net20156
2023-10-14 18:57:55
3170文字
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【新妻の悩み】

新婚の歌姫先生の誰にも相談できない悩みについて。
ちょっとした小噺なので、軽い気持ちでお読みいただけると…(;^_^

 




日が暮れて、人気のなくなった東京都立呪術高等専門学校。

その職員室の一角の机で、薄暗い中明かりもつけずにノートパソコンに向かう巫女服の女性の姿があった。
眉間には小さく皺が寄っており、画面を見つめる目は真剣そのものだ。

「庵さん?」

背後からかけられた声に、歌姫は反射的にばたん!と勢いよくモニターを閉める。

「ななななななに?!」
振り向きながら立ち上がると、馴染みの女性補助監督が怪訝そうな表情を浮かべていた。

「あのこれ、来週の任務の資料です」
「あ、ありがとう

なんとか笑顔を作って差し出されたファイルを受け取る。

「庵さん、少しお疲れじゃないです? 最近、移動中の車でもよく寝てらっしゃるし
「だ、大丈夫!ちょっとこっちの生活でばたばたしてただけだから心配かけてごめんなさい」

本気で気遣ってくれる彼女の気持ちに罪悪感で胸が痛む。
怪しく思われなかっただろうか。

補助監督が職員室を出ていくと、歌姫はため息をついてもう一度、机上のノートパソコンにそっと視線をやる。
つい気になってしまったとはいえ、職場で見るべきではなかった。

―――こんなこと検索してるなんて知られたら、恥ずかしすぎて土に埋まってしまう。




【新妻の悩み】




庵歌姫―――もとい、五条歌姫。

仕事上は旧姓で通しているが、入籍が済んだのは年が明けてすぐだった。担任していた生徒達が卒業したタイミングで東京高専に異動したのが1か月前。
ようやく五条と一緒に暮らしはじめ、慌ただしい生活も落ち着いてきたところだ。


今日は五条は任務で遅くなると言っていたので、先に一人で夕食を取った後、ソファでスマホを開いてネット検索を再開する。

アクセス先は、女性が集まる有名な質問掲示板だ。
人間関係の相談からリアルでは聞けないような恥ずかしい悩みまで、赤裸々な質問や回答が日々溢れている。ジャンルやトピックごとに分かれている掲示板を辿っていくと、ふと、歌姫のスクロールする指が止まった。

意を決してクリックしてみる。





【夫とのセックスに悩んでます】

『新婚の共働き夫婦です。夫の方が7歳も年下のせいか性欲が強くて毎晩求めてきて、その疲労で仕事にも影響が出てきて困っています。
自分の方が年上であることは気になっていたので、求められるのは女として嬉しい気持ちはあるのですが、ここまで毎晩だと身体が持たないというか
どうやったら彼を傷つけずに回数を減らすことができるでしょうか?』


あまりにそっくりなシチュエーションで、思わず唾を飲みこんだ。その質問には大量の回答が並んでいて、指が自然とスクロールを続けてしまう。

『求められるなんてそれだけでいいじゃん。うちなんか何年もレスだよ』
『旦那とのセックスとかもう苦痛。自分だけ一人で終わってさっさと寝られるから虚しいだけ』

全体的にネガティブな反応の回答が多い。
やはり世の中の夫婦は結婚すると淡泊になるのだろうか。
うちはむしろ結婚してからの方が――


その中で、質問者がベストアンサーに選んでいた回答に目がとまる。

―――これだ。

歌姫はスマホを握る手に、力を込めた。



***



「たっだいま~~!愛しの旦那様のお帰りだよ~~~」

玄関から元気な声が響いてくるが、時刻は23時を回っている。

「おかえり。ご飯先にすましたから、温め直したやつでいい?」
リビングから顔を出すと、アイマスクを取った五条が嬉しそうにハグで応えてくる。

正直、付き合う前の五条は生活感がない印象だったので、こうやって「ただいま」と帰ってくるのは、付き合いが長いだけにこそばゆい。

結婚してからの五条はできるだけ出張しなくて済むように、本来なら泊まりになっておかしくない任務も日帰りで片づけることが増えたらしい。
あまり無理はしてほしくないのだが、五条が分かりやすく嬉しそうなので、そんな顔が見られるなら結婚してよかったのかなとは思っている。

夕食を取り終わり、シャワーを浴びて浴室から出てきた五条は、キッチンにいた歌姫を後ろから抱えてソファに連れ込む。

膝の上に対面で座らせると、ちゅ、ちゅと繰り返しキスの雨を降らすのはいつもの流れだ。
同時に背中や腰をいやらしい手つきで撫でてくるから、それだけで歌姫の身体にはぞくりと甘い痺れが走ってしまう。

れろ、と唇をねっとりと舐めながら、五条の右手は歌姫の部屋着のシャツに流れるように侵入してくる。

―――いけない。このままでは、いつものように押し流されてしまう。

「ん、ごじょ、待って」
キス攻撃から顔を避けながら、なんとか厚い胸板を押し返した。

「ん?」
いつもと違う反応に五条の手が止まる。

ふっ、ふっと自分だけ上がってしまった息を整えながら、歌姫は侵入しようとした不埒な手を取り出して胸の前で握る。
今日読んだアンサーを頭の中で反芻しながら、言葉を選んでゆっくりと話しだした。

あのね。あの、こういうのって、その、すごく大事なことだと思うのよ」
「こういうのって?」

五条が軽く首をかしげながら聞き返してくる。
やってることは大人のそれのくせに、こういう時だけ年下ムーブしやがって。

「いや、その、夫婦のコミュニケーションというか。出張がない時は毎晩、ほら、してるじゃない?でも、その五条とのことはすごく大切にしたいから、週に2~3回くらいにして、その分じっくりするというかそ、そんな感じにしない?」

正直、こいつの体力に毎晩付き合うのは規格外すぎる。求められるのが嬉しくない訳ではないが、限度というものがあるのだ。

なんとか伝わっただろうか。
――おそるおそる五条の顔を見上げると、予想外に眉間に皺を寄せた真剣な表情がそこにあった。整った顔で黙られると妙に迫力がある。

何か言い方を間違っただろうか。



……つまりそれは、歌姫がすんんんんごい濃厚なえっちしたいってこと?」
「いやそっちじゃなくて」

話がかみ合っていない空気を察知し、慌てて否定する。
ふぅーと五条が深く息を吐いた。

「てっきり歌姫も満足してくれてるかと思ってた」
「いや充分すぎるほど満足させて頂いてるので回数をね」

「分かってなくてごめん」
「あの、だから少し回数を――


目の前の最強が纏う呪力が、ゆらりと立ち上った気がした。














「あーーーーっ、あ!だめ、そこ、おかしくなるぅっ!」
「おかしくないよ。めちゃくちゃ可愛い」
「いま、イってる、からっ、吸わない、で、らめぇっ!~~~っ!」
「クリだけでもっとイけるよ、ね?」

「そこ、やぁ、そんなに、いじっちゃっぁ、なんか、でちゃうぅっ!」
「いーよ、思いっきり潮吹こ」
「や、みないでぇっ!」
「もっとやらしいとこ見たい」
「だめだめっ、ぁっ、でるぅっ!」

「おくっ、ぁ、そんなに、ごりごりしないでぇっ!」
「ちゃんと満足できてる?」
「してる、してるからぁっ!ぁんっ、そこっ
「うん、奥当たってすっごくきもちーね。ぎゅうぎゅう締まってさいこー」
「きもち、すぎて、へんになるぅっ」
「一緒におかしくなろ。ほらっ!」
「ぁ、イくの、とまんないぃっ!あっ、ごじょ、らめ、ぁーーーーっ!」






明け方、二人分の体液にまみれてくたりと意識を失った新妻に、男は飽きることなく何度も腰を突き入れる。
そのまま低く呻いて果て、乳房の上に倒れこんだ五条は、愛おしそうに新妻にキスを落とした。

「これからは毎晩もっとじっくりコミュニケーションしようね♡」