて、これらは全て彼自身が保管することに決めたのだ。

しかし、部屋にずっと保管していては万一の時に見つかってしまう可能性も高い。かと言ってゴミに出せば、救助隊の紙ゴミは全て事務によってシュレッダーにかけられるため中身を見られてしまう可能性も高い。
そう考えたリュクトは明らかにアユムに対する内容であった一通目の手紙だけは、彼に渡すことにしたのだ。

そして、例の朝の出来事に遡る。

しかし、その後のアユムの喜びよう、そして彼が"最近書かれた手紙"だと勘違いしてしまていたことを知った。
勿論現実を教えることも出来た。
しかし、教えてしまえば、彼の落胆ぶりは容易に想像できる。

そこで、確実にアユム宛とはいえなかった他の手紙の内容を見て、筆とそっくりなわら半紙を用意し、字を似せて"あたかもアユムに向けた内容"になるよう書き写した。

そうして、一瞬間ごとに送っていたのだ。
勿論、アユムの返事を彼はポストから回収していた。それに対する内容の返事を書くためである。

しかし、3ヶ月経った頃、ついに全ての使えそうな手紙の内容を書ききってしまった。
残るはその武士の"死"を描いたものだけであった。

そうして彼が返答を出さなくなったために、アユムの元に手紙が届くことも無かったのだ。





……はぁ…………貴様が使い物にならなくなるのが嫌だからわざわざ小細工を掛けていたと言うのに無駄な労力だった」
「変に期待させるからその分落胆が大きくなるんでしょ。さっさと処分するか、最初の時点で全部渡しておいた方が幾分かはマシだったんじゃない?」
「黙れ」

アユムは、何を言ったら良いかわからなかった。
別に、最初は父親は死んでいると思っていた。
だから、生きているという希望が持てた時は嬉しかったが、結局最初のが正しかったと言うだけだ。悪化したのではなく元に戻っただけ。だからアユムのこれから先の生活が今までと大きく変わることは無いし、ただただ前の自分に戻るだけであろう。
父親の残酷な最期を知ったことは、大きな衝撃であったが、それでも覚悟はしていた。
救助隊として、否それよりも前に、村が襲われた時に、家族のようにまいにち顔を合わせていた人々が残酷に死にゆく様を、彼は見たことがあった。決して、これが初めてでは無いのだ。

「ええとアユムくん………その、ルニはなんて言ったらよいのかわからないけど……………お父さんが死んじゃっても、ルニ達はずっと傍に、いるから……!」
……………………

アユムは、顔を上げる。
どんな顔をしていたかはわからない。
けれども、

「大丈夫、大丈夫だよ。ちょっとびっくりしたけど……でも、最初は父さんは既に死んでるって思ってたしそれに」

声は震えていたかもしれないし、ちゃんと笑えているようには思えないけれど。

「それにね、ルニちゃんの言う通りみんながいてくれるもんね。……父さんが死んで唯一心残りなのは、僕の周りには、皆みたいな素敵な仲間がいるんだよって伝えられなかったことかなぁ
……………………

彼らは、黙って聞いていた。

…………リュクトくん」
…………何だ」
……………ありがとう。迷惑かけてごめんね。僕のことを案じて、そうしてくれていたんでしょ?」

リュクトは、その表情に感情を乗せることはなかった。ただ無表情のまま、答える。

「言っただろう。貴様が使い物にならなくなのは勘弁だと」
「うん。それでも、きっと僕のことをわかってくれてるから、こうしてくれたんだよね」
………………
「メリルちゃんも。僕の手紙のことなのに、本当は僕が自分で解決しなきゃいけなかったのに色々調べてくれてありがとう。それからルニちゃんも。励ましてくれて、傍にいるって言ってくれて、ありがとうね」

「アユムくん
「別に私は何も…………
………ねぇ、寂しいって、悲しいって、思わないの?」

メリルの問い、アユムは困ったように笑った。

「勿論寂しいも悲しいも、あるけれど……それでも、今の僕には皆がいるから」


だから、寂しくないし怖くない。

それは、彼らに対する言葉なのか、自分の納得させる言葉なのかわからなかった。


Fin.