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mado-ga-las1
2020-04-05 20:57:03
1929文字
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無題
デア軸にしては倫理観が死んでるバソとマン。多分CPではない。何の罪もないよく喋るモブ一般人が出てきて死ぬ。自分でも解釈違いだと思ってるけど書いちゃったので…。
熱した鉄板に触れたいと思ったことはあるだろうか。
こんな質問を投げかけられれば、大方の人間が首を振るのだろう。けれど、本当にそうだと言い切れるのか、と私は疑問に思う。
子どもの頃に家族で行ったバーベキューの思い出に登場する、木炭を敷き詰められたコンロに乗った黒いプレート。木炭に火が点いても、見かけの様子は変わらない。本当に熱くなっているのか、と心配して触るような人はいない。そういう心配性の人は、せいぜい手のひらを翳してその熱を感じる程度に留めておく。しかし人間とは不思議なもので、母親に「熱くなってるから触っちゃ駄目」と言われると、なんとなく触りたくなってしまう。
なんとなく。これが一番厄介なのだ。
「好奇心は猫をも殺す」と言う。場合によっては人をも殺す。火傷程度では済まなくなる。それなのに私たちは鉄板に触れて、肉を焼くための熱で自分の指を焼いて、そこで初めて「やめときゃ良かった」と後悔する。
今の私の心情は、いわばそれだ。
物音が気になって路地裏を覗きに行くなんて、してはいけなかったのだ。
青黒い体、蝙蝠のような翼、頭からは角。明らかに人間ではない。人語も通じそうにない。落ち窪んだ眼窩から、赤い瞳がこちらを見据える。走るための靴ではないのに酷使されたハイヒールの踵は折れ、恐怖と疲れのせいか脚はもう一歩も動きそうになかった。
見た目は完全に、ファンタジー系の漫画や小説なんかに出てくる悪魔のそれだ。こんな現代社会でお目にかかるようなものでもないはずなのに、どうしてこんなものが。いやそれよりも、あれは私を追いかけて、追い詰めて、今もじりじりとこちらに近づいてきているのだ。逃げなければと下半身を引きずるように移動すれば、背中に硬い感触。振り返るとそこは壁だった。
行き止まり。死、という一文字が頭の中で明滅する。あれは私を殺すのだろうか。食べるのだろうか。どうして。どうして私がこんな目に。
悪魔のような何かとの距離はもう二メートルも無くて、訳も分からないまま私は身を竦ませた。誰か助けて、と叫ぼうにも、喉からは引き攣れたような声しか出ない。助けて、助けて、嫌だ、死にたくない、それで頭がいっぱいになった瞬間。
悪魔の背後から迫る青白い輝きを見た。
その閃光が、悪魔の体を真っ二つにする様を私は見た。
悪魔は黒い靄と化して消えた。月の光を背に受けて目の前に立つのは、やはり現代社会のものではない服装、いや武装?の青年だった。
助かった、それだけのことが理解できた。青年は私を見ている。人間なのは明らかだったから、とにかくお礼を言おうと私は口を開いた。
「あの
――
」
その時、青年の目にふ、と影がよぎったような気がした。彼が何故か申し訳なさそうな顔で私を見ていることに、今初めて気が付いた。
「ありがとうございます」
まだ震えの残る声で口にした瞬間、私の横の地面に何かが落ちてきた。
咄嗟に振り返って、
ぱん、と発砲音。力の抜けた体が倒れる。
「悪いことしたな」
マンドリカルドが心底申し訳なさそうに呟く。スーツの女性は、目を開けたままに絶命していた。
「君が凹むことでもないさ。運が無かったんだ」
バーソロミューの拳銃の先からは細い煙がたなびいている。地面に転がる女性の体の、ちょうど心臓の真上の辺りに真新しい銃創があった。
「即死だ。恐怖も痛みも、感じる暇も無かったと思うよ」
「銃すげえ
……
」
俺の宝具、絶対痛いし怖いもんな、とやはり沈んだ声で言うが、キャスターの隠蔽工作も間に合わないと分かった時に殺すことを決めたのはマンドリカルドだ。
マスターへの報告はしないことで意見は一致している。マスターが悲しんだり、責められるようなことだけはあってはならない、と躊躇なく決断したマンドリカルドは、しかし彼女を見殺しにはせず、一度助けることにした。その上で、苦しまないようにとバーソロミューに銃での殺害を頼むというどこかズレた気遣いを見せた。
「助かった、と思ったまま死ぬ方が幸せなんじゃねえかって」
それは、死際の後悔で在り方が決まってしまった英霊故の意見なのだろうか。しかし不可抗力とはいえ、自分の不始末の尻拭いを混沌・悪の海賊に頼むのはいかがなものか、とバーソロミューは思う。これが例えばモリアーティ辺りだったら、悪事の片棒を担がされる羽目になったかもしれない。
「それではマンドリカルド、約束は覚えているね?」
「へーへー。帰ったら1メカクレね」
「ああ
……
良い響きだ
……
。想像するだけで昂ってくるね
……
」
「まだ埋めなきゃなんねーぞ」
紳士を自称するバーソロミューとしては、この程度のことしか頼む気は無いのだけど。
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