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ぽふむん
2024-10-19 22:11:24
1985文字
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ワンドロ
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至上の星
#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「彗星」をお借りしました。
明治末期に彗星に関して本当に流布したデマが元ネタの為、柱ifです。
しのぶちゃん不在ですが、思いっきりしのぶちゃんのことでからかわせて童磨さんのペースを乱してます
童磨さんウブだと思いますw
朗々とした青年の声で、古の王朝文学の一節が読み上げられる。
男が読むには多分に情緒的なタイトル。
だが、それは説法のため。
青年の前には複数の男女がいる。
「
……
と、古来の文学にも美しいものとして書き残されている。
太白星というのは宵の明星のこと。よばい星というのが、今回のそれ。彗星のことさ。文献にも何度となく彗星のことと思われる記録があるという。その度に空気が薄くなっているのかい?」
童磨は信者を前に、古の文学を例に説き伏せる。
今極楽教では、読売誌の撒き散らした噂の話で持ちきりだ。
───彗星が接近する。その有毒ガスを含む尾に地球が包まれる───
蓋を開ければ、詳しく精査もせず放言したと思われる、出任せの噂に過ぎないのだが、よく分からない現象に不安になったものもいる。
名のある学者の言とパニック状態になるもの。
馬鹿馬鹿しいと鼻で笑うもの。
様々で紛糾しているのだ。
童磨は、せめて自分のところの信者だけでも落ち着けようとそれなりに必死だ。
「彗星が美しいなんて、女の世迷言でしょう」
童磨の言に一人の信者が口を挟む。
「侮っちゃいけないよ。仮にも後宮に侍った女の書だ(しのぶちゃんだって生まれさえ良ければそうだったかもねぇ)」
童磨は応えた。
(しのぶちゃんが今ここにいたらどう諭してくれるかなぁ
……
あ、あの子の専門は化学、薬学だ。科学、天文学じゃない。残念。まぁ、いいか)
本人が聞いたらさぞかし怒るだろうことを思う。
そして、童磨は襖の向こうの夜空を見上げた。
いい月だ。
ああ、スバルも見える。
本当はしのぶと二人、肩を並べて眺めたいのだが
……
その時
「あのぉ
……
」
一人の信者がおずおずと口を出した
「尾さえなければもっと良いのに
……
と言ってます。それは」
その声が呼び水になったように『凶兆』だのなんだのとにわかに騒がしくなるから、わざとらしく童磨は咳払いをした。
途端に静まり返った。
「あー、確かに彗星が見える時は『偉い人』にとって困ったことが起きる前兆と見る向きも古来からある。いいかい、国を統べるくらいの偉い人の話だ。
お
……
僕達はそこまで偉くはないだろう。
大丈夫。偉い人の話。何とかしてくれるだろうさ。大事は偉い人に任せておけばいい」
童磨はカラカラと笑った。
信者を落ち着かせるための笑顔とは裏腹、脳内では冷え冷えしている。
(俺達下々には関係ない話さ。余計なことをすれば、知り合いだという理由だけでしのぶちゃんにまで累が及びかねないご時世だ
……
)
不穏な噂がある。
以前ならいいが
……
今は担ぎ上げられるのはごめんだ。
「この随筆を書いた女史の主人はお産が原因で身罷られたからね。
ご実家も派閥争いで没落なさり
……
そりゃあ『尾さえなければ』だろうさ。
そんなことより流れ星は三回願いを唱えれば願い事が神様に届くという伝説がある。そちらを信じた方が僕たちのような身分にはちょうどいい」
話を締めくくろうか。そう思った時、傍らで聞いていた少女と呼ぶには大人
……
嫁入り前と思われる子が口を開いた。
童女の頃からこの教団で育った娘だ。
「きょーそさま、しのぶ様と知り合われてから変わられましたね
……
以前はそんなメルヘンチックなこと仰らなかったのに」
その言葉に童磨は目を見開く。
人様の色恋の話に花を咲かせる年頃になった信者の娘は、なおも言葉を続ける
「彗星はよばいぼ
……
」
「こ
……
こらこら、こんなこと嫁入り前の娘が口にするものでは無い。街中では蛮習となる行為だよ」
しのぶの寝所によばう図を想像し、赤面しそうになったが一呼吸つく。
間髪入れずに娘は続ける
「本当に教祖様変わられた。しのぶ様の名前出すと顔色がお変わりになる」
少女は怖いもの知らずなのか、止める信者や神山の叱責の声もものともせず、尚も童磨をからかおうとする。
「は?え?
……
そりゃあ
……
そのぉ
……
しのぶちゃんおっかないもん」
「そうですか?」
「ああ、そうさ。あの子はいざとなったら
……
」
「夜這いなされば
……
」
煽っている。
早く既成事実を作ってしまえと、娘は煽っている。
「(まずい)今宵はここまでにしよう
……
ろくさん、あとは頼んだよ」
そそくさと童磨は後事を平伏する神山に託し謁見の間を後にした。
何か神山が怒鳴っている声が聞こえる。
ああ、あの娘怒られたようだ。
深呼吸をする。
上がった心拍数が落ち着くことは無い。
(君を想うと心拍数と血圧が上がる気がする。
夜這いなんてもっての外。
そんなことしたら気絶しそうだ。
そばで話しているだけで
手を握っただけでこんなに胸が高鳴るんだもの。
男なら女のところに夜這うものらしいのに
……
しちゃダメだと警告音のようなものが鳴り響くんだ。
これ、病気かな?)
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