mado-ga-las1
2020-12-24 22:39:45
2813文字
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襲来!黒ギャルサン夕♂~俺の初めてのクリスマス~(バソマン)

鈴鹿ちゃんはこんなことしない!(挨拶)アホでお下品なバソマン。もし御覧になる場合はちのうしすうを低く低くすること推奨。攻女装。ちょっとリバの匂いするけどひっくり返らない。2020クリスマス発表より前に書いて没にしたのを引っ張りだした。


「メリークリスマス、マンドリカルド」
「うわキッツ」
 そんな罵倒じみた言葉が口から飛び出たが許してほしい。開けた扉の向こうにいたのは恋人だったけれど、最初に目に飛び込んできたのは胸筋で押し上げられている赤いトップスだった。身長差のせいだ。視線を下げたら割れた腹筋に丸出しの臍、次に太ももの上から三分の一にも届いていないミニスカート、裾から伸びるは引き締まった男の脚。何故か片方だけ網タイツ。至るところに白いもこもこのファー付き。こんな似合わない女装の手本みたいなのが見えたら誰だってキッツ、と思うし言う。扉を閉めなかっただけ良しとしてほしい。
 仕方なく部屋に入れて扉を閉めたら、直後に複数の人の声と足音がした。どうやら誰か探しているらしい。背後の不審者を振り返ると、バーソロミューは「誤解だ」と言ってホールドアップした。両腕から垂れる赤い布が動きに合わせて揺れる。
「確かに私は追われる身だが、この身は誓って潔癖だとも」
「とんでもねえ露出度の女装した男に言われても」
「それを言われると弱いが、どうか訳を聞いてほしい。海軍に追われるならともかく、今の私はカルデアという組織に所属しているんだ。その規律を乱すようなことはあり得ない」
 風紀は乱してるよな、と思ったが、言っていることは分かるので話を聞くことにした。見ているだけでこちらまで寒くなってきたので、ベッドに座らせて毛布を頭から被せると、「暖かい……」と呟いてすっぽり包まり、赤い三角帽子の乗った頭だけを出した。寒いんなら早く言えよ。

 聞き取りの結果をまとめると以下のようになる。
 十分ほど前、廊下を歩いていたら鈴鹿御前と行き違った。彼女はいつもとはうって変わって、かなり露出度の高い格好をしていたらしい。ちょうど、今のバーソロミューと似たような、というか全く同じ格好を。しかしバーソロミューは、よくあることだと思って気に留めず、そのまますれ違ったという。「前髪を伸ばせばケモミミ+メカクレの属性盛り盛りJKだと進言したこともあったがね。彼女にその気は無いようだったから」
 彼女に呼び止められたのはすれ違った直後だった。「恋の匂いがするし!」と言って、彼女はバーソロミューをビシッと指差した。
「今のあたしはラブでハッピーなクリスマスのためのJKサンタ!アンタの恋、応援するし!」
 次の瞬間、目の前が白い光に包まれ、それが消えるとバーソロミューは今現在の格好になっていた。奇妙なことに、鈴鹿御前は服装がいつものものに戻っており、「あれ?出力間違えた!?」などと言って慌てていたらしい。
 そこに運悪く通りかかった誰かがいた。彼ないし彼女が見たのは、慌てた様子の狐耳JKと対峙する半裸女装男性であった(面積的には二分の一以上露出しているのだが、局部は隠れているためここでは便宜上半裸と表記)。何かしらの事案が想起されたのも無理からぬことだろう。結果、管制室に通報が行き、バーソロミューはお尋ね者の身分を得て今に至る。
「うすうすそんな気はしてたけど、要するにクリスマスっすね」
「理解が早くて助かるよ」
「いや全然分からねえカルデア怖すぎる」
 俺は毎年恒例のクリスマス騒動は未経験である(騒動が毎年恒例ってどうなんだ)。カルデアのアーカイブを閲覧してみても、頭に残る感想は「よく分からない」ばかりだった。でもあのメキシコでプロレスしてた年の記録だけは何度も閲覧したのでよく覚えている。A・リベンジャーズのグッズ、売ってたりしたんだろうか。いいなーブラダマンテ……。いいなー子孫……
「私だって、何が起こったか未だによく分からないさ。去年はサンタになるという欲求に駆り立てられたと思ったら今年はこれだ」
 マスターからの又聞きだが、去年のバーソロミューは紳士サンタとかいうおかしな概念に囚われて、イアソンやらコロンブスやらと一緒にマスター一行に襲いかかったという。ものすごく渋い顔をしているが、きっとナイチンゲールの凄まじい投薬を思い出したんだろう。
「とにかく、私はただ巻き込まれただけだ。お分かりいただけたかな」
 クリスマスなんて陽キャのイベント、俺には関係ないと思っていたが、カルデアにおいてクリスマスとは向こうから襲いかかってくるものらしい。バーソロミューは真っ先にその餌食になった、という理解で良いだろう。雑な事情整理だが、要するに思考停止である。これ以上細かいことを詰めたら、気付きたくもない宇宙の真理とやらに接続してしまいそうな気さえしていた。
「体調悪くなったりとかは?」
「いや。むしろ霊基が強化されているような感覚だ」
「じゃあ、まだマスターに相談しに行かなくても大丈夫っすか」
……恐らくね」
「それ、どうしましょっか」
 先程よりも若干前屈みになっているバーソロミューの、腰の中心部を毛布越しに指す。疑問形で言ったが、実際どうするもこうするもない。やるべきことは一つだ。
「君の目は誤魔化せなかったか……
「いやあんた、隠してどうするつもりだったんすか」
「君にマスターを呼びに行ってもらって、その間に処理するつもりだった」
 毛布から君の温もりと匂いがして、これはいけないと思ったんだが。勝手に勃たせておいて処理を手伝ってくれなんて、そんなのは紳士の風上にも置けないからね。そう供述するバーソロミューは妙に恥じらっていた。毛布の匂いと移った体温だけで勃つなんて、初心みたいな反応をしてしまったのが恥ずかしいらしい。
「まあ、あんた今普通じゃないし。しょうがないってことにしとこう」
 言いながら毛布の中に手を突っ込むと、バーソロミューは「キャッ」と声を上げベッドの上を転がって逃げた。キャッてなんだよ。今更そんなお綺麗な仲でもないでしょうが。
「なんで逃げるんすかね」
「恥ずかしいものは恥ずかしいじゃないか」
「女装プレイだとでも思えばいいんじゃねえの」
「黒髭に何を読まされた?」
 その質問には黙秘権を行使する。いや本当に黒髭はまったくの無関係で、俺はただ思い付いたことを口に出しただけである。
「おら、観念して股開け」
 サンタ帽の乗った頭だけが飛び出ている蓑虫の上に、無理やり乗っかって抑え込む。
「ご無体な、ってこの流れはひょっとして私が下?」
「んー、どっちがいいっすか?」
 じゃれるようなキスをしたら、あっさり毛布の蓑が解けた。腕が伸ばされて、うなじから後頭部の髪を掻き上げるように撫でられる。
「まあ、君とならどちらでもいいさ。好きにしたまえ」
 えらく殊勝なことを言うが、俺だってミニスカサンタの衣装を着た男に抱かれても良いと思っている。そう考えて、今普通じゃないのは俺も同じだと気付いた。一足先に、碌でもないクリスマス気分を満喫するには、これぐらい頭が沸いていた方がいいんだろう。多分。