mado-ga-las1
2020-11-24 17:28:48
1165文字
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ネガティブな悪戯を試して

バソマン?これ?もうこれ名前と容姿(小説だけど)を借りたただのオリジナルじゃねえか!?って感じのやつです。続きがあったらすけべに入ってたけど正気に戻ったので供養。

「別れる」流し台に体重を預けて、遠くを見る目をしてマンドリカルドが言った。「そのうちに別れるな、俺ら」彼はなんとなく持っていたスプーンを口に咥えた。柄が上下にひょこひょこと動く。
「うん」バーソロミューは彼の方を見ずに生返事をした。ちょうど紅茶をティーカップに注いでいるところだった。誰に気兼ねすることもないので、バーソロミューの家にいる日は、キッチンで立ったままのティータイムを過ごしている。
 二人分を注ぎ終わり、バーソロミューはポットを静かに置いた。ちらりと目を上げて、マンドリカルドが唇でスプーンを弄んでいるのを認めると、行儀が悪いと言いながら右手でスプーンを抜き取り、自分の左手に渡した。そして空いた右手の人差し指で、マンドリカルドの顎を軽く上げさせた。
「口寂しいなら言ってくれ」
 二人は唇を合わせた。二人のどちらも舌を入れようとは思わなかったが、これはなかなか珍しいことだった。すぐに離れて、バーソロミューは屈めていた上体を起こしたが、彼の青い目はまだマンドリカルドを見つめていた。
「どうかな」
「どうとは」
「何か感じたか、ということだ。具体的には、ときめきとか」
 マンドリカルドは怪訝そうな顔をした。言葉の意味が分からない、とでも言いたげな顔だった。
「今ので?」
「なかなか恋人っぽくなかったかい」
 世の恋仲というのがあんなキザったらしい台詞と行動をとるかは甚だ疑問だ、とマンドリカルドは思った。それから問われた言葉を反芻して、改めてバーソロミューを見つめ返してみた。顔の造形は鑑賞には申し分なかったが、それだけだった。ときめきという感情が実際に身体に及ぼす作用をマンドリカルドは知っていたし、体験したこともあったが、この男に対してどうかと言われると首を傾げるしかないのだった。
「全くっすね」
「それは残念」とバーソロミューは言った。とても残念そうには見えなかった。
「あんたは」
「同じく。ただの確認だよ。そうでなければ、ベッドの上でもないのにキスなどしない」
「紅茶が冷めてしまう」そう言って、バーソロミューは湯気の立つカップの二つ並んだ流し台に向き直った。マンドリカルドもそれに倣い、カップの周りに無造作に置かれていた個包装の焼き菓子に手を伸ばした。スプーンはマンドリカルドの側のソーサーに、きちんと置かれていた。
「やっぱり別れるな」マンドリカルドは焼き菓子を頬張った口の中で呟いた。
「だろうねぇ」バーソロミューが間延びした声で返事をした。二人は同じ方を向いて、ぼんやりとキッチンの白い壁を見ていた。彼らはそれぞれに、そこに窓があってどこかの風景が広がっているかのように、遠くを見る目をしていた。そのまましばらく、流し台に肘をついたり凭れかかったりして、立ったまま紅茶を飲んでいた。