Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
南篠
Public
ダーリンランデヴー!
Clear cache
夢の続き
ダーリンランデヴー! / レディ・グレイス
目が覚めた。
まるで、永い夢を見ていたようだった。
体を起こす。五体満足、多少左足の見目が不格好だが問題はない。手を伸ばす。左手薬指に腐敗が見られる。不思議なことに動きはするらしい。何度か手を握っては広げ、ようやく己の身体なのだという実感を得た。
自分は
――
グレイスは一度死んだ。
それなら、この動く心臓は何?
誰か、男が自分に馬乗りになっていたような気がする。痛み、苦しみ、それすら上回る悔しさ、虚しさ、手の届かなかった成果。
だが、意識の端に引っ掛かっていただけのその光景は、グレイスが瞬きをする間に消えてしまった。痛みも苦しみも悔しさも虚しさも、潮が引くように胸中から消えていく。どくどくと心臓が高鳴り、脳の天辺から指先まで慌ただしく血が巡っている。視界が明滅し、ひとつ息を吸う。
体が軽かった。それはもう、驚くほどに軽かった。
「ふ、
……
あはは、あはは!」
頭の中が透き通るようで、思わず笑ってしまうほどで、不気味な肉体をした死人の笑い声は、きっと路地裏中にこだましたことだろう。
「なんだ、わたし、よみがえったんだ! よみがえるのって、こんなに簡単だったんだ!」
じゃあ、あの子はどうして戻ってこなかったの?
片隅で呟く声があった、誰かの顔が浮かんだ気がした。しかし疑問はふと潰え、次の瞬間には思い出せなくなっていた。夢だったのだ、きっと。すべてが。だって、生きることさえ完全な終わりがないのなら、いったいなにが現なのだろう?
自分の体が研究対象になるなんて思いもしなかった。楽しくてたまらない。グレイスは覚束ない足取りで、鼻歌混じりに、誰もいない夜道を歩いていった。
真っ黒い、底のないような眼孔が星を映す。
ここからはすべて、涯のない夢の続きだ!
広告非表示プランのご案内