しらかば
2024-10-21 18:51:02
3203文字
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Judgment

2023.9投稿分
朝霧凍磨・小鳥遊玲依・鷺内和希。おなじみ騎士団組の任務話。

騎士団三人組、凍磨、玲依、和希が同じ任務に向かう話。
ゆるいバトルものです。オチがギャグより。
和希視点。本編さほど関係ない妄想過多です。








警察より騎士団へ。
反政府組織に能力者犯罪。
内部には殺傷能力の高い爆薬あり。それを回収または破壊せよ。
○月×日、それを目当てにテロリストが襲撃の予告あり。
至急、対処すべし。

……任務了解、貴方の命令とあらば何なりと」

 その日、山奥の古びた倉庫の地下では人々が慌てふためいていた。
「騎士団です!」
「人数は!?」
「2人です!」
 漆黒を纏う剣士が、二人。
 立ち向かうは数百の軍勢。
 一人は闇を放ちながら似つかわしくない金色の剣を振るい、もう一人は表情を変える事なく舞うように水色の刀を振るう。
 相手は戦闘に長けていないのであろう、ただ武器を振り回すがわずか二人の騎士団員には傷一つない。
 ……と、まあ状況としてはこんな感じ。
 実況はこの俺、鷺内和希がお届けしました。上手く出来てたかな?
「おーおー。騒いでる騒いでる」
 まあつまり、戦況は問題無いって事だね。
 混乱を背に2階に登り、奥にひっそりと隠された部屋に、俺は一人足を踏み入れる。
「ヒッ、もうここまで騎士団の人間が!?」
 こいつも雑魚だな。戦闘能力はない。ただここにある爆薬を守る為にそこにある人間。
「安心しなよ。俺は何もしないよ?俺は、ね」
 俺はそいつを無視して机にある小さな箱を視界に入れ、端末を開く。

「通達。予想された場所に例のものあり。どうする?すぐ壊していい?」
【良くないわよバ和希。私達を巻き込む気?】
「えー、二人なら逃げれるだろ?」
【無理ですって!】

 そいつは震えながら俺にナイフを振りかざすが、僅かに身体を動かしただけで簡単に避けれた。やっぱり雑魚だ、俺は手刀のみでそいつを気絶させる。
【和希?大丈夫なの?】
「あーごめんごめん、お客さんの相手してた。で、なんだっけ?壊していいんだっけ?」
【はあ……もういいわよ、貴方の好きにしたら】
【え!?玲依さん、いいんすかそれで!?】
【諦めて、凍磨。このチャラ男、いつもこうだから】
 すると、俺に拳銃が突きつけられる。殺し慣れてるな、手が震えていない。
「じゃ、後は各々宜しく!」
 ぷつん。俺は端末を切り、両手をあげる。
「どうする?これ、壊しちゃう?」
「これが罠とも知らずのこのこと現れてくれて助かるよ、雷霆様?」
 気配は3つ。背後に殺気。俺の真後ろにいるこれがここの大将かな。
「何度も言うけど俺は何もしないよ?あ、君は聞いてないか。ごめんごめん」
「雷霆が、舐めた口を聞くな」
「そりゃあすいませんね。って俺、さっきも謝ったじゃん」
 俺は武器すら構えない。
「観念したか?死ね、雷霆!」
 何故なら気配は2つ。
 俺は笑いが止まらない。

「死ぬのはお前だーー後は各々、宜しくね」

 俺が手を下す必要はない。
 俺は何もしない。
 ただ、お前は爆薬を罠とし、それにかかった俺と言う獲物を喰いに来ただけなんだろうな。
 自分が罠にかかったとも知らず。
「はぁあああああ!!」
 闇を纏う拳は敵を地に縫い付ける。
「無駄な抵抗はやめろ、確保する」
「そうそう、上手いよ凍磨。さすがだね」
「上手いよ、じゃないのよ。自分を囮にして本命を取り押さえる作戦、本当にバカなの?」
 振り向けば、凍磨と玲依ちゃん。
「今日はいつになく厳しくないですか、玲依さん?」
「だってバカとしか言いようがないもの、このチャラ男。凍磨の捕らえやすいようにあのまま足元だけ麻痺させておいたくせに」
「え?そうなんですか?」
「まあ軽くね、軽く」
 まあ、ここまでは見事に作戦通りってとこかな。俺が不完全燃焼なだけで。少しくらいならいいよね?
「じゃ、お役目ご苦労様。ここからはバトンタッチで」
 俺は一人、その部屋を出る。
「凍磨。見ておいた方がいいわよ、今後の為に」
「え?」
「彼の顔、とても笑ってたから」


 そこにあるのは二人がなぎ倒した構成員達。多分死んではいない。
 この大人数を死なない程度に倒すとかすごいな、あの二人。玲依ちゃんはともかく、凍磨も力加減とか出来たんだね。成長だよ。
 入口からは予定通りにテロリストがなだれ込んでいる。奴らは俺を見て驚いた表情を浮かべる。いやー、人気者ってのも困りものだね。
「待てよ、どうして騎士団がーー」
「お望みのものならこの奥だよ。まあ俺を殺して行けるならだけど」
 上から俺を見る視線を感じる。
 成長した後輩くんのご褒美に、たまには本気で遊んでやろうかな?
「うーん、でも人数は思ってたより少ないな。5秒……いや、1秒で行けるかな、このくらいなら」
「舐めた真似を!」
 立ち尽くす俺へと敵が襲いかかる。

「光栄に思えよ。俺がお前らごときにコレを使うんだから」

 手を横に薙ぎ払う。
 その間、わずか1秒。
 そこに立っているのは俺だけになった。
「あ、行けたね。1秒で」
 それを確認し、凍磨は二階から飛び降り俺の側に降り立った。手には回収した小箱。
……凄すぎる。武器も何もなかったっすよね?」
 凍磨の俺を見つめる尊敬の眼差しが、少しだけ照れくさい。
「今の、分かった?ただ高速で敵に向けて横に電撃を薙ぎ払っただけなんだけど。威力は抑えたつもりだけど、丸一日は痺れで動けないんじゃないかな?」
「その、全く見えませんでした。それに、気配が一瞬変わったと言いますか……殺されるって思いました」
「そうそう。よく気づいたね、常に周りの気配の変化を気にしながら立ち回るのも大事だよ」
 そこに不機嫌そうな玲依ちゃんが遅れて現れる。
 気絶したターゲットは柱に縛って逃げられなくしてこちらに合流しただとか。俺よりしっかりしていて大佐っぽいね、玲依ちゃん。
「二人で先輩後輩するのは構わないけど、ターゲットの後始末を先輩に任せるのはどうかと思うわよ」
「うっ……すいません、玲依さん」
「貴方もよ、和希。今のは0.1秒でやれたでしょう。手加減するのもいい加減にして、凍磨が手抜きを覚えたら困るから」
「え、怒るとこそこなの?」
 なんか俺だけ怒られるとこ違うくない?
「私は貴方が「メインは凍磨の実戦経験の構築。序盤は爆薬の有無を警戒し私と凍磨の近接戦闘、爆薬を囮に敵の大将を捕縛後にテロリストを一網打尽にする、場合によっては銃撃で爆薬を誘発して処理する」作戦にすると言ったからいいと言ったのよ。誰も貴方が先陣をきって遊んでいいとは言っていない」
 これは怒るというよりツンデレか?
 そういえば今日の玲依ちゃんはいつになく俺への当たりが酷いし、これは俺を心配しているパターンかな?ほんとにかわいいとこあるなあ。
「いやー厳しいなあ玲依ちゃんは。もしかしてそんなに俺の事が心配だった?大丈夫だよ、俺はこれくらいじゃ死なないし!」
「あ、そうかもしれません。玲依さん、ずっと「和希は大丈夫かしら」って言ってましたし和希さんの事が心配でーー」

「殺す」

 え?
「殺す。今すぐ殺す」
 どうして刀を抜いてるんだ?
「玲依さん!?ちょっと、待っーー」
 殺気。
 ならば俺も礼を尽くさねばなるまい。
「凍磨、俺言ったよね。常に周りの気配の変化を気にしろと」
「和希さん?あれ?まさか玲依さんに立ち向かおうとしてませんよね?」
 拳銃を抜く。
……俺を殺せるなら、どうぞ?」 
 君は俺には勝てないよ。絶対にね。
 武器を構えた俺達は困惑する凍磨をよそに同時に地を蹴る。

「あーもう!今任務中じゃねーのかよ!!俺知りませんからね!?団長に怒られても知りませんからね!?」

 凍磨の嘆きとも聞こえる叫び声が響いていた。