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柄
2024-10-22 23:02:33
1926文字
Public
元セフレエメ光
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致命傷の愛
ヒカバザに持ち込む元セフレエメ光♀の番外から
私が頑張らなからば無配、頑張ればコピ本がなにかになるはず
穏やかな夜だ。エメトセルクと恋人になって、こうして夜に意味を伴って、心地よい疲労と共に寄り添って一つの毛布に包まって、体温を分け合う。それが、こんなにも愛おしいことなのだと知れたのは、きっと彼に恋して、愛されていると理解してからだ。
するりと、目の前の胸板に頬を寄せる。耳をぴたり、とくっつけば、可愛らしい心音がとくり、とくり、と響いた。この人が、生きていると言う証明だ。エメトセルクは、私と生きている。それが、すごく嬉しい。穏やかに響く心音に、さっきまであんなに激しかったのにな、なんて思いながら、ゆっくりと息を吐く。
「
……
何をしているんだ」
抱き込もうとしてきたエメトセルクの腕を手で掴んで拒絶しながら、少し離れてエメトセルクを眺める。
「あなたの体を堪能してるところ」
ふふ、と笑い声を溢しながら、指先で鎖骨をなぞる。その下に指を動かせば、厚い胸板がしっとりと手に触れた。胸の先についた可愛らしいそれをちょん、と弾けば、やめろ、と身をよじろうとするので、ごめんごめん、と謝ってもう少し堪能させて、と強請る。お願い、と囁けば諦めたような溜息と共に許してくれるのだから、彼は本当に私に甘い男だ。
「綺麗な体してるわよね。ソルの時の筋肉しっかりな体も素敵だけど、あなた自身のその体も、きちんと戦う人として鍛えられているものよ。大きな剣を扱うから、重心がブレないように重く、けれども邪魔にならないしなやかな体」
「英雄殿にお褒めに預かり光栄だな。詩人でも目指したらどうだ?」
「んー、戦歌なら得意だけど」
胸から手を真ん中へずらして、少し落とせば。そこだけ皮膚は質感と色合いを変えている。そこに残る大きな傷痕に、手のひらをひたりと合わせる。
「
…………
気になるか?」
この傷は、私がこの人を殺した印だ。私は確かに、あの時この人を倒したい、と願った。その傷が、これなのだ。
「そりゃあ、もう、ねえ? 私があなたを殺すために付けた傷よ」
ふ、ふふ、と。笑みが溢れる。うっとりと息を吐いてその引き攣った皮膚に顔を寄せ、ちゅ、と口付けてから頬をくっつける。
「この傷は、私の愛だと、きちんと覚えてね」
愛してる、と囁いて目を閉じれば、微かに息を呑む音が頭上から聞こえた。
「私に今後何かあっても、あなたはこの愛を抱えて生きて。私が道半ばで野垂れ死んで、今度は私があなたを置いていこうとも。あなたは、この愛を抱え無いといけない。抱えて、苦しんで、生きてほしい」
もう、置いていかないでと。遠い空の果てで願った。この傷がある限り、彼はずっと私の愛と生き続ける。それが、こんなにも幸福で、幸せで、嬉しい。
「
……
お前、」
掠れた声が響いたと思えば、ぎゅう、と抱き締められた。それが嬉しくて抱き返せば、すぐに離れて額をぺちん、と弾かれる。
「ったぁ」
「勝手に置いていくな。私は、置いていくのも置いていかれるのもごめんだ」
「えー。じゃあ、ずっといっしょ?」
目を細め、微かに笑みを浮かべてエメトセルクが私の頬を包み込む。ゆるゆると親指で輪郭を遊ばれ、それが、心地いい。
「お前には私を傷物にした責任を取ってもらわないとな」
ぐい、と押し倒されてエメトセルクを見上げる。頬を撫でる手が喉を通り、鎖骨を撫でゆっくりと降りていく。
「ふふ、何すればいい?」
「もう少し、相手を頼もうか」
笑いながら唇を寄せるそれに応えて、味わって。銀の糸がふつりと切れるのを待って、答える。
「よろこんで」
それは、私だって望むことなのだと。腕を絡めてもう一度、と私は強請った。
愛してる、と囁いたその瞳に宿った仄暗く重たい感情に、欲を覚えたなんて。けして、彼女に気付かれてはならない。予定になかった睦合いは結局彼女が疲れ果てて意識を失うまで続いて、ようやく息を吐いてゆっくりと抱き込む。
傷を付けたことを悔やむようならば、綺麗さっぱり見えないように幻覚でもかけてやれば良い。触れ合うたびに辛い顔をさせたく無かった。けれども、彼女はこの傷を、愛と呼んだ。エメトセルクと世界の行く末を賭けた戦いで、エメトセルクを倒すために付けた、致命傷だ。それが永久に残ることを嬉しいと笑う、その執着が、心地よく、愛おしく、どうしようもなく恋しい。
ゆっくりと抱き込む力を強くする。ふ、と彼女から息が漏れて、それを胸の中で感じる。
「愛してる、 」
囁いて、しっとりとした髪に鼻を埋める。心音が重なって、体温が同じ温度になる。そのまま蕩けて、溶けて。永久に一つになってしまえば、なんて。そんな甘く愚かな願いを飲み込んで、この夜が続くことを願い、夢を見るのだ。
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