蘇芳
2018-11-26 18:48:14
5810文字
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酒は憂いを払う玉箒 R15

閃の軌跡 クロリン R15は念の為の保険です。
閃Ⅳ、TRUEエンド後のお話。クロウが若干ヤンデレ一歩手前のような感じ…?苦手な方はお気をつけください。

  
「ふふっ、くろう、くろうー」
 
 何がどうしてこうなった?
 あぁ、いや言ってみただけで何でこうなったかはしっかりと分かっている。酒怖い。
 
 いや、本当に酒怖いわー。何時も凜とした見ているだけで此方の背筋も伸びる雰囲気を漂わせているリィンがへろへろのふわふわである可愛い。
 
 最初のうちは突然、酒を持ってリィンの部屋を訪れたクロウにお小言を溢していたが、そこはクロウの口八丁であれよあれよという間に酒盛りをする事になっていた。
 本気で嫌だったり無理ならはっきりと断るだろうからクロウと酒を飲む事が嫌ではないのだろう。
 ランドルフから話しを聞いてリィンと酒をどうしても飲みたくなって押し掛けてしまったが迷惑ではないようなので表面には絶対に出したりしないがクロウはほっと胸を撫で下ろした。
 
 ランドルフからほんの最初だけ、どうやらリィンはランドルフにクロウの面影を見たとようだと聞かされた時はたまったものじゃなかった。
 何が琴線に触れたのかは分からないが誰かの名前を呼びかけて振り向かれた時の顔は見ていられなったと、だがそれが切っ掛け飲み交わし同僚として仲間として進む事が出来るようになったらしい。
 
 それからは、ちょくちょく一緒に飯を食ったり飲んだりしていろいろと話しをしたが、その時に話した事は内緒だと言われた時はそれはそうだと思う自分もいたが、それ以上に腹の底から溢れたドロリとしたものが顔に出ていたらしくランドルフには大いに笑われた。
 
 最近は特にそうだ。リィンの事になると感情の制御が効きにくい。リィンが笑っていればクロウも嬉しくなり胸のあたりが暖かくなる。
 逆に悲しんだりしていれば何としてでも原因を取り除きたいし、もしも仮に考えたくもないがリィンが傷付けられでもしたら、それが悪意によるものなら自分はその相手をどうするか想像も出来ない。
 想像する事は出来ないが予想する事は出来る。それはそれは凄惨な情景を見る事になるのだろう。
 
ろう!っくろう!きいてるのか!?」
「おわっ!はい、すみません。聞いてませんでした!」
 
 うっかり暗黒面がポロリしそうになったクロウを引き戻したのは舌ったらずなリィンの声だった。
 
「まったくこれだから、くろうは
 
 ちょっと、現実逃避をしていたら思ったより深く考え込んでリィンを無視してしまっていたらしい。
 ぶつぶつとクロウに対する文句を口の中で呟きながらもリィンはベッタリとくっついたクロウから離れようとしない。
 
あの、リィンさん? この体勢に疑問なんかは?」
「??」
 
 あっ、そうですか。疑問はありませんか
 最初は普通に他愛ない話しをしながらリィンは椅子にクロウはベッドに腰掛けながら飲んでいた。
 何の気負いもなく二人で飲めることが嬉しかった。結構な量を買い込んできていた酒がかなりのスピードで空けられていくが、そんな事にも気づかずただ何でもない話しを笑いあう。
 ころころと表情を変えて楽しげに生徒達の話しをするリィンを見ると。あぁ、これが幸せってもんかと感慨深く思った。
 
 そんな風に見つめていると、すくりとリィンが立ち上がりしっかりとした迷いのない足取りでクロウに向かって歩きだした。
 酒精が回った頭でなんとはなしにリィンの行動を見守っていたクロウの目の前まで来るとリィンはクロウの左腕を持ち上げた。
 
? リィン?」
 
 そしてそのままリィンはクロウの膝の上に横向きに乗り上げ、持ち上げた腕は自分の腰に回しゴロゴロとクロウの首筋になついた。
 
………………っ!!?!!???」
 
 今、何がおこった?いや、現在どんな状況になっている?おっ、落ち着けクロウ・アームブラスト。落ち着いて確認するんだ。
 リィンが俺の膝に乗り上げて?自ら俺の腕を腰に回し?もたれ掛かって肩口に頭を乗せてなついている????
 頭が上手く回っていない、こんなところを特定の奴らに見られたら指差して笑われても仕方がないレベルで頭が働いていない。
 
リ、リィンさん!?」
「ふふっ、くろういいにおいするなぁ」
 
 風呂に入ってから来ましたからね!
 
 
 まずい、心底まずい。
 目元と頬をうっすらと紅色に染め何が楽しいのかくろう、くろうとくすくす笑いながら首筋にぐりぐりと柔く頭を押し付けてくる。何だ、この、可愛い生き物。
 体全体でなついているのに手だけは、ちょこんと服の裾を掴んでいるのがいじらしい。可愛い。
 あまりにも俺が反応しないものだから不安そうに上目遣いで伺ってきたものだから慌てて返事をしながら腰に回った腕に力を込めれば安心したように蕩けるような笑顔を向けられて息が止まった。
 
 こんな状況だか、俺達は付き合っているわけではない。それを言うと全員が全員に酢でも飲んだような顔をされるのだが事実だ。
 ガイウスにすらそんな表情をさせるのだからなかなかのもんだと思わずゼリカ達の前で呟いたらゼロ・インパクトがコンマで放たれた。
 トワにすらクロウくんと言葉を無くされジョルジュには無言を貫かれた。
 たまたま一緒にいたエリオットに至っては気づいたら土下座をしていたので何が起こったのか自分でもよく分からない。「次、リィンを泣かせたら分かってるよね?」最初から最後まで笑顔だったのに寒気が止まらなかった。
 
 エリオットの笑顔()を思い出して少し冷静になった。
 
 
 黄昏の間はよかった。ボーナスステージだと宣い一定の距離を保つ事が出来た。
 あの時は生き返るなんて考えもしなかった。
 それどころかリィンすら助からない可能性が高く、その事に内心で憤ることしか出来なかった。
 憤る心の片隅のどこがで俺は確かに喜んでもいた。リィンに最期まで付き合えるのは俺とミリアムだけだろうと。
 自分勝手に俺の全てを渡しリィンの全てを貰って逝くつもりだった。黒だなんて訳の分からない奴にリィンの欠片だってやるつもりはない。
 暗い悦びは筆舌に尽くしがたい勢いで心に拡がり全てを呑み込んでいった。その時の心地は誰にも言わないし言えない。
 あまりの執着心に笑いもでない。
 
くろう?」
 
 そんな執着心を向けられているとは考えもしない当人が酔っ払っているとはいえ危険人物と言っても差し支えがない奴の腕の中にいるなんて、どんな冗談だろう。
 思わず囲うように抱き締める腕に力がこもる。
 
んっ、くろう」
「くくっ、先からくろう、くろうって鳴き声みたいになってんぞー?」
むっ」
 
 笑いながら、ぎゅうぎゅうと抱き締めると反発するようにリィンの体が動きクロウの膝を跨ぐ。
 向かい合うようにベッドに膝をつくリィンをクロウは慌てて落ちないように腰に手を回し支える。
 するりとリィンの手が伸びクロウの両頬を優しく包み込む。
 
「なにいってるんださっきから、くろうのなまえ、しかよんでない」
……っ」
「くろうは、あたまがいいのにばかだなぁ」
 
 頭がいいから馬鹿なのか?なんて、なかなか酷い事をにこにこ笑いながら言うリィンに呆気に取られる。
 
「馬鹿馬鹿ひでーな
だって、そうだろう?くろうは、なにをひとりでこわがってるんだ?」
!」
 
 こつんとリィンが額をクロウの額にくっつけ、菫色の瞳が優しく紅色の瞳を覗きこむ。
 
 この執着心の行き着く先。
 リィンを置いて逝く事、置いて逝かれる事。
 本当に生き返るなんて考えもしなかったから、黄昏の間だけだと今まで耐えてきたリィンを想う事を自分に許してしまった事。
 
 愛している。
 
 クロウの心を一瞬で染めたのは、ただそれだけだった。1度許されてしまった心は、また鍵を掛けて奥底に閉じ込める事を許してくれない。
 リィンがクロウの事を想っていてくれる事は分かっている。ただ、それだけでは足りないと叫ぶ。俺以外に心を分けてくれるなと喚く。そんな事は無理だと理解している。

 だったら最初から貰わなければいい。少しでも貰ってしまえば後は水を吸う砂のように渇きが癒えるまで貪るだけだ。
 砂は砂漠のように際限なく広がっていて貪って貪って最後は全てを喰らい尽くす。
 そうして、リィンはクロウだけのものになる。それを甘美な事だと感じる自分が恐ろしい。
 
なんだ、くろうはおれに嘘をついたのか?」
「は?」
「それとも、あれは黄昏げんていでもう、無効なのか?」
「はっ? いや、なん
最後まで付き合うといっただろう?黄昏がおわったから無効か?」
 
 クロウの驚愕に見開かれた目と息を飲む音を間近に聞いて思わずリィンは笑ってしまった。
 
「ふっ、はははっ……わっ!」
 
 力任せに引き倒されボスンとなかなかに大きな音をたててリィンの体がベッドに沈む。
 逃がさないとでも言うようにリィンを囲って両手を突き覆い被さるクロウの目は獲物に喰らいつく寸前の獣のような底知れない光を宿している。
 
「ははっ、クロウのそんなかおが見れてうれしいと思う俺はおかしいか?」
それを俺に聞くのか?」
「もちろん」
んっとに、スレちまって可愛い後輩リィン君はどこに行っちまったんだろーなぁ」
「それなら、今から形だけでもクロウせんぱいって呼びましょうか?」
…………………またの機会にオネガイシマス」
「ふっははっ!」
 
 とうとう本格的に笑い出したリィンを見てクロウから力が抜ける。大袈裟にため息をついてみれば、それがまたリィンの笑いを誘うらしく目尻に涙まで浮かべている。
 
ふふったしかに、こころの全部をクロウにあげる事はできない」 
「そりゃそうだろ
「シュバルツァーの父も母もエリゼも愛している」
「あぁ、当然だな」
「旧Ⅶ組の皆も先輩達もせいと達も大事で大切でだいすきだ」
「あぁ
「いままで沢山のひとたちに出会ってこころを向けられて俺はしあわせになったから、それをかえしていきたい」
 
 リィンを囲うクロウの手にそっと手が重なる。
 
ほんとうに色んな人たちにクロウに出会うことができたギリアスとうさんにも母にも感謝している」
「ははっ、そうだな」
 
 リィンの手が微かに震えるのを感じ指を絡めるように握りしめる。
 クロウを想って不安に駆られるリィンに喜びを感じる自分にほとほと呆れ果てる。
 クロウにオズボーンに対する隔たりは既にない。
 内戦の発端となった一発の銃弾が彼の胸を撃ち抜いた時に全ては終わったのだから。
 本来ならまた出会う事など、あり得ないはずだった。
 不死者になって合間見えたりするから混乱するのだ。
 
「俺と奴の勝負は終わってる。その事にリィンは関係がないだろ? 父親のやった事に胸を痛めるのは仕方ねぇが、責任を感じる必要はねぇし、もし感じるつーならそれは傲慢ってもんだ」
あぁ、そうだな。ありがとう」
「まっ、その礼は受け取っといてやるよ」
 
 今日は随分と滑らかに口が動く。
 
それで、お前さんはこの体勢に疑問なんかは?」
「??」
「おっと、デジャヴ」
……あぁ、そうか俺からはまだ何も言っていなかったな」
 
 酒は大分抜けてきたと思ったけどまだまだみたいだ。次からはもっと気をつけて飲まないとなとふわふわ笑いながら言う。
 どうやらリィンは酔うと思考なんかはしっかりしているようだが言動が少し幼く素直な感じになるようだ。本当に気をつけて欲しいと心の底からクロウは思った。
 
嬉しい、クロウが俺の全部をほしがってくれること。陽霊窟でいっただろう?俺にはクロウが必要だってそれに最後まで付き合ってくれるって言葉をすなおに受け入れただろ?」
「! それは、お前
「みんなが甘やかすから、俺はなかなかに我が儘になったぞ?俺は俺がたいせつだと思ったこと全部もう絶対に手ばなさない」
 
 真下から見上げられる鮮烈な瞳から目が離せない。
 あぁ、今度こそ完全に捕まった。これは2度と逃げるなんて事は出来そうにないとクロウは白旗を上げる。
 
「クロウに俺の全てをあげることは出来ないが、俺にひとつしかないものは全部あげるだからクロウのひとつしかないものを俺に全部くれないか?」
はっ! あぁ、くれてやる。くれてやらから、その全部を俺に寄越せ」
 
 頬に手を添える。それを受け入れるリィンを見てクロウは歓喜する。俺のものだ。
 
「愛している、クロウ」
 
 その一言が何よりもクロウの心を満たした。
 
俺もだ、愛しているリィン」
っんぁふぁっ」
 
 ゆっくりと愛しいという気持ちを込めて口付ける。
 1度、触れてしまえば止めることなど出来なかった。リィンの唇に舌を這わせ戦いて微かに開いた瞬間を見逃さず性急に舌を捩じ込む。
 縮こまる舌を引きずりだして絡ませる。上顎を擽り歯列をなぞり、また舌を絡ませ音たてて唾液を啜る。
 
ふっんぁまっ、んぅ
「またない」
 
 瞳を潤ませ真っ赤に染まるを愛しい相手を見て止まれる男がいるならお目にかかってみたいものだ。その状態にしたのが自分なら尚更。
 
「俺のものなんだから好きにしていいだろ?」
 
 リィンは諦めたようにひとつ息をつくとクロウの首に腕を回す。
 それが答えだった。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 
 クロウって13歳の時に1人で故郷を出て行ったんだよなぁ
 クロウは優秀だけどそれと感情面はまた別物かなって考えて、クロウに自覚はなくても愛情に飢えてて貪欲に求めてるといい。
 ふとした何でもない日常で俺って愛情を求めてたんだなって気づいて羞恥心に身悶える。
 その場にリィンが居ればやっと気づいたのか?って笑ってクロウにキスして少しは満足したか?まだまだあるぞって照れながら微笑む。
 俺のリィンが、かっこかわいくて生きるのが楽しい!byクロウ