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しらかば
2024-10-21 18:46:40
2540文字
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勿忘草
2023.7投稿分
自創作二次創作if鷺内和希×小鳥遊玲依
自創作二次創作CPです
鷺内和希×小鳥遊玲依 「勿忘草」
「こんな所にいたのね。チャラ男」
小川が太陽の光できらきらと輝いている。
その川辺で呆然と佇んでいたのは自身と同じ階級の鷺内和希。顔は整っていて、その景色と相まって絵になる。
いつもならチャラ男、と茶化せば「酷くない!?」とすぐさま批判する彼が今日は沈黙している。どうも重い空気を感じる。
「
……
どうかしたの?」
玲依は異変に気づき、和希の顔の目の前に自身の顔を近づけた。
「れ、玲依ちゃん!?」
驚いた和希は変な声を上げて後ろに一歩後ずさった。漸く気づいたな、そう思い玲依は和希の隣に座る。
「だって呼んでも気づかないんだもの」
「それはそうでも普通異性に顔近づけるかな?勘違いされるよ、そういうの
……
そ、その、いや、なんでもない。とにかく、やめた方がいいよ」
顔を赤くして何か言いたそうな和希を見て、先程までの顔の近さを思い出しこちらまで思わず顔を赤くしてしまう。
「「
……
」」
互いに顔を背けての沈黙が続く。
水辺だからか、風がとても涼しい。
花が風に誘われ揺れている。
「そうだ、玲依ちゃん」
再び会話のきっかけを作ったのは和希であった。彼は徐ろに白い花を詰んでいた。
「かわいいでしょ、この花。君に似合うと思って」
そしてある程度詰んだところであげる、と小さく呟き玲依に手渡した。
「
……
かわいい」
勿忘草、だろうか。花を渡したところですぐに駄目になるのではないか。それでも綺麗で可愛らしく、思わず微笑む。
「ありがとう、和希。たまにはいいとこあるわね?」
「な、なんでこんな時に褒めるかな!?そんなことはないよ!?」
何故か顔を真っ赤にしている。やはり今日の彼は様子がおかしい。
「でも
……
君に伝わらないといいな」
その言葉は風のざわめきに消えていった。
彼が消えたのはその翌日の事であった。
「
……
どうしたのかしら」
あれから一週間。
彼が帰ってこない。
自由という言葉が相応しい人間だ、数日いない事など今までだって珍しくはなかったのに。何故こんなに胸がざわめくのか。
「玲依さん、花とかお好きなんですか?」
きっと玲依の不安を察したのだろう。ある日、凍磨が切り出す。
そこには牛乳瓶に水を入れ、不器用ながら生けたあの勿忘草。
「あまり詳しくないの。でも、この花を私に似合うってくれた人がいた。だから、大切にしたくて」
それが誰なのかはすぐに察したらしい。
お人好しで、かつ騎士団の中でも特に和希と玲依のどちらとも関わりのある凍磨には二人の感情など明らかだったのであろう。本人達すら気づいていないその感情の答えすら。
「あの
……
知ってますか、白い勿忘草の花言葉」
「花言葉?さあ、知らないわ。凍磨は?」
「桜がそういうの好きなんで、知ってますよ。まあ俺から答えは言いませんけどね」
悪戯っぽく無理に笑う凍磨のその顔は普段と異なり深刻そうな表情であった。
「
……
なんでそういう事するかな、あの人は」
彼は消えそうな声で呟いた。
「知ってるんでしょう?教えて欲しい」
「駄目です。自分で調べて下さい、俺は用事がありますから、これで」
きっとそれは彼なりの優しさだったのだろう。それに気づいたのはまだ先の話だが。
「あ、それとその花。ドライフラワーとかにしてはどうです?桜が前にやってました、長く楽しめるらしいっす」
そして訪れる一人の空間。
再び寂しさが身体を蝕む。
そうだ、花言葉とやらを調べてやるか。
玲依はふと思い立ち、図書館で花の図鑑を借りあの小川に行く。
あの日と同じ太陽の下で、ページを捲る。
白い勿忘草の花言葉。
私を忘れないで。
「
……
バカ和希」
きっと頭の回る彼の事だ。あの時、勿忘草を見つけすぐに花言葉を思い出したのだろう。
こうなることが分かっていたから。だから私にあの花を?
「忘れる訳ないじゃない。本当に
……
バ和希なんだから」
彼はどこにいるのだろう。
極秘任務?身の危険が及ぶ程の?誰にも言えない程の?それが一番あり得るか。
彼は最強だ。負けない。そう分かっていても不安が募る。
ついこの前までここに彼がいたのに。
彼がこの花を詰んでいたのに。
この胸騒ぎはどうしたら収まるの?
逢いたい。
あなたに逢いたい。
「和希ーー」
どうして、私の目から水が?
あんなチャラ男、なんでもないはずなのに。
ならこの感情は何?
どうして私の脳裏に浮かぶのは貴方ばかりなの?
もう戻らないのではないかと言う不安。
この抑えきれない涙を止める術はない。
「あ、こんな所にいたんだ。抹茶大好き玲依ちゃん」
ふわり、と背後から香る大好きな匂い。
振り向くより先に、視界が真っ暗になる。
「さあ、誰でしょう?なんてね。ただいま。生きてたよ、俺」
「
……
バカ。バカ和希。本当にバカ」
それは顔を隠すように。
暗闇の中で彼の声がする。
「ごめんね、本当に死ぬかもしれない案件で、とてもじゃないけど君に言えなくて。言ったら地獄の果てまで着いてきそうだしね。でも俺はどうしても行かなきゃいけなかった。これは俺のわがままで、俺は君にだけは忘れられたくなかった、例え俺が死んでも」
突然視界が明るくなる。
今度こそ振り向けば、微笑む彼の姿。
身体は傷だらけで、それでもどこかで安心したかのように笑う。
その姿を見て、再び溢れ出す涙。
「あれ?どうして泣いてるの?美人が台無しだよ、玲依ちゃん?」
和希の腕が玲依の身体を包むように抱き寄せる。その胸に涙でぐちゃぐちゃになった顔を隠すように埋める。
和希の視界にあの図鑑が目に入る。
「もしかして、花言葉を
……
」
「
……
煩い。殺すわよ」
「ハハッ、俺を殺せるならどうぞ?」
玲依の頭を優しく撫でる。
「俺は君を忘れない
……
だから例え俺が先に死んでも、俺を忘れないで。玲依」
「その言葉、そのままお返しするわよ。もし私が先に死んでも、私を忘れないで。和希」
白い勿忘草が風に揺られ優しく揺れていた。
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