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net20156
2024-06-02 17:31:31
1334文字
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プロポーズ
「歌姫にしか勃たなくなったからさ、責任取って結婚してよ」
情緒はどこに置いてきた、と突っ込みたくなるような言葉を受けたのはよりにもよって放課後の職員室だった。
誰もいないのは幸いだったが、なんにせよ、まだ事務仕事をしている相手に言う言葉ではない。
「ねー、いいでしょ」
持ってきた椅子にまたがり、背もたれに顎を乗せたまま体重をかけているものだから、ギィギィと悲鳴のような音が出る。
おいそれ京都校の備品だぞ。壊すな。
「なんであんたの性事情の責任を私が取らなきゃいけないのよ」
「えーーだって僕をこんな身体にしたの歌姫じゃん。歌姫のせい!」
ガキみたいに駄々をこねる大男は無視して書類の続きに集中する。こいつはたまに学生の頃みたいに我儘を言い出すから面倒くさい。
「歌姫だって僕のじゃなきゃもうイけないでしょ!」
「おいここ学校!!」
ーーーでも、確かにそれは否定できない。
こいつとのセックスはありえないくらい気持ちよくておかしくなって、いつも我を忘れてしまう。最低限持っていたはずの倫理観とか、常識とか、そういうのが全部はぎ取られて身体だけで繋がってる感覚になる。
人間もやっぱり動物なんだなあ、なんて考えたのも一度や二度ではない。
とても人には言えないような行為を二人で繰り返して、まるで共犯者のようだ。
細胞のひとつひとつが活性化されるように花開いて、全部明け渡してしまいそうになる。
会えない時もその余韻を思い出したり、近くにいると触れたいなと思ってしまったり、付き合ってもいないのに変な話だ。
奥まで突き上げられて、男の腰を両脚で抱え込んで文字通りひとつになっている時、こいつの精を奥まで受け入れながら愛しさがこみ上げてくる。
それは言葉にしたことはないが、きっと肌から粘膜から伝わってしまっている。
自分も、口も腹もこの男に犯されながら、言葉にならない想いが注ぎ込まれているのにとっくの昔に気づいている。
注がれた先に何が待ってるのかも分かっていて、それを許しているのも自分だ。
どうせ頭で考えても結論が出ないなら、身体の声に従ってみるのもありかもしれない。
キーボードを打つ手を止めないまま、言葉を返す。
「あんたの子供しか産みたくないから、結婚してあげる」
答えがないので振り向くと、五条が椅子の背に顔を押し付けたまま微動だにしない。
「ちょっと、返事は?」
「
……
そこまで言えとか言ってない
……
」
なんだそれ。曲がりなりにもプロポーズしてきたのはそっちだろうが。
「じゃあやめる?」
「やめない!!」
食い気味に答えて目隠しを上げた男を、初めて可愛いと思った。
「なら僕の子産めるように、たくさんしよ」
立ち上がった五条に抱え込まれてパソコンを勝手に閉じられてしまう。
こいつ、うちに飛ぶ気ね。
でもまたあの凄い行為を今からするんだと思ったら、期待で身体が高まってしまう。
二人で馬鹿みたいに求めあってぶつけあって、朝まで倒れるように眠るのも悪くないかもね。
「いっぱい、して」
耳元で囁いた瞬間、抱きしめられる腕の力が強くなって、そのまま飛んだ。
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