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えぬを
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痴話喧嘩
rsmv_20221127公開
Bファミリーと若マヴ。からの、ルスマヴェ小話し。すっごい甘い話しになりました。キスする時背伸びするマヴかわいい。
グースとキャロルの声が聞こえる。
マーヴェリックは借りているゲストルームの寝室から着替えを終えて出ると、キッチンへと向かう。勝手知ったるとは正に。
グースとキャロルは向き合って、キッチンで口論をしている。マーヴェリックはそれを一旦確認してからレストルームへ向かい、はたから聞いたならば痴話喧嘩のそれをBGMに、下手くそな鼻歌を奏でながら髭を剃った。
口論が止む気配はなく、マーヴェリックはため息をついてからキッチンに向かった。
「モーニン、親愛なるブラッドショーファム」
レストルームに向かう前と変わらない体勢で向かい合ったままだったグースとキャロルはぴたりと口論を止めると、マーヴェリックに勢いよく振り返った。
「マーヴェリック聞いてちょうだい!」
「マーヴ、聞いてくれよ!」
「聞かない!君たちの痴話喧嘩の理由は聞かない!以前どちらかに味方して僕は辛酸を嘗めた!だから理由も聞かないしどっちの味方もしないぞ!」
ブラッドショー夫妻に勢いよく距離を詰められながらもマーヴェリックは頑として譲らず、詰められた分引いた。
味方を得たり、と双方が思ったろう、グースとキャロルはぐぬぬ、と歯軋りしながらマーヴェリックを睨みつけた。
見ればキャロルのまなじりにはわずか涙が浮かんでいる。
女性が泣くこと、マーヴェリックは特に〝母〟が泣く姿にめっぽう弱い。
「キャロル、そう力んだら、赤ん坊が予定日より早く出てきちゃうだろ」
大きな腹を抱え、それでも言い募ろうとするキャロルをマーヴェリックは制する。
「喧嘩の理由はさておいて、僕にはずっと〝聞こえてる〟んだけどな。君たちには聞こえてないのかい?」
マーヴェリックは困ったように眉を下げて、親友夫婦に苦い笑みを向ける。
「〝パパ、ママ、喧嘩しないで〟」
はたと我に返ったグースとキャロルがキャロルの腹部に目を転じる。
「グース、今日の午後には基地に戻るんだぞ?別れがキャロルの悲しい顔でいいのか?キャロル、グースと居られるのもあと数時間だ。君と、その子が見るパパの今日の顔が、怒った顔でもいいのか?」
マーヴェリックの言葉は重い。唐突に喪われたあの日を、マーヴェリックは今でも鮮明に覚えている。泣き崩れる母を慰める、幼い自分。それを、グースとキャロルは重々に承知している。
グースとキャロルが向き合う。無言でハグをし合った。
「ごめん、」
「わたしこそ。ごめんなさい」
マーヴェリックはすぐに謝罪の道を選んだ親友夫婦を眩しげに見つめた。今はまだ会えていない、けれど確実にそこにいる、ブラッドショー家のもう一人が、間に挟まれる、その光景に。
ーーまだ見ぬ君よ、世界は美しい。
マーヴェリックは心の中だけで、キャロルの腹で育ちゆく彼らの愛し子に話しかけた。
そうしてマーヴェリックは抱き合うグースとキャロルに近づき、彼らと抱き合った。
自分の中指と薬指にキスをし、その指でキャロルの大きな腹に、間接的にキスを送る。
「マイディア、次帰ってきたら、君に会えるかな?」
マーヴェリックの言葉に、グースとキャロルが感謝の代わりに声を立てて笑った。
+++
わずか背をかがめ、顔を傾け、薄目で見つめれば、同じようにうっすらと目を開けたマーヴェリックがいたずらげに口角を上げていた。その感触を柔い唇で感じることに、ブラッドリーの背筋は甘く痺れた。
「こら、ブラッド。キスの時は目を瞑るものだろ」
ブラッドリーとのキスのために背伸びをしてくれていたらしい可愛らしくもいじらしい振る舞いに胸を撃ち抜かれながらも、ブラッドリーは賢くそれを指摘しなかった。
「あんたとする、はじめての〝家族じゃないキス〟だ。そりゃ見るだろ。それに、マーヴだって。俺の顔見てたろ?」
「ふふ、バレてたか。大人になった君が恋人とのキスでどんな表情をするのかと」
ブラッドリーは砂糖をまぶし、蜂蜜をかけたかのような蕩けたマーヴェリックの言葉に頬を染めた。熱いそこに自分の手の甲を押し付け、ブラッドリーは思わず視線を逸らす。
「くっそ、そんな言い方
……
!あんたが人垂らしなのは重々知ってるけど」
「とてもかわいい」
「あんたが言うな」
愛しさが溢れんばかりに、尚もブラッドリーが口付けようとすると、マーヴェリックは吐息が触れる寸前で謎かけのような言葉を放ち、中指と薬指でブラッドリーの頬を撫でた。
「君のファーストキスは、僕がとうに貰ってしまってるけどな」
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