とはり
2024-10-18 00:34:52
756文字
Public いろいろ
 

わしのおひめさん【こはひめ】

桜河に言わせたかっただけ
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※びっくりするほどHiMERUがしゃべらない

 微睡みの中、HiMERUは薄く目を開く。
「ん......」
 差し込む陽射しが眩しく、反射的に声が漏れる。
「あ、HiMERUはん、もう起きたん?」
 声と身じろぎした音で気づいたのか、ベッドサイドで座って本を読んでいたこはくがベッドで横たわるHiMERUの顔を覗き込む。
「おう、かわ......?」
 微睡んだ思考で名前を呼ぶと、目の前のHiMERUの恋人は嬉しそうに微笑み、答えるようにHiMERUの髪を一撫でした。
「HiMERUはん、まだ眠たそうやね。まだ時間あるし、寝とってもええよ」
 柔らかな声と可愛らしい顔の割には逞しい手のひらで髪を撫でられ、まるで寝かしつけられる子供のような安らかな感覚にHiMERUは再び瞼を閉じる。
 今は何時だろうか、今日の予定は一体どんなだっただろうか。
 思考は穏やかな睡魔に絡めとられて霧散する。
 こはくの上機嫌な鼻歌を子守唄にして、HiMERUは眠りに落ちていく。


「──はん。HiMERUはん。そろそろ時間やで」
 肩をゆるりと揺さぶられ、意識が浮上するが、心地の良い今の時間を手放したくなくて、もう少し、と駄々をこねたくなる。
 少し間が空いて、HiMERUの唇にしっとりと柔らかい感触が訪れる。
 すぐに離れてしまったその感触が恋しくて、HiMERUは重い瞼を持ち上げる。
 視界は暗く、何かに覆い被さられている。次第にはっきりしていく視界と思考に、その陰の正体がこはくだと分かる。
 HiMERUが瞬きをして長い睫毛を何度か揺らすと、コッコッコ♪と特徴的な笑い声が聞こえる。
「キスで目覚めるなんておとぎ話のおひめさんみたいやなあ」
 見上げると愛しそうに目を細めたすみれ色の瞳がこちらを見つめていた。

「おはよう、わしのおひめさん」