貴方は萌えが足りないと感じたら『相手の服を抱きしめて寝ているたかなび』をかいてみましょう。幸せにしてあげてください。
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『おはようはまだ遠い』
事後処理に手間取って、結局家に帰れたのは夜明け前だった。先に寝てていいからと連絡しているものの、きちんと夕飯を食べて布団に入っているだろうか
……なんて、特に心配はしていない。
一人で留守番させるのはこれが初めてではなかったし、おれより規則正しい生活を送る彼女は真面目ないい子だ。通わせていない小学校の学年に換算すれば、確か四年生か五年生。十分しっかりしている。
なるべく音を立てないように鍵を開けて玄関から居間へと滑り込む。二人きりの生活には、まだ片付けられない彼の持ち物と匂いが残っている。閉じられたカーテンがうっすら夜明け色を取り込んでいるのを眺めながら、小さな声でただいま、と声をかけるも、案の定誰からの返事もない。
眠っているであろう彼女の部屋のドアを開けて様子を確かめようとして、違和感を覚える。自分の部屋のドアが開いているのを、視界の隅で捉えた。まさかなぁ、と思いつつ自室へと足を踏み入れると、おれのベッドでタオルケットに包まれて寝息を立てる少女が居た。
相変わらず寝相がどことなく斬新で、それでも子猫みたいに丸まっている姿に笑えてくる。よく見れば、おれが部屋着として普段着回しているスウェットと、彼が愛用していたTシャツをくしゃくしゃに抱きしめていたーーこれは、うーん。
まだうっすら残っている涙のしみに、しまったなぁ、と自分の前髪をくしゃりとかきあげる。時々起きる、発作のように爆発する悲しみと寂しさを、この一晩は彼女なりに頑張って乗り越えたのだろう。やっぱり駄目だと電話なりメールなり寄越してくれてよかったのに、そんないじらしさと健気さに胸が締めつけられた。
上着を脱いで、ハンガーに掛ける。身支度を適当に済ませて一息ついてから、丸まった背中の隣で横になる。起こさぬように頭を撫でてやると、ほんの少しだけ彼女がわらったように錯覚して、なんだかそれだけでおれはゆるされたような気がして、徹夜明けの睡魔に完敗した。
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